何を今更って話ではあるんだけどね。
先月初旬にフジテレビで放送された地上波初となるボーカロイド特番、
「ボーカロイド歌謡祭2013春」
放送が深夜だったためリアルタイムでは観られず録画しておいたのですが、
時間的・気持ち的にどうにも観る気になれずしばらく放置してしまい、
今月頭の連休を使ってようやく観ることになりました。
フジテレビなのでさして期待はしていなかったのですが、
一応ボーカロイドに関心を持つ身としては観るだけ観てはおこうかと思った次第です。
放送からは既に1ヵ月半ほど経ってしまいましたが、今日はそんなボカロ歌謡祭について。


<主な放送内容>

・オープニング
 ボーカロイドの紹介・街頭インタビュー
 Google Chrome CMの紹介・ミクの日感謝祭映像 など

・ライブ『39』[詞:Deco*27 / 曲:sasakure.UK / 歌:初音ミク / 映像:SEGA]

・開発者インタビュー:ヤマハ剣持氏・クリプトン佐々木氏
・2012年下半期VOCALOIDOランキングTOP20

・ライブ『チルドレンレコード』[詞/曲:じん / 歌:IA / 映像:番組オリジナル(MMD使用)]

・二次創作について紹介 (例題:千本桜)
1次:曲+絵+動画  2次:描いてみた・演奏してみた・踊ってみた

・ライブ『セツナトリップ』[詞/曲:Last Note. / 歌:GUMI / 映像:MMD]

・海外の反応紹介
 イスラエルのカラオケ(千年の独唱歌)、フランスのコスプレ+踊ってみた
 アメリカのアニメEXPO2011における初音ミクのライブ(BGM:from Y to Y)
・GACKTインタビュー ボーカロイドについての第一印象や実力について他

・ライブ『episode.0』[詞/曲:mathru / 歌:GACKT&神威がくぽ / 映像:MMD]

・ニコニコ歴代VOCALOIDOベスト10(再生数ベース)
・EDトーク
・ライブ『Tell Your World』[詞/曲:kz / 歌:初音ミク / 映像:SEGA]



おおよその放送内容はこんな感じでした。
詳しくは「初音ミクみく」にまとめられているのでそちらを参照されたし。
司会やナレーションの発言一字一句まで完全にまとめられててビックリなんだぜ。
http://vocaloid.blog120.fc2.com/blog-entry-15056.html


率直な印象としては「まぁ思っていたよりは観れたかなー」というところ。
色々と酷い部分やツッコミどころもあるにはあったけど、
フジテレビという補正込みで見ればまぁこんなところかと。
あらかじめ期待値を下げておくことで楽しめる心構えを作っていた感はあるけどね。
どこぞのビブリア古書堂のおかげで習得したスキルです。


<良かった点>
・GACKTインタビュー
・千本桜の扱い
・海外反応紹介時のBGMチョイス
・Tell Your World演奏時の映像の美しさ



まずはなんと言ってもGACKTのインタビューが良かったです。
ボーカロイドの中の人が語るボーカロイド観というのはまず貴重です。
世代を問わず割と幅広く知られている有名人がボーカロイドについてテレビで真剣に語る。
そしてその映像がきちんと電波に乗るということは非常に大きな価値を持つでしょう。
藤田咲や下田麻美がミクやリンレンについて語るのとはまた違う価値があるはずです。
5年前のTBSの悲劇を知っている身としては本当に感無量です。
GACKTのコメントはもとより質問内容もシンプルかつ核心に迫るもので、
この数分だけは心の底から観て良かったと思える内容でした。

続いて特筆すべきと感じたのが千本桜の扱いについて。
自分の予想ではもっと千本桜に重きを置いた番組になると考えていました。
事前の情報では初心者(≒一般人)に向けた番組になるとの話だったので、
知名度が比較的高いこの曲は使いやすいだろうと思っていました。
本番組の放送はミュージカルの千秋楽から間もない時期だし、
それこそ「あのAKBが主演で舞台化もしました!」
なんて謳い文句で大々的に扱うことも出来たハズだし、そうするだろうと踏んでいました。

が、実際には二次創作紹介の題材として使われた程度で曲演奏はなく、
ランキングでも他の曲より短めと最小限にしか触れられていなかったのが印象的。
それでも’12下半期と歴代と両方にランクインした唯一の曲だし、
登場回数では1番多かったのも事実ですけどね。
それを差し引いても知名度の割には控えめな出演だったことに好感を覚えました。
安易に人気曲に頼らない姿勢が見えたかな~と感じました。
(実際にそこまで考えて作っていたかはわかりませんが)


