源氏物語をモチーフとしたライトノベル「ヒカルが地球にいた頃」
この日記上でも再三触れている「文学少女」シリーズの著者、
野村美月さんの現行シリーズで、現在も愛読している作品の1つです。

「葵」から始まり「夕顔」「若紫」と続いて4巻目がこの「朧月夜」になります。
感想を書くのは1巻「葵」以来ですが、毎巻購入後すぐに読んでます。
この「朧月夜」を読んだのは5月の連休ごろ、およそ3ヶ月ほど前になるのか。

特筆すべきはやはり作品全体として源氏物語の流れを踏襲していること。
現代風のライトノベルにアレンジしつつも、キャラクターの名前や人間関係、
事件の大枠など引用している部分も多いみたい。

とは言え題材となっている源氏物語に関する知識はほとんどないので、
細かいエッセンスなどは理解できていないでしょう。
元ネタとオリジナルな部分の線引きが良くも悪くも分かりにくく、
一歩間違えたら単なるハーレムラノベに見えかねないと思うのですよ。
(まぁ、源氏物語自体がハーレム文学のさきがけみたいな節があるようにも感じますがw)

それでもお話の上手さや魅力的なキャラクター、素敵なイラストと見所満載。
特に今回のツンデレ枠である帆夏さんのうざかわいさが実に素晴らしいw
いつもメインヒロインになれない辺り、話が進めば進むほど琴吹さん状態で、
微妙な空回り具合の描写が本当に秀逸で、
逆襲はまだかとやきもきしながら読むのが楽しくてなりません。


1冊単位で見ると毎回話は割とシンプルで分かりやすい王道ど真ん中。
割と先の読めてしまうもの、というのが正直なところ。
分かりやすい悪者を是光とヒカルのコンビがやっつけて一件落着。
各巻のヒロインを窮地から救っていくという比較的分かりやすいお話。
是光の縦横無尽な暴れっぷりが毎回爽快です。
あんな風に後先考えずに突っ走れるのはカッコイイですよね。

ですがそこに至る経緯は微笑ましくもあり切なくもあり。
前作の文学少女ほど捻くれた展開ではないものの、
哀しい部分も含めた心地よい読後感や、次への含みの持たせ方が毎回素敵。

また、少しずつハーレムを構築していく主人公というラノベのお約束を地で行きつつも、
「ヒカルの死の真相」というシリーズ全体を通しての謎が存在しており、
そこにまつわる伏線が随所に散りばめられています。
それにより、単なるハーレムもので終わっていないバランスの良さはお見事です。
本編最後の数ページで次に引っ張る必殺のヒキは前シリーズから健在ですね。


正直に書くと、2巻「夕顔」はどうも展開が唐突すぎた感じがしたのと、
どうにも是光と夕雨が恋仲になる流れが理解できなかったこともあり、
イマイチ入り込めませんでした。その時点では「今回は微妙かな・・・」
という気がして、日記でもスルーしてしまっていました。

ですが3巻「若紫」以降はテンポ良くきちんと描かれている気がしましたね。
巻を追うごとに一層楽しくなってきていると感じます。

ヒカルの死の真相についてはまだ外堀から埋めている段階に見え、
核心に迫る気配がなかなか見えずじれったさを感じ始めているのも事実。
そろそろ真相に向かって大きな動きを期待したいところ。
その辺は次以降のお楽しみってことなのでしょう。

前シリーズの「文学少女」ほど没頭しているではないですが、
毎回楽しく読ませてもらっているシリーズです。
まぁ文学少女みたいな人生を変えさせられる作品に次から次へと出会ってたら、それはそれでやってられないですしw

今月末に新刊「末摘花」が発売予定。
この巻は通常版の他にドラマCDなどが同梱される"特装版"も同時発売。
どちらを買うべきか絶賛悩み中でありますw
とか言いつつも結局特装版のほうを買っちゃうんだろうなぁ。
なんにせりょ新刊楽しみなのですよー。

「そういや書いてないなぁ」と前から引っかかってはいて、
何かの折に軽く紹介?/感想?を書いておきたいと思っていた本作。
先日書いたビブリア古書堂の感想で文学少女があーだこーだ書いたので、
ちょうどいい機会だと思いこのシリーズについても改めて書いておきましたw

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