いつも通り発売からはだいぶ過ぎたけど、CDレビュー。
今回は全て書き下ろしの新曲のボーカロイドコンピレーション、
Supernovaシリーズの第2弾、「Supernova2」です。

●収録曲 / 製作者(敬称略)●
1. ARiA / とくP
2. はなゆりかご / iroha
3. 満月の実験室 / mothy_悪ノP
4. BLUE / mikuru396
5. ダスト / クワガタP
6. madder sky / 164
7. ローリンガール / wowaka(現実逃避P)
8. グリグリメガネと月光蟲 / 古川P
9. ピース! / キャプテンミライ
10. 幸運のツボ / デッドボールP
11. 白い雪のプリンセスは / のぼる↑
12. 探偵むしめがね ~ さらば怪人256面相 / ぶっちぎりP
13. meteor36.0 / ラマーズP
14. 好きです / ラヴリーP
15. Skyscraper / azuma
16. ジェンガ / 40mP
17. Pierrot / ジミーサムP


公式サイト
http://super-nova.cd/

初音ミクwiki 本CDのページ
http://www5.atwiki.jp/hmiku/pages/8650.html



正直に言うと、最初はそこまで期待して買ったわけではありませんでした。
前作の「DREAMA」が良すぎたため既に満足しちゃってて、
聴くモチベーションも元よりそこまで高くなかったからです。
そんなわけで期待値が元々かなり低くなっていたこともあるけれど、
実際聴いてみたら思っていたよりは良かったかなーって感じでした。

5月22日現在6月7日現在「BLUE」「ピース!」「好きです」「Skyscraper」の3曲を除く14曲が、
ニコニコ動画にアップされ、ぼからん等にも多数ランクインしています。
【6月7日追記:5月23日に「Skyscraper」がアップされたようです】
それだけパワーのある曲が今作にも集まっていると言って良いでしょう。

ではいつも通り一通り全ての曲について軽く感想を。



○全曲簡易感想○

1.ARiA  (週刊VOCALOIDランキング#135:1位)
透き通るような透明感が特徴的なこの曲。
スローテンポな出だしとサビのスピードのギャップや、
最初は少ない音が徐々に増えていき、サビでそれらが弾ける感じがとにかく心地よい。
そしてサビのエコーで音が徐々に消えていき、再び静かなAメロに戻るという演出が憎い。
星々の瞬きを歌ったような歌詞とメロディーが創りだすこの曲は、
supernovaという宇宙的なタイトルのこのアルバムのトップを飾るにふさわしいでしょう。


2.はなゆりかご  (週刊VOCALOIDランキング#128:4位)
事前の期待を裏切らない出来でした。
この人の造る鮮明なミクの声はシンプルな演奏ともすごく合っていて、
両者が上手くお互いを引き立てていているように思えます。
往年のmoonのようなサビの盛り上がりも良い味を出しています。
炉心融解があまりに有名になりすぎちゃったけど、
この人の十八番は元々この曲のようにレトロな和風ポップだと思います。
曲の雰囲気とは裏腹のダークな歌詞もまたこの人らしさを感じさせてくれます。


3.満月の実験室  (週刊VOCALOIDランキング#126:36位)
神秘的な雰囲気を醸し出すピアノの前奏が印象的でした。
また、そのまま終始流れ続けているこのピアノの音がとにかく耳から離れません。
歌詞もこの曲は程よく抽象的な部分が残されているので良かったですね。
聞き取りやすさも初期の悪ノ娘と比べるとその違いは歴然。


4.BLUE
曲の雰囲気は全体的に「melody...」に近く、懐かしさもありますが、
巡音ルカのボーカルは、重厚な雰囲気をよく演出しているように思えます。
メロディもところどころ「melody...」と重なる部分があります。
が、ボーカルの違いに合わせて微妙に変えているように感じられました。
期待してはいたけど、やはりこの曲はガチだった。
この人の創る4つ打ちトランスの、特にループするメロディの心地よさは異常。


