"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1)
"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1)
本日読み終わりました。
いや~、本作もなかなか面白かったです。

ということで「文学少女」シリーズの野村先生の新作、
「"葵" ヒカルが地球にいたころ……」です。
文学少女完結から僅か1ヶ月での新作発売。
最初はこれまでの刊行ペースと同じ8月始動だと思っていたので、
半熟作家と連続刊行だったのにはビックリ。

(画集も含めて)文学少女の余韻覚めやらぬまま新シリーズへ突入。
文学少女で獲得した野村美月読者を手放したくないだろう
ファミ通文庫編集部の意図が見え見えです(笑)


率直な感想としては「随分アッサリと終わってしまったなぁ」という印象。
今回は一気読みせず、多少時間をかけて読んだ影響も多少はあると思うけど。
1巻ということで序章的意味合いが強いせいか、
全体的に駆け足で過ぎていってしまった感じが否めません。
イマイチ作品の世界観に入り込めずに終わってしまった気がします。


まぁ葵と帆夏が可愛かったからいいけどね!(マテ


冗談はさておきもちろん面白いとは感じたんだけど、
正直に言うと文学少女を初めて読んだ時ほどの衝撃ではありませんでした。
まぁそれを求めるのは酷な話だし、そうなることを期待してたわけでもないけどね。
前シリーズと比較したり、そのせいでハードルを必要以上に上げるのは良くないと思うけど、
どうしたって多少は比べてしまうのが読者としてはツライところ。


と、マイナス部分から語りだたけど楽しめた1冊だったのは間違いありません。
ヤンキー(に見られてしまう)少年是光とハーレム王ヒカルの友情を育む過程や、
帆夏と協力し葵にアプローチをかける際のやり取りなどは微笑ましいものだったし。
あとはもうちょっとじっくり描いて欲しかった気はするけど、
葵がヒカルの本当の想いを知る場面なんかもすごく良かった。

それに何よりラスト数ページでの次の巻への引き方が相変わらずとても上手で、
なおかつ1冊の、葵の物語としても綺麗に完結しているのだからお見事。
元々シリーズとして描く前提になっているから次への引きがあるけども、
仮に、朝衣の伏線を全部無くして、エピローグでヒカルが成仏していたとしたら、
きっとそれはそれでキレイに1冊の本として完成されていたと思います。
1冊の中の物語を大きく崩すことなく、最後の数ページで次への期待をそそる。
文学少女の頃からその技法には定評があったけど、今回も見事な引っ張りっぷりでした。



また、今作は「源氏物語」をなぞった世界観やキャラ設定らしいのですが、
正直その辺は詳しくない、というかほとんど知らないのでイマイチよく分からない。
半熟作家のあとがきにもあったけど、知っているとニヤリと出来る場面は多いだろうなぁ。
と断片的には感じるんだけども。
とりあえず各キャラクターを源氏物語の登場人物を割り当ててるのは分かったけどね。
その辺に関しては詳しい人の分かりやすい解説なんかがあればぜひ勉強させてもらいたいw

大学の友人に源氏物語を専門に勉強してた人がいて、建学祭で展示を出してた人がいるんだよなぁ。
学生時代にはその展示を見に行ったりしてたんだけど、もっと詳しく話を聞けばよかったw



ところで、主人公是光の恋?の相談相手となる式部帆夏さんが、
読み進めれば進めるほど文学少女の琴吹ななせさんに見えて仕方なかったのですが。
最初は自分だけかと思っていたけど、やっぱりあれはななせに見えちゃうよねw
読み終わって他の人の感想ブログなり、某ラ板の該当スレを見るなりすると、
どうやら大半の人は同じように思っていた模様。
ネタバレ回避でしばらく避難してたので画集の短編含め感想読めない時期が長くて辛かったデスw

そんなこんなで今作も非常に楽しめました。
夏ごろには2冊目が出るようなので、楽しみに待ちたいと思います。
最後に核心に触れるネタバレ感想を少しだけ残しておきたいと思います。


<以下ネタバレ感想>
(白文字にしてあるので反転してネ☆)

ラストの引きと同じくらい「すごいな」
と思ったのが1章の前にある3ページの序文でした。
最初に読み始める時は普通に「葵の独白」のように思えるのに、
最後まで読み終わってから改めて見ると、それが「朝衣の独白」にしか見えなくなる。

1巻の話を追っていくと分かることがいくつかある。

まず、朝衣は何かしらヒカルの死に関する真実を知っている。
殺した犯人かどうかはまだ判断できないけど、
少なくともヒカルの死に立ち会ってはいる?
次に、朝衣は過剰に是光を警戒している。
ヒカルについてどこまで知っているのか等。

もう1つは葵に気を遣ってか本心を隠しつつも、
実はヒカルに恋をしていたかのように見える。
最後に、エピローグ最後の独白が朝衣のものであることは明白。

これらを鑑みてからあの序文を読むと、
やはり序文も朝衣のものであるという線が濃厚になってくる。
特に「一生のヒメゴト」「生と死のぎりぎりの境目」といった語句が引っかかる。
でもこれらは葵の独白だという先入観のもとで見た
1周目では特に気にならなかったんだよねぇ。

この序文を使ったトリックには本当に脱帽させられました。
きっと「源氏物語」のエッセンスも盛り込まれた独白なのだろう。
ということも読み取れはしないけど容易に想像ができますね。

とまぁこれだけ偉そうに語っておいて、思いっきりハズしてたら最高にカッコ悪いですねw


それとあとがきにある「裏設定」のもう1つ混じっている名作が何なのか?
正直まったく見当が付きません。
上記ラ板のスレを見ると「星の王子さま」説が有力なような気がしましたが、
何分自分で判断できるだけの文学知識がないだけになんとも言えません。

「とらドラ」だのとも言われてますが果たして真相は如何に?
どこかに考察記事とか落っこちてないかなぁ?w



●オマケ●
""(だぶるくおてーしょん)でエラーを起こすレビュー機能とかマジ勘弁してください。

日記を書く画面までは行けるのに、更新時に「タイトル情報取得不可」
でエラーとかケンカ売ってるんですかねDiarynoteさん??
いくらなんでもこれは萎える・・・

(画像2枚目参照)

コメント

nophoto
ジョディ
2011年11月23日11:19

源氏物語が大好きでよく読んでいたのですが、今回この話を読んでとてもおもしろかったです。
主人公の是光は、源氏物語では、惟光で、光源氏の乳兄弟です。(以下源氏物語の話)
葵は光源氏より、4歳年上で男の子を生んだあと死んでしまいます。
<夕顔>に出てくる頭条というのは頭の中将のことかな、と思います。で、頭の中将は光源氏の親友で、葵のお兄さんです。

話していると、長くなりそうなので、この辺にしときます。
<夕顔>の方の怨霊の話とかもたくさんあるのですが・・・。
また今度、暇なときにコメントしたいと思います。

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