海外の活動紹介は特にカラオケの「千年の独奏歌」という渋い選曲が光ります。
ここもJOY SOUNDのランキング3位である千本桜を使うのが無難そうなところでしたし。
が、ライブはともかくランキングでもKAITOはほぼ蚊帳の外だったので、
こういう部分で少しでもバランスを取ろうとしたのでしょうか。
そもそもイスラエルでは千本桜はそんなに流行っていないのかも知れないし、
そこまで考えた結果であったのかは分かりませんけどね。

また、アニメExpoのミクライブのBGMもfrom Y to Yと渋いチョイス。
アメリカ上陸で真っ先に思い浮かぶのはワールドイズマインですが、
あえてそこを使わない辺りこの映像作った人は分かってるな~、
と勝手に感じてしまいましたね。

締めのTell Your Worldは改めて語るまでもなし。
安定のSEGAクオリティ。エンディングに相応しい素晴らしい映像でした。


<残念な点>
・VOCALOIDの綴りが間違っているのは論外
・ミク以外の映像がMMDに頼り切り、なのにMMDについての紹介がなかった点
・UTAUについて何一つ触れてないのにランキングに混ぜている点
・MEIKOに関する微妙にニュアンスの正しくない説明
・初音ミクの人気の理由が「細かい設定」だという嘘八百
・’12下半期ランキングの残念さここに極まれり



まずはMMDに関することから。
(MMD=MikuMikuDanceという初音ミクなどボーカロイドのキャラクターを自由に躍らせることが出来るソフトウェア。無料で配布中)

今回の番組ではチルドレンレコード、セツナトリップ、episode.0の3曲で、
それらの映像にMMDが使用されました。
そのクオリティが随分叩かれているようですが、
そこは重要視してないしそもそもあまり興味がないので本記事では触れません。

ただ、これだけMMDに依存している番組を作ったにも関わらず、
その技術について番組内で全く言及されなかったことは気になりました。
MMDは初音ミクを中心とするボーカロイドブームの中で生まれた、
二次創作の賜物の中でも最たる存在ではないでしょうか。
自分はボーカロイドによる映像関係の話題にはさほど興味はありませんが、
それでもこの技術がユーザーの手で生み出されたと言う事実は、
もっと世に知られるべきだと思うくらいには素晴らしいことだと感じています。

これを紹介しないでどの口が「『二次創作』って知ってますか?」などと言うのか。
別に描いてみたや演奏してみたを否定するつもりはないですが、
この番組構成なら真っ先にMMDを紹介すべきではないかと思いました。

なお、UTAUについても同様です。
番組内で何の説明もしていないのになんでランキングに載せてんだよって話です。
あくまでボーカロイドのランキングであるなら無断で含めちゃいかんでしょう。
失礼、あれはVOCALOIDOのランキングだから別物か。

別に何がなんでもUTAUは除外しろとまでは思いません。
詳しくは以下で述べますが独自ランキングであることについては、
そこまで否定的な姿勢ではないのでね。
ただし、番組内でそれが何なのかを少しでも紹介はすべきだったかと。
UTAUがボーカロイドに似ているけれど厳密には違うものだと番組内でも定義した上でなら、
UTAUであることを併記してランクインさせても問題ないと思います。
しかし何の説明もなしに曲名の横に「*UTAU」とだけ書かれてても、
ボカロオタ以外はそれが何のことかは分からんだろうに。
コレ本当に初心者に向けた番組だったんだろうか・・・?

UTAUだってボーカロイドから生まれた二次創作の賜物なわけだし、
二次創作紹介のコーナーでMMD共々ちょろっと紹介するくらいは出来たのでは?
以上2点の理由から二次創作紹介コーナーは、
もう少し作りようがあったと感じずにはいられません。
MMDとUTAU、二次創作の結晶とも言えるこの2つをスルーして
ボーカロイドの二次創作を語るのはいかがなものでしょう。
あとどうでもいいんですが、歌ってみたって二次創作には含まれないんですかね??


続いてMEIKOについて。
番組内では「2004年、初代VOCALOID"MEIKO"を発売 (以下略)」としていました。
しかし厳密に言うと、MEIKOよりも先に英国仕様のLEONとLOLAがいます。
日本でクリプトンによって作られた日本語対応のボーカロイドとしてはMEIKOが元祖。
これに間違いありませんが、完全に正しいとは言えない説明にはモヤモヤしました。
重箱の隅をつつくような話なのも分かるんだけど、なんだかなぁ。

ただしミクが人気になった理由、てめーはダメだ。
何まったく逆のこと垂れ流してるんだって話ですよ。
クリプトンにインタビューまでしておいてどうしてそんな話が出てくるんだよ・・・

