すべての愛がゆるされる島 (メディアワークス文庫)
2010年7月29日 読書
「電撃文庫を読んで大人になった人へ贈る」
そんな謳い文句の「メディアワークス文庫」
以前から気になっていたレーベルでした。
そんなレーベルから以前はまった「さよならピアノソナタ(電撃文庫)」
の著者、杉井光氏の「すべての愛がゆるされる島」を読んでみました。
最初は大人のためのライトノベルを想像してましたが、
どうもそれとはちょっと違う感じでしたね。
さしずめライトノベル作家の書く一般文芸といったところでしょうか。
さて、そんな本書。概要はこんな感じ。
(今回はネタバレはナシ。ネタバレすると途端につまらなくなる作品だと思うので)
主にバイトの休憩時間を使い1ヶ月くらいかけてじっくり読みました。
章ごとに視点がコロコロ変わるので最初は多少混乱したものの、
慣れてくる頃には交互に進むそれぞれの物語にしっかり引き込まれます。
読み終わった後には不思議な読後感の残る作品でしたね。
少しずつ明らかになってくる島や教会の秘密、
交互に進む複数の物語が1つに繋がる瞬間。
そういった物語上の決定的瞬間とでもいうべき時が、
不自然な前兆などなく、ごく自然にやってきます。
流れを遮らずに核心に迫るとでも言いますか。
展開としてはよくある手法なんだろうけど、描写の上手さはさすがでしたね。
物語中の愛情は内容が内容なので理解が難しい部分もありますが、
そんな中にもある種の人間らしさが描かれており、
内容とは裏腹な人の暖かみが感じられました。
愛情と狂気はみな紙一重なんでしょうね、きっと。
時々思っていたことですが、それを強く感じさせられました。
そして、最後にこれまでの雰囲気を吹き飛ばすような希望を見せ、
作中の、島について書かれた1冊の本から始まった物語を気持ちよく終わらせてくれる。
更にはこの本のタイトルに込められたもう1つの意味を見出せる。
そんなラストの魅せ方がとにかくよかったですね。
それがあの爽やかだけどそれだけではない不思議な読後感を生んだのでしょう。
基本笑える場面なんてほとんどないシリアス一直線な物語ですが、
かといって鬱々と暗い気持ちで読み続ける作品でもありません。
それ故に最後まで落ち着いて読むことのできる1冊になっていると思います。
○以下余談○
改めてこの人の作品の面白さに触れたように思います。
概要だけ見ると正直そこまで好みじゃないんだけど、
「神様のメモ帳」も読んでみようかなぁ。
あとメディアワークス文庫のコンセプトもそれなりに自分に合いそうな感じ。
さすがにまだ創刊から半年ちょっとなので数は少ないけど、
面白そうな作品があれば他にも手を出してみたいですね。
(ちなみに本書を読む前に同レーベルの「お茶が運ばれてくるまでに(時雨沢恵一著)」
も読んだのですが、あっちは詩的なものだったので、
自分が文庫本に求めるものとはちょっと違った感じでした。
本全体の雰囲気とかは好きだったんだけどねー)
それにしてもネタバレなしで本の感想を書くのって難しいものですね。
極力核心部分は突かないように書いたつもりだけど、
未読者からしたらこれでもネタバレに感じる部分もあるのかも知れないし。
まぁたまにはこんな書き方も悪くはないでしょう・・・か?
そんな謳い文句の「メディアワークス文庫」
以前から気になっていたレーベルでした。
そんなレーベルから以前はまった「さよならピアノソナタ(電撃文庫)」
の著者、杉井光氏の「すべての愛がゆるされる島」を読んでみました。
最初は大人のためのライトノベルを想像してましたが、
どうもそれとはちょっと違う感じでしたね。
さしずめライトノベル作家の書く一般文芸といったところでしょうか。
さて、そんな本書。概要はこんな感じ。
(今回はネタバレはナシ。ネタバレすると途端につまらなくなる作品だと思うので)
赤道直下の地図にも載っていない島。
その島ではどんな愛でも許される。
不倫だろうと同姓だろうと、あるいは血の繋がりがあろうとも。
その島の教会は、2人が本当に愛し合っているならば誰でも祝福してくれる。
これは、そんな島に訪れる人々の物語。
主にバイトの休憩時間を使い1ヶ月くらいかけてじっくり読みました。
章ごとに視点がコロコロ変わるので最初は多少混乱したものの、
慣れてくる頃には交互に進むそれぞれの物語にしっかり引き込まれます。
読み終わった後には不思議な読後感の残る作品でしたね。
少しずつ明らかになってくる島や教会の秘密、
交互に進む複数の物語が1つに繋がる瞬間。
そういった物語上の決定的瞬間とでもいうべき時が、
不自然な前兆などなく、ごく自然にやってきます。
流れを遮らずに核心に迫るとでも言いますか。
展開としてはよくある手法なんだろうけど、描写の上手さはさすがでしたね。
物語中の愛情は内容が内容なので理解が難しい部分もありますが、
そんな中にもある種の人間らしさが描かれており、
内容とは裏腹な人の暖かみが感じられました。
愛情と狂気はみな紙一重なんでしょうね、きっと。
時々思っていたことですが、それを強く感じさせられました。
そして、最後にこれまでの雰囲気を吹き飛ばすような希望を見せ、
作中の、島について書かれた1冊の本から始まった物語を気持ちよく終わらせてくれる。
更にはこの本のタイトルに込められたもう1つの意味を見出せる。
そんなラストの魅せ方がとにかくよかったですね。
それがあの爽やかだけどそれだけではない不思議な読後感を生んだのでしょう。
基本笑える場面なんてほとんどないシリアス一直線な物語ですが、
かといって鬱々と暗い気持ちで読み続ける作品でもありません。
それ故に最後まで落ち着いて読むことのできる1冊になっていると思います。
○以下余談○
改めてこの人の作品の面白さに触れたように思います。
概要だけ見ると正直そこまで好みじゃないんだけど、
「神様のメモ帳」も読んでみようかなぁ。
あとメディアワークス文庫のコンセプトもそれなりに自分に合いそうな感じ。
さすがにまだ創刊から半年ちょっとなので数は少ないけど、
面白そうな作品があれば他にも手を出してみたいですね。
(ちなみに本書を読む前に同レーベルの「お茶が運ばれてくるまでに(時雨沢恵一著)」
も読んだのですが、あっちは詩的なものだったので、
自分が文庫本に求めるものとはちょっと違った感じでした。
本全体の雰囲気とかは好きだったんだけどねー)
それにしてもネタバレなしで本の感想を書くのって難しいものですね。
極力核心部分は突かないように書いたつもりだけど、
未読者からしたらこれでもネタバレに感じる部分もあるのかも知れないし。
まぁたまにはこんな書き方も悪くはないでしょう・・・か?
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