個人的にはまっている「文学少女」シリーズ。
その著者である野村美月氏のデビュー作がこの「赤城山卓球場に歌声は響く」
だいぶ前にブックオフでたまたま見つけて買っておいたのですが、
読み出すきっかけがなくずっと積んだままになっていました。
それを少し前に読み始め先日読破したので簡単に感想でも。

本作はあとがきにもあるように作者の学生時代をベースに創られたもので、
登場人物はみんなそれぞれモデルとなる友人がいとのこと。
主人公である村上朝香のモデルは間違いなく作者自身なのだろうし、
ノンフィクションは嘘でも実際の出来事がかなり含まれてそうです。

ただ、小説としては荒削りな部分も多いと思う。
朝香と華世ちゃん以外のグループメンバーの描き分けは微妙だったし、
後半の卓球魔人だの神様だののくだりはにどうにも無理があった。
それに流れだけ見れば無難、というよりもむしろありがちな展開だったもんなぁ。

でもそんなマイナスな部分を補って、というよりもそれすらひっくるめて、
楽しい学生生活の雰囲気が伝わってくる暖かい作品でした。
主人公の朝香を通し、作者が過ごしただろう学生生活が見えてきます。
きっと作中の朝香の行動の大半は、そのまま作者の学生時代の姿なんだろうなぁ。
また、この人が本当に文学を愛していることが作品からも感じられ、
そこに「文学少女」へのルーツを垣間見たような気がしました。

それと同時にこういう楽しげな青春ものを読むと、自分自身の大学時代を思い起こしますね。
色々あったけど、やっぱり学生時代は楽しかったなぁってつくづく思います。
人はみんなそうやって年を取っていくのでしょう(苦笑)

作家「野村美月」のルーツを探るにはこれ以上ない1冊だと思います。
「文学少女」にはまったのなら読んでみる価値はあるような気がします。
物語として面白いと感じるかは人によるでしょうが、
自分はこの楽しそうな雰囲気だけで十二分に楽しめましたね。

ちなみにこの卓球場シリーズは全4巻。
ずっと続きを探しているのですが、見事に見つかりません。
さすがに古本でしかないだろうけど、2巻以降の出版数は相当少なそうだもんなぁ。
今から見つけるのは至難の業なのかも知れませんね。
あと文学少女の最新刊が今月末に発売ですね。
見習いシリーズ最終章、どう仕上げてくるのか今からとても楽しみです☆

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