桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)
2010年10月27日 読書
「文学少女」の元ネタ紀行4冊目。
少し前に完結した見習いシリーズで最後の1冊として使われた
チェーホフの「桜の園」を読んでみました。
いやはや、実に難解な1冊でしたね。
小説というよりは劇の台本のような感じで、
ひたすら人物同士のやり取りが続きます。
いわゆる地の文というものが存在せず、状況は所々にト書きで説明しているだけ。
そのうえ複雑な人物名に次々と入れ替わる登場人物と本名と一致していない呼称の数々。
何よりまったく馴染みのないロシアという国の作品なので、時代背景もよく知らないし。
そんな感じなので流れを掴むのがとにかく大変でした。
「文学少女」の菜乃じゃないけど、何回登場人物紹介を読み直したか分かりません。
文字を読めるだけで文学を読めるとは限らないというのを痛感させられましたね。
国柄や時代背景のギャップが大きすぎて流れについていけなかった感じは否めません。
内容を見ても、やれ「お前ら出てくる度にいちいちキスしすぎだ」だの
やれ「ラネーフスカヤがいつまでもうじうじしててうぜぇ」だったり、
「莫大な借金を抱えてるのに通行人に金貨を振舞うとかイミフwww」とか
「ガーエフがいちいちKYすぎるwwwwww」だのと、
草生やしながらひねくれた読み方しか出来ない自分に我ながら嫌になりましたよ。
そういった行動の背景まできちんと読み込めてないんですよね。
ただ、これはあくまでも読み手の自分がダメなわけで。
馴染みのないジャンルだということもあるだろうけど、
自分の読書力の低さが露見したようで軽くナーバスになりました。
そんな風に思いながらもところどころは共感できた部分もあって。
登場人物それぞれが舞台となる桜の園を愛しく思っているのは十分伝わってきたし、
何気ない日常的な会話の雰囲気はきっと現代ともそう変わるものではないのでしょう。
テンポ良く読めた部分に関してはそういう素朴な雰囲気を感じることができたわけだし。
競売が終わり桜の園が売却されることが決定した瞬間の絶望感や、
そこから新たな1歩を踏み出す際の前向きになろうという気持ちには共感できたしね。
その裏で桜の木が切り落とされているという切ないけれど不思議な感覚には、
なんとも言えない文学的なものを感じたような気もしなくはない。
こんな風に、断片的にはこの作品の味わいを知れたような気は確かにするのです。
きっと「文学少女」内の菜乃みたく何回も何回も繰り返して読んでいくうちに、
色々なことが理解できてきてその面白さも分かっていくんだろうなぁ。
1回読んだだけでは断片的でしかなかった心地よさが、
読み込んでいくことで物語全体に広がっていくんだろうなぁという感触です。
噛めば噛むほど味が出る、とでも言いましょうか(笑)
あるいは元々が舞台用の戯曲なわけだし、万が一舞台でも観れる機会があればなぁw
とにかく、繰り返し読むことが大事になりそうな1冊なので、
そのうちにまた読み直してみたいと思います。
それがいつになるのかは今はまったくもって不明ですが
ちなみにこの本に同時収録されているもう1作「三人姉妹」も読んでみました。
が、こちらは「桜の園」以上に難題でした。
まず、「文学少女」によるある程度の知識がなく、まったく1からの読み始めだったこと。
それとこちらも登場人物がかなり多く、しかも大半が軍人だということがね。
桜の園はまだ人物それぞれ職業や立場が違っていたので把握が多少はしやすかったけど、
こっちは主人公となる三姉妹+兄(弟)のアンドレイ以外はほぼみんな軍人と来たもんだ。
誰がどの階級でどの隊の人なのかとか考えながらいるともう大混乱。
特に印象的だったのはアンドレイの妻ナターシャの豹変っぷりと、
(誰だったかはあやふやなんだけど)やたらモスクワに行きたがってたことくらいか。
そんなわけで自分の中での脳内BGMは「めざせモスクワ」でしたw
とまぁ、こんな程度の無味感想しか出てこないわけで、
桜の園以上に読めていないのは言うまでもなく(汗)
ついでに触れておくと本編はイマイチ掴みきれない部分も多かったんだけど、
巻末の解説はすごく分かりやすかったですね。
チェーホフという作家の人物観や作品観に加えて、
簡単な上演の歴史などが分かりやすく書かれていました。
チェーホフの四大劇が持つ悲劇と喜劇の両要素についての話や、
以前に書いた2つの小説を組み合わせて出来た「桜の園」などと、
分かりやすく興味を持てる内容が凝縮されてますね。
他の本を読んでいて解説にここまで感心することは滅多にないだけに、
非常に良い解説だと感じました。
まぁ自分がまったく知らない世界を見たからこそそう感じたという部分もありそうですが。
ということで「文学少女」の元ネタ紀行4冊目「桜の園(+α)」の感想はこれにて終了。
次は「オペラ座の怪人」に行こうと思っていたのですが、
未読のラノベが溜まってきているのでちょっと休憩しようと思います。
時期的に挿話集4が出る頃にはまた読みたくなりそうな気がしますw