最後に残念極まりなかったランキングについてですね。

<ランキングについて>

●2012年下半期VOCALOIDOランキングTOP20●
20位:Ib [IA / ユウ(Diarays)
19位:セツナトリップ[GUMI / Last Note.]
18位:アイドルを咲かせ[初音ミク / Mitchie M]
17位:如月アテンション[IA / じん]
16位:カゲロウデイズ[初音ミク / じん]
15位:再教育[鏡音リン・レン / Neru]
14位:放課後ストライド[GUMI / Last Note.]
13位:地球最後の告白を[GUMI / kemu]
12位:吉原ラメント[重音テト / 亜沙]
11位:Crazy∞nighT[ミクリンレンルカカイトメイコGUMIがくぽ / ひとしずくP&やま△]
10位:六兆年と一夜物語[IA / kemu]
9位:39[初音ミク / sasakure.UK&DECO*27]
8位:こちら幸福安心委員会です[初音ミク / うたたP]
7位:ODDS & ENDS[初音ミク / ryo(supercell)]
6位:永遠に幸せになる方法、見つけました[初音ミク / うたたP]
5位:千本桜[初音ミク / 黒うさP]
4位:カミサマネジマキ[GUMI / kemu]
3位:脳漿炸裂ガール[初音ミク・GUMI / れるりり]
2位:いーあるふぁんくらぶ[GUMI・鏡音リン / みきとP]
1位:チルドレンレコード[IA / じん]


●TOP20分布●

@使用ボーカロイド別(ただし11位Crazy∞nighTはカウントせず)
初音ミク:8(うち複合1)
GUMI:6(うち複合2)
IA:4
鏡音リン:2(うち複合2)
鏡音レン:1(うち複合1)
重音テト:1

@作者別
じん(自然の敵P):3曲
kemu:3曲
Last Note.:2曲
うたたP:2曲


なんというか、ビミョーすぎる。
この20曲の中できちんと曲を聴いたことがあったのが、
千本桜といーあるふぁんくらぶしかない。
加えて曲名くらいは聞いたことがあるかなー、
というのもODDS & ENDSとカゲロウデイズくらい。
恥ずかしながら39もこの番組で初めて聴きました。
おじさんもうついていけないよ・・・

たった4人のいまどき風作者でランキングの半分が埋まってるのはどうもなぁ。
と思わないではないですがこんな風に偏るのは別にボーカロイドに限った話でもないか。
例えば今のオリコンを見るといつだって嵐&AKB無双。
ごく一部の人気な人やグループに人気が集まるのは、ある意味当然のことでしょう。
そもそもボーカロイドに限っても自分ががっつり聴いていた時代だって、
supercellに偏りすぎてたしね。偏る対象が変わっただけのこと。
随分と特定の作者に偏ったランキングだとは感じますが、
気にしすぎたら精神衛生上良くないですね。


ところでIAって一体何者なんでしょうか?
GUMIが今やミクに次ぐ勢いで人気になっているのはなんとなく知っていましたが、
IAというボーカロイドについての知識は全く持ち合わせていませんでした。
それだけにこのランキングで1位には驚かされましたね。
とりあえずニコニコ大百科だけは読んでおきました。
http://dic.nicovideo.jp/a/ia%20-aria%20on%20the%20planetes-
昨年1月発売のVOCALOID3エンジン採用ボーカロイド。
中の人は歌手のLia、キャラデザは漫画家の赤坂アカピアノソナタの漫画版の人かー。
発売元は「1st PLACE株式会社」 ・・・・・・・ってどこ??????
とまぁそんな感じのボーカロイドらしい。(自己解決)

第一正直に言ってこのランキングの20曲、
ほとんどどれを聴いてもそんなに良いと思えないんです。
(聴いていて嫌な気分になるレベルのものはごく一部ではありますが)
ランキングで紹介されてもわざわざ聴いてみようという気に全くならない。
その時点で自分は過去の人なんですよ、えぇ。誰かに言われるまでもなく分かってます。


ちなみにこのランキング、最初はぼからんSP辺りから丸々引っ張ってきたのかと思いましたが、
どうやら番組による独自集計のランキングらしいです。
そもそもぼからんSP自体一昨年のSP6以降はアップされていない模様。
具体的な集計基準が不明でそれもまた叩かれる要因の1つになっているようですが、
よそのランキングを丸々転載するだけのやっつけ仕事よりは、
独自ランキングのほうがまだマシではないかと自分は思います。

それと未確認情報ながらランキング基準を下半期に限定したのは、
「年間にしてしまうと千本桜がぶっちぎってしまうから」という話もあるらしいです。
この話がもし本当だとしたら英断でしょう。個人的には評価します。
先に述べたように千本桜はこの番組で祭り上げられるべきではないと思っていますので。
だって千本桜は2011年に投稿された曲。
それが2012年のランキングで1位になってしまうのはやはり違うでしょう。
だからと言ってチルドレンレコードが1位なのもよく分かりませんが。

