夏戦

2010年8月6日 映画 コメント (2)
本日の金曜ロードショー「サマーウォーズ」を観ました。
公開当初もそれなりに気になって、
機会があれば観てみたいと思っていた作品でした。
元々映画自体あまり観ない人なので、
映画館に行ってまで、というのは微塵も考えませんでしたが。
なので今回放送されることを知り、珍しく楽しみにしていました。

で、観た率直な感想としてはまぁまぁ面白かったです。
細かいことを言い出せばツッコミは色々ありますが、
そういう部分を気にせず観れる作品にはなっていたと思います。
ただ、「日本アカデミー賞アニメ部門最優秀」
という肩書きから期待していたほどではなかったなぁ。
まぁこの類の称号がイコール面白さだとはまったく思ってないけど。


以下ネタバレも含みます。閲覧注意
 



思うにこの作品があそこまでウケた理由はきっと「ギャップ」なんでしょうね。
昔ながらな風景にキャラクター。そして物凄い大家族構成。
様々な面で「古き良き」を想像させる(作中の)現実世界の描写。
どうしたってほのぼのとした日常を描く作品なんだと最初は思うじゃないですか。
でも、異変が起こる戦いの舞台はコンピュータの中のデジタルな世界。

これまでも電脳世界を舞台にした作品はアニメ・実写を問わず多々あったと思う。
ただ、そんな作品は作中の現実世界も割と近未来的に描かれることが多いかと。
でもこの「サマーウォーズ」の舞台はコンピューターなんて微塵も感じられないようなド田舎。
そこから電脳世界にアクセスし、事が起こるというのはある種新鮮に見えました。
そんなギャップで最初に引き込まれるんだろうなぁ
その辺の「先入観」の裏をついた創りには監督のセンスを感じましたね。

ちなみに自分がこの作品から感じたもっとも強いイメージは家族の絆云々よりも、
「なんでもかんでもデジタル化してしまうことに対するアンチテーゼ」でした。
自我を持ったAIの暴走という面でももちろんなんだけど、
それ以上にこの側面を強く感じたのは「電話」でした。

登場人物の大半が携帯電話を使っているのに対し、
16代目当主である最強おばあちゃんが使っていたのは昔ながらの「黒電話」
昔ながらのアナログなものを人のつながりを作るものとして、
オズのような全てをデジタル化している世界と対比して、上手く描いていたと思います。
「電話がそもそもデジタルの賜物じゃないか」というツッコミは置いといて、


さて、誉めるべき部分は誉めたので以下けなしますw


導入部分や、電脳世界オズに異変が発生するまでの流れなんかは非常によかったです。
ただ後半、巨大化したラスボスとの最終戦に突入する場面で一気に萎えました。
いい具合に盛り上がってきて、いよいよラストスパート!
とダッシュをかけた瞬間に石につまづいてすっ転んだ気分でしたね。

ラスボスとの最終戦が花札ってのがシュールすぎたのもあるんだけど、
それ以上にその花札のプレイヤーが夏希だったのに納得できなかった。
なんでこれまで散々戦ってきた健二やカズマを一切合財無視して彼女だったのか。
この大家族で彼女が1番花札が強かったりでもしたんですかね?

んで最初は順調に勝っていくんだけど1回ミスって追い詰められる。
そこで絶体絶命って時に世界中の人々が助けてくれて変身。
そして逆転勝利って・・・ この展開には空いた口が塞がらなかったよ。
別にこの展開自体はお約束みたいなものだしそこに不満はないんだけどさ。
あんだけ散々「家族の絆」を謳い文句をにしておいて、
結局は見ず知らずの人から「オラに元気を分けてくれ」で逆転勝利ってどうなのよ。

家族の絆について更に言うなら正直その30人近くいる家族の(ほぼ)全員に、
ちょっとでも何かしら見せ場があるものだと思ってたんですよ。
でも実際は家族って言っても大半は外野でギャーギャー言ってるだけのモブキャラ扱いで、
見せ場があったのは本当にごく一部。ヒロインの夏希、最強ばあちゃんにキングカズマ。
後はせいぜいワビスケとスパコン持ってきたオッチャンと船のオッチャンくらいかとw
もちろん主人公の健二とその友達も忘れちゃいけないけど、
彼らは言ってしまえばこの家族からは部外者ですからねw
花札の最後は結局世界中の人のおかげで勝てたようなもんだし、
最後の最後で危機を救ったのも結局は主人公の健二。
それで「家族の絆」云々言われるのもなんだかなぁ、ってのが正直なトコロでした。

それと最後に落下してきた衛星も衝撃波を発生させただけで終わり。
あんな機会が超高速で落ちてきたら普通爆発の1つでも起こすんじゃないのかなぁ。



と、主に気になった部分を列挙してみましたが、
そんな細かい部分を気にさせない全体の雰囲気も同時に感じられました。
というのもこのお約束展開で不覚にも少し感動したのも事実だったんですよね。
後半が飛ばしすぎだったのはどうしても気になるものの、
深く考えず楽しむには良い作品だったと思います。エピローグは無難にまとめたと思うし。
ただ、なまじよく出来た作品だからこそ余計に細かい部分が気になるんだろうなぁ。
特にラストの元気玉展開だけはため息と失笑しか出てこなかったし。
うーん、どう評価していいのか、難しい作品でした。

ぁ、でも最後にこれだけは言わせて欲しい。

おい夏希先輩(の中の人)よ、

お前のその棒読みはもうちょっとなんとかならなかったのか

こんなことは極力言いたくないんだけど、それでも言わずにはいられない。
作品の良さを全てぶち壊すレベルの酷さだったと思うんだが・・・。

この中の人が誰なのかはよくは知らんけど、
つくづくアニメの声はそれを本業としている人にやってもらうべきだなぁ。
ってのをやっぱり感じずにはいられませんでした。特に若い人の場合尚更ね。

コメント

nophoto
通りすがり
2010年8月7日17:36

あのぉ~、一言だけ言わせていただきますと、テレビ版はかなりの部分カットがありました。
いろいろご感想はおありとは思いますが、まずは完全版を見てからにされた方が・・・・・

霧星
2010年8月11日0:11

今更このコメントが目に入るとは思えないですが一応・・・

わざわざご指摘ありがとうございます。
後半の飛ばし具合が不自然に感じられたのでもしやとは思っていましたが、
やはりカットされていた部分もあったのですね。

とりあえず本稿は「テレビで観た本作の感想」として据え置きます。
完全版を観る機会があるかどうかも分かりませんので。

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