5.ダスト  (週刊VOCALOIDランキング#127:5位)
この人の曲をまともに聴いたのは初めてでしたが・・・無難な仕上がりですねぇ。
シンプルな編曲と無理のない標準的な音域が逆に印象に残りますね。
特別強烈に耳に残るような曲ではないけど、聴いている間はしっかりその中に入れる。
この曲のように言ってしまえば「普通」な曲を普通にボーカロイドで作れるのは、
ごまかしが効かない分なおさら確かな技術がないと出来ないように思えます。


6.madder sky  (週刊VOCALOIDランキング#120:49位)
激しい前奏だけを聴くと今回もバリバリのロックかと思っていたですが、
歌が始まってみると意外と落ち着いた雰囲気でビックリ。
リンがボーカルでこんなロックな演奏でこんな雰囲気の歌は非常に珍しい気がします。
前作に収録されていた「lost」でも自分の中で164氏の印象はけっこう変わったのですが、
今回のような演奏と歌唱にギャップのある曲もまたそれまでの印象を変えるには十分。
一言でロックといっても色々な雰囲気の曲があるのを、当たり前だけど改めて痛感。


7.ローリンガール  (週刊VOCALOIDランキング#125:2位)
「裏表ラバーズ」や前作に収録された「ずれていく」とは声の出し方が全然違う気がします。
が、音域に変化がなさすぎて全体を通して単調な気がしました。
サビ以外はもう少し音程を下げた方がサビの盛り上がりがより強調できたとように思います。
これだけ常時高音域で歌が作れるのはボーカロイドならではの強みだとは思うけど、
なんか聴いてて耳がキンキンしてくるし、自分の耳とは合わなかったです。


8.グリグリメガネと月光蟲   (週刊VOCALOIDランキング#136:3位)
うーん・・・好きな人には申し訳ないけど、どうも苦手です。
この曲だけで判断するのは早計だとは思うけど、
AppendミクのDarkがそこまで好きではないのかも・・・
今までのミクでは歌わせられないだろうし、曲としては悪くはないんだけどなぁ。
演奏だけ聴くとけっこう好きなんだけど、このCDには合ってなかった気がします。


9.ピース!
この人のリンはこれまで割と自然に聴こえる調声の曲が多かったと思うけど、
この曲は思いっきり機械的な声を出していますね。
調声技術も進歩してきた最近では、あえてこういう声で創る曲は珍しい気がします。
でもそれが不快な感じはせず、しっくりと来るのだから不思議。
調整不足から来る不自然さではなく、狙って作った意図的な不自然さだからでしょうか。


10.幸運のツボ  (週刊VOCALOIDランキング#122:6位)
なんというか・・・いつものデPですね。
でもいつにも増して直球デッドボールだったようにも思えます。
あまりに豪速球なデッドボールが飛んでくるので打席に立ちたくなくなる曲ですw
今回のこの曲もぼからんに屈辱のランクインさせたsuprenovaの罪は非常に大きい(笑)


11.白い雪のプリンセスは  (週刊VOCALOIDランキング#126:1位)
好きな人には申し訳ないけど、この曲にはどうも入り込めませんでした。
メロディは悪くないけど、どうしてもこの曲をミクに歌わせる必要があるように思えなくて。
いっそどこぞの歌ってみた人でもいいから人間が歌った方が映えるように思いました。
まぁ、これは完全に自分の感覚でしかないけどね。
作者自ら「相当深読みしないと何も見えてこない内容です。」と言っているようで、
確かにそうだろうなぁと。 聴き流してるだけだし当然だけど、
自分にとっては良いとも悪いとも感じないフツーの曲でした。


12.探偵むしめがね ~ さらば怪人256面相
                    (週刊VOCALOIDランキング#132:4位)

楽器以外の音や電子音ふんだんに使っていて面白い音創りだなと感じました。
が、喋りは非常に聞き取りにくい。リンの言っていることはかろうじて聞き取れるけど、
レンやKAITOの部分は正直に言って何を言ってるか半分以上は分からない。
無理に喋りを入れないで歌唱オンリーで仕上げた方が良かった気がします。
最近めっきり少なくなっているボーカロイドらしい歌だと思っただけにちょっと残念。