また、一部ではカゲプロのステマなどと叩いている人もいるようです。
言いたくなる心境も分かるけど、それを言い出したらキリがないと思うのもまた事実。
ジャニーズやAKBのオリコン1位連続記録なんてのも完全に出来レースなんだし。
この類のランキングはボーカロイドに限らずもともと恣意的な要素も大きい気がするので、
わざわざ改めて言うほどのことでもない、というのが個人的な見解です。
別にステマしたいならやらせときゃいいんですよ。フジテレビなんだし。
(その点良くも悪くも純粋に数字のみでランキングを作っているぼからんはすごいと思います)


もう1つ気になったのがODDS&ENDSは公式な動画は投稿されていないという話。
もしこれが本当だとしたらちょっと問題になるような気がします。
作者本人以外が投稿した曲をランクイン対象として良いのか。
これは過去に炉心融解の投稿者削除が行われた際に大きく議論になった話題です。
「独自集計だから」と言われてしまうとそれまでなのですが、
自分の感情的にはちょっとアウトな気がしてしまいます。
下地になるのがぼからんの判例しか無いので理由は弱いけどね・・・

この問題の是非について考えていくうちに、
ODDS&ENDSをOKとしたらTell Your Worldも入ってくるんじゃね?
という疑問が出てきました。軽く調べてみたところ実際に検証した方がいたそうです。

検証記事:http://ch.nicovideo.jp/myrmecoleon/blomaga/ar188169

この方の検証によると本番組のランキングと完全に一致したそうで、
「ほぼ間違いない」との結論が出ています。
考えてみたらTell Your Worldも動画が最初に投稿されたのは2011年末だし、
下半期のランキングではさすがに上位には来ないということですね。
完全に一致したことを考えると、上記UTAUの件も含めて仕方のないことなのでしょうか。


●歴代VOCALOIDO再生数ランキングTOP10●
10位:ワールズエンド・ダンスホール[初音ミク・巡音ルカ / wowoka]
9位:ブラック★ロックシューター[初音ミク / ryo(supercell)]
8位:千本桜[初音ミク / 黒うさP]
7位:ダブルラリアット[巡音ルカ / アゴアニキ]
6位:モザイクロール[GUMI / DECO*27]
5位:初音ミクの消失(Long Version)[初音ミク / cosMo]
4位:ワールドイズマイン[初音ミク / ryo(supercell)]
3位:マトリョシカ[初音ミク・GUMI / ハチ]
2位:メルト[初音ミク / ryo(supercell)]
1位:みくみくにしてあげる♪【してやんよ】[初音ミク / ika]



こちらは見事なまでにお馴染みの顔ぶれ。
純粋にニコニコの再生数の上位を抜き出した結果と言って良さそうです。
当然超一線級の有名曲ばかりのランキングになっています。
個人的な嗜好はさておき10曲全部しっかり聴いた曲だしだいたい予想通り。
驚いた点はマトリョシカが既にワールドイズマインを抜いていたことくらいかな。
千本桜はもうちょっと上かなーと思っていたのですが、
そこは時代の積み重ねの差が出た感じでしょうか。
それにしても分かっていたとは言えなんというryo無双。



<まとめ>
多少思うところはあるもののそれなりには楽しめました。
フジテレビにしてはまぁまぁ頑張った方ではないでしょうか。
繰り返しになりますがGACKTのインタビューは本当に良かったし、
Tell Your Worldの映像は絶品でした。
改めてこの曲が与えた影響の大きさを感じた映像でしたね。
正に歴史を変えた1曲と言うに相応しいでしょう。
それを改めて感じさせてくれただけでも十分評価に値しますので、
課題はあるものの及第点くらいははあげても良いかと思いました。





スペルミスさえ無かったら、の話ですが。




いやね、本当にね。一番肝心なVOCALOIDの綴り間違えてるようじゃダメでしょ。
いくらなんでもあの間違いは論外。他に良かった部分がたくさんあっても全部台無しだよ。
こういう絶対やっちゃいけない間違いを平気でしでかすんだから、
結局のところ手抜き番組だということでしょう。
全ボーカロイドファンから総スカンされたと言っても過言ではないかと。
仮に向こうにそんなつもりが無くても、これはそう見られるだけの誤字ですよ。
なんだよ、なんなんだよVOCALOID"O"って。ボーカロイドゥーってw
これがフジテレビクオリティ。


本当に、これさえ無ければもうちょっとちゃんと褒めてあげたのに・・・。
とは言え5年前の和田事件に比べればまだかわいいものだとも思うけどね。
ただ今と当時では時代がだいぶ違うからなぁ・・・・・


<最後に一言>
セツナトリップ演奏時のバックダンサーの動きが揃ってなさすぎてくっそ吹いた。

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