amazonのレビューを流し読みしていたら猛烈におすすめされた本作品。

このイラストはどう見ても竹岡さんなわけで、
表紙を見たその時点でほぼ購入が確定しましたw

でも一応ファンタジア文庫のサイトで概要チェックと試し読みをして、
内容的にも悪くないと判断して翌日に購入。
心情的には完全に表紙だけ見ての半衝動買いでしたが、
それでも試し読みはする辺りちゃっかりしてると我ながら思ったw


さて、そんな本作。内容をひとことで言うならば、
ライトノベル作家志望の少年と、日本語大好き少女のボーイミーツガールもの。
裏表紙のあらすじにある「ディクショナル・ラブコメディ」とはよく言ったものです。
この2人、少年「久坂縁」と少女「蒼井葉留」が高校入学時に同じ寮に入ることとなり、
出会ったところから本格的にお話が始まります。
その後、寮での生活を開始する中であれこれ起こって話が展開されるわけですが、
この蒼井葉留のキャラクターが実にいい。
イラストが大変に素敵なのはもちろんだが、文章を見てもしっかり笑わせてくれます。


部屋を飛び出す時に思わず手にとっていたのが「広辞苑」だったり、
「奥義<土龍天翔爆裂拳>とはどういう意味でしょうか?」と大真面目に質問して、
縁の心に大ダメージを与えたり。
図書室の辞書のラインナップで司書の人物像を語り倒してみたり。
辞書を読むという行為を「いうなればカルピス原液一気飲み」
と言い得て妙な思わずクスっときてしまう例えをしたり。

かと思えばラブレターのくだりでは文字だけでの手紙を渋る先輩に対して、
国語辞典に対して「二十四万色のパレット」なんて洒落た表現をしたり。
他にも「プリン」や「窓」「手紙」といった言葉の語源を語る薀蓄話もあります。
ちょっと抜けたところやずれている部分もあるけども、
日本語のことに関してだけは物凄い知識と鋭さを併せ持つ。
そんな葉留ちゃんが本当に可愛いです。


上記以外にも葉留というキャラクターを通して、
日本語を遊び倒す心意気が随所に感じられます。
ラブレター云々も最初はクスっと笑えるギャグにしておきながら、
最後にはビシっと決まった形に仕上げるギャップの作り方なんかは良かったです。
書いてあるものはそこまで違わないのに、
きちんとすればちゃんとなるって言うんですかね。



ところで話は変わるけどもこの作品の第一印象。
失礼ながら「どう見ても文学少女だ」と思ってしまいました。
細かい設定の違いは多々あるし、イラストの影響も物凄く大きいですが、
物書きの少年と書を愛す少女という構図は、どうしても文学少女を連想させます。
読了後軽く感想ブログなどを読んでみましたが、同じように感じた人はけっこういた模様。

ですが実際に読んでみると文学少女とはやや方向の違うお話のように感じました。
(まぁ、そもそも共通点は絵師だけなわけで、そりゃ当然なんですが・・・)
やっぱり第一印象に与えるイラストの影響って絶大ですね。

絵師ついでに挿絵についても触れておくと葉留ちゃんが本当に可愛いです(2回目)
それはさて置き見開き2ページを丸々使ったイラストは本当に絵になる。
1枚でそのシーンの印象を強烈なものに変えてしまう力があると言うか。
まぁ、文庫でのそれは本当に最終奥義のようなものなので、
「1巻でいきなりこれをやっちゃうか」とはちょっと思ったけどもw
その他の挿絵もたいへん素晴らしかったです。


完全に盲点だった作品ですがこれが意外と楽しめました。
最初はほぼ表紙買いだったのですが、内容的にも十分アリ。
確かに終盤の展開の唐突さや、超展開感が無かったとは言えないけれど、
今後が非常に楽しみなシリーズとなりました。
とりあえず2巻は出るようなので、ぜひぜひ日本語薀蓄を増量してもらい、
「ちょっと知的な」ライトノベルを目指して欲しい一作です。


ところでこの作品に限った話じゃないけど、
ここ最近やたらと「ラノベ作家(志望)」が主人公な作品多いですよね。
時雨沢さんの新作しかり、電撃文庫作家になるための10のメソッドしかり、
俺妹の人のタイトルを表記するのさえ考えたくなるほどアレなタイトルの新作しかり。
そういう作品が流行ってるんですかね最近は。
(と言うより電撃編集部が流行らせようとしている、の方が正しいかも・・・)

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索