13.meteor36.0  (週刊VOCALOIDランキング#124:90位) 
まさか一般流通CDで歌愛ユキが出てくるとは思わなかったのでビックリ。
曲全体の雰囲気はsupernovaらしい疾走感と宇宙っぽさがあって良かったです。
それだけに、声量にもう少し起伏があったら良かったな~、と。
あと、小学生の声をサンプリングしたとは思えない低音部分が強く、
サビの高音がちょっと無理しているように聴こえたのは否めません。
が、ユキの調声(特に高音部)ってめちゃくちゃ難しいらしいし、
それを考えるとこれだけきちんと聴けるのは十二分にすごいです。


14.好きです
ラヴリーPらしいキャッチーなメロディは今回も健在。
合いの手のように時々入る効果音がいちいち面白いですね。
特別耳に残るほど強烈なインパクトがあるわけじゃないんだけど、
曲が流れ出すとつい口ずさんでしまう不思議な曲ですね。
シンプルな「好きです」を繰り返す歌詞の影響もあるのでしょうかね?


15.Skyscraper  (週刊VOCALOIDランキング#139:34位)
自信ないんだけど、この曲のボーカルはルカでしょうか?あるいはAppendミク?
【6月7日追記】アップされた動画によるとGUMIを使用しているようです。
確かに言われてみればあの声はGUMIですよね。我ながらなぜ分からなかったんだorz

2つ前のmeteor36.0よりも強烈な疾走感がとにかく心地よく、
MEIKOを思わせるような力強さのあるボーカルが強く印象に残ります。
さすがはazuma氏と思わせる圧倒的な存在感のある1曲ですね。
とても同じ人が「あなたの歌姫」や「Happy Fruits!」を作ったとは思えませんw
最近ニコニコだとあまり名前を見なくなったけど、本当に幅広い曲を作る人ですね。
ちなみにSkyscraperの意味は歌詞にもある「摩天楼」


16.ジェンガ  (週刊VOCALOIDランキング#123:2位)
ハイテンションな曲が続いて高ぶっていた気持ちを落ち着かせるような1曲ですね。
それでいてバラードではなく、切ないミドルチューン。
なんでこの人の曲はいつも心の奥底に入り込んでくるのでしょう。
最後のサビ前の間奏部分の電子的な声の出し方はこれまでなかったものでした。


17.Pierrot  (週刊VOCALOIDランキング#123:4位)
前作のStardusterはどうも好きになれなかったけど、これは良かった!
from Y to Yの影響が強いせいか「ジミー=バラード」な印象が強かったけど、
この人の曲ってこれみたいにアップテンポな曲の方が自分は好きですね。
それでいてサビでは一瞬テンポが遅くなりバラード的な盛り上げ方もしているのが上手い。
また、思ったことをそのまま歌詞にしている等身大な歌詞もこの人らしいし、
締めとしてのバランスも取れた良い1曲だったんじゃないかと思います。




●曲順に関して●
ほぼ完璧と言って良いでしょう。特筆すべき点は最初と最後でしょうか。
PierrotからARiAへのリピート時の違和感が驚くほどありませんでした。
それこそ、元からこの2曲で続くんじゃないかと思わせるほどでしたね。

ただ、個人的な感覚だけど1箇所だけ気になった部分がありました。
「7:ローリンガール」と「8:グリグリメガネと月光蟲」は逆の方が良かった気が。
グリグリ~の前後が共に高音中心のハイテンポな曲だったので、
この部分だけ谷底のように沈んでいて、正直浮いちゃったんじゃないかなと。
仮にこの2つを逆とすると、ローリンガールの1つ前になる「6:madder sky」と
グリグリメガネはどちらも落ち着いた曲調だし、上手く繋がったんじゃないかなぁと。
素人ながらにそこだけは強く感じましたね。