少し前に完結した見習いシリーズで最後の1冊として使われた
チェーホフの「桜の園」を読んでみました。
いやはや、実に難解な1冊でしたね。
小説というよりは劇の台本のような感じで、
ひたすら人物同士のやり取りが続きます。
○○(人物名) ~~~~~(台詞)という文体はまさに台本そのもの。
いわゆる地の文というものが存在せず、状況は所々にト書きで説明しているだけ。
そのうえ複雑な人物名に次々と入れ替わる登場人物と本名と一致していない呼称の数々。
何よりまったく馴染みのないロシアという国の作品なので、時代背景もよく知らないし。
そんな感じなので流れを掴むのがとにかく大変でした。
「文学少女」の菜乃じゃないけど、何回登場人物紹介を読み直したか分かりません。
文字を読めるだけで文学を読めるとは限らないというのを痛感させられましたね。
国柄や時代背景のギャップが大きすぎて流れについていけなかった感じは否めません。
内容を見ても、やれ「お前ら出てくる度にいちいちキスしすぎだ」だの
やれ「ラネーフスカヤがいつまでもうじうじしててうぜぇ」だったり、
「莫大な借金を抱えてるのに通行人に金貨を振舞うとかイミフwww」とか
「ガーエフがいちいちKYすぎるwwwwww」だのと、
草生やしながらひねくれた読み方しか出来ない自分に我ながら嫌になりましたよ。
そういった行動の背景まできちんと読み込めてないんですよね。
ただ、これはあくまでも読み手の自分がダメなわけで。
馴染みのないジャンルだということもあるだろうけど、
自分の読書力の低さが露見したようで軽くナーバスになりました。
そんな風に思いながらもところどころは共感できた部分もあって。
登場人物それぞれが舞台となる桜の園を愛しく思っているのは十分伝わってきたし、
何気ない日常的な会話の雰囲気はきっと現代ともそう変わるものではないのでしょう。
テンポ良く読めた部分に関してはそういう素朴な雰囲気を感じることができたわけだし。
競売が終わり桜の園が売却されることが決定した瞬間の絶望感や、
そこから新たな1歩を踏み出す際の前向きになろうという気持ちには共感できたしね。
その裏で桜の木が切り落とされているという切ないけれど不思議な感覚には、
なんとも言えない文学的なものを感じたような気もしなくはない。
こんな風に、断片的にはこの作品の味わいを知れたような気は確かにするのです。
きっと「文学少女」内の菜乃みたく何回も何回も繰り返して読んでいくうちに、
色々なことが理解できてきてその面白さも分かっていくんだろうなぁ。
1回読んだだけでは断片的でしかなかった心地よさが、
読み込んでいくことで物語全体に広がっていくんだろうなぁという感触です。
噛めば噛むほど味が出る、とでも言いましょうか(笑)
あるいは元々が舞台用の戯曲なわけだし、万が一舞台でも観れる機会があればなぁw
とにかく、繰り返し読むことが大事になりそうな1冊なので、
そのうちにまた読み直してみたいと思います。
ちなみにこの本に同時収録されているもう1作「三人姉妹」も読んでみました。
が、こちらは「桜の園」以上に難題でした。
まず、「文学少女」によるある程度の知識がなく、まったく1からの読み始めだったこと。
それとこちらも登場人物がかなり多く、しかも大半が軍人だということがね。
桜の園はまだ人物それぞれ職業や立場が違っていたので把握が多少はしやすかったけど、
こっちは主人公となる三姉妹+兄(弟)のアンドレイ以外はほぼみんな軍人と来たもんだ。
誰がどの階級でどの隊の人なのかとか考えながらいるともう大混乱。
特に印象的だったのはアンドレイの妻ナターシャの豹変っぷりと、
(誰だったかはあやふやなんだけど)やたらモスクワに行きたがってたことくらいか。
そんなわけで自分の中での脳内BGMは「めざせモスクワ」でしたw
とまぁ、こんな程度の無味感想しか出てこないわけで、
桜の園以上に読めていないのは言うまでもなく(汗)
ついでに触れておくと本編はイマイチ掴みきれない部分も多かったんだけど、
巻末の解説はすごく分かりやすかったですね。
チェーホフという作家の人物観や作品観に加えて、
簡単な上演の歴史などが分かりやすく書かれていました。
チェーホフの四大劇が持つ悲劇と喜劇の両要素についての話や、
以前に書いた2つの小説を組み合わせて出来た「桜の園」などと、
分かりやすく興味を持てる内容が凝縮されてますね。
他の本を読んでいて解説にここまで感心することは滅多にないだけに、
非常に良い解説だと感じました。
まぁ自分がまったく知らない世界を見たからこそそう感じたという部分もありそうですが。
ということで「文学少女」の元ネタ紀行4冊目「桜の園(+α)」の感想はこれにて終了。
次は「オペラ座の怪人」に行こうと思っていたのですが、
未読のラノベが溜まってきているのでちょっと休憩しようと思います。
時期的に挿話集4が出る頃にはまた読みたくなりそうな気がしますw
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