○まとめ○
元々ハードルを下げて聴いたせいもあるけど、予想よりも好きだと思える曲も多かったです。
最近流行りの自分としてはよく分からない人も多かったから、
半分くらい当たりならそれでいいと思ってたんだけどね。
正直に言えば肌に合わない曲も多少あったけど、思っていたよりはずっと少なかったです。

お気に入りを挙げるならまずは「1:ARiA」と「15:Skyscraper」の2つ。
あとは「2:はなゆりかご」「4:BLUE」「16:ジェンガ」辺りですかね。
我ながらミーハーで月並みな選択だとは思いますが・・・

また、このアルバムに入れるための書き下ろし曲が集まっているだけあって、
「supernova」というタイトルがイメージできる曲が揃っています。
前作同様今回もアルバムとしてのまとまりは感じられて非常に良かったです。
アルバムとしてのまとまりという点のみを考えるなら、
ニコニコ動画上で人気が出た(というより再生数が伸びた)曲を後から寄せ集めただけの
最近のボカロコンピアルバムと比べるなら、こちらの方がよっぽど好感が持てます。

ただ、期待値より良かったとは言え前作の「DREAMA」以上の曲は正直なかったのもまた事実。
まぁ、あんな衝撃を受けるような曲にぽんぽん出会えちゃったらそれはそれで困るけどねw



●オマケ●
・ぼからん掲載時期に関して

本CD収録楽曲のうち、最初にぼからんTOP30入りしたのはデPの幸運のツボ(#122:6位)で、
最近もARiA(#135:1位)やグリグリメガネ~(#136:3位)などが賑わしています。
その期間はなんと13週、実に3ヶ月以上もの間代わる代わる上位入りしていることに。
【6月7日追記】
更に#139ではトップ30には入らなかったもののSkyscraperが34位にランクイン。
これも含めれば約4ヶ月にわたっているということに。


前作の時にも同じことを感じていたのですが、
各楽曲のニコニコ動画への投稿時期がこれだけずれているにも関わらず、
収録曲のうち半分以上はぼからんで上位に入るのは本当にすごい。
もちろんこのCDに収録されている曲だから人が集まりやすいのはあるだろうけど、
それを差し引いてもすごいことではないかと。

・ニコニコ動画上のARiAの荒れっぷりに関して
「PVだけ」だの「SPiCaの方が100倍マシ」などの余りに酷い叩かれっぷりに思わず苦笑。
SPiCaが比較対象になるのは曲調も似てるし仕方ないとは思うんですよ。
実際自分もこの人の曲でこれまでまともに聴いたことがあったのはSPiCaだけだったし。
個人的な好みを言うなら、サビのインパクトはSPiCaの方が強かったけど、
曲全体の完成度で言えば断然ARiAですね。
サビ以外のミクの発声の自然さなどは、比べるとだいぶ違うように思えます。
(VocalolegendのSPiCaは聴いていないのでニコニコ動画上の音源での比較ですが)

で、ARiAが叩かれてるのは恐らく映像に気合入れすぎてるから。
映像が凝れば凝るほど曲をまともに聴かないで評価を下す輩が増えるのが現状だし。
だから、ARiAの映像は綺麗だとは思うけど、動画としては失敗だったと自分は思うんだ。
もちろん曲を聴いた上で合わないと感じたならそれは仕方ないことだと思うけどね。
ま、「言いたい奴には言わしとけばいい」ってのが本音ですが、
「どっちもいい曲なんだからそれでいいじゃん」ってのが1番の本音。

別にARiAに限った話じゃないけど、過剰な映像演出なんて必要ない。ってのが持論です。
これについて詳しく語るとこの記事が倍くらいになっちゃうのでそれはまたの機会にw



走り出すこの思い アリア
続けて このメロディーを
きっと 意気地無し 足跡おざなり
響きだすあの譜面 彼方
一粒 波紋のように
君に逢えるなら 奇跡さえもみかたにして

ARiA / とくP


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