ワタクシ的にいま1番ホットな作品。
「ココロコネクト」の最新刊が出ました!
ということで昨日発売日にゲットし、
さっそく今日1日使って読みふけりました。
今回もたいへん良かったです。
非常に楽しめた1冊でした♪



以下軽いネタバレを含みます。未読時要注意









今回の現象は他人の夢(大小様々な願望)がランダムに見えてしまう「夢中透視」
時期が高校2年の秋ということで、進路調査や修学旅行といったイベントがメイン。
そこに今回の現象が加わり、5人がそれぞれに葛藤していく姿を描いています。
「進路をどうするか」という問題はほとんどの高校生にとっては避けて通れないものであり、
それを通じて自分のやりたいことや在り方を考えるのは、
やはり誰しもが通った青春の悩みの1つなのではないでしょうか。
そんな思春期の悩みと「(広い意味での)夢」にまつわる超常現象。
これまでの例に漏れず、超常現象とリアルな悩みのくっつけるのが上手ですね。

また、新入部員2人を加えても、彼らはあくまでも脇に置いていて、
あくまでも2年生5人の「ペンタゴン・コメディ」を貫いていると感じられました。
この辺りがシリーズを通しても常に一貫しているのがたいへん好感触です。


今回はこれらの現象&イベントを通じて、
主人公八重樫太一の自分探しの物語が展開されていきます。
言うなれば「自己犠牲野郎」突破のための物語。
これまで語り部的な視点で、他のメンバーの成長のきっかけとなることが多かった太一。
そんな彼自身の在り方にようやく踏み込んだお話となりました。
これまでキズランダムの稲葉やカコランダムの青木、
ミチランダムの伊織とそれぞれ個々に踏み込んだ話がありましたが、
太一の内側にここまで踏み込んできたのは今回が初めてではないでしょうか。

ただ、これまでの格好いい状態はどこへやらな圧倒的小物感には思わず苦笑い。
やってることが方向性の違いはあれどニセランダムの千尋君そのまんまでした。
読み手という第三者的視点で見れば泥沼にはまってしまっているのが、
滑稽なほど分かりやすい状況なのに当事者となるとそれも見失ってしまうんだろうなぁ。
流されて周りが見えなくなってというのは分からないでもないのですが、
それでいいのか先輩!?って感じではありました(笑)


あとは今回は後半の挿絵が素晴らしいです。
331ページの白稲葉んはマジで傑作だと思うw
あとは305ページの青木と唯とか273ページの伊織とか、
場面は正反対なのにどちらもそれぞれに作品の絵に合っていてもうたまらんです。

本シリーズの挿絵は総じてそこまで露骨にあざとくなく、
なおかつ作品の雰囲気にすごく合っていて良いと思います!
まぁ「けいおん!」っぽいのは間違いなく事実だけど、
それだけで切り捨てちゃうのには勿体無い魅力のある絵に仕上がってると思いますね。


それから今回も藤島さんのキャラの濃さが尋常じゃなくて楽しかったですw
むしろ影の主役は藤島さんなんじゃないかとすら思えてしまいますね。

そんなわけで本日速攻読破!「ココロコネクト ユメランダム」感想でした♪


○オマケ○
以下ネタバレ更に濃くなるので反転。
もう少しだけ語りたいことをやりたい放題語りますw




以下反転(白文字)にて重要なネタバレも含む感想


amazonのレビューにあった「周囲の皆が、八重樫太一を変えていく物語」
というコメントはまさに本書の性質を表現している一言だと思います。
ただ、自分の考えでは、「再び」ではなく
「本当の意味で」八重樫太一が主人公になる物語だと思いますけどね。

この巻が第1巻「ヒトランダム」と対称的な構造になっているのが印象的でした。
「ヒトランダム」では<ふうせんかずら>による最初の現象が始まり、
太一が他の4人(青木を含んでいいかは微妙だけど)がそれぞれ胸に抱えていたものを解き放つきっかけとなっているのに対し、
本巻「ユメランダム」では<ふうせんかずら>による最後の現象が始まる。
その現象とそれに対する他の4人の行動によって、
太一自身がこれまでを省みて「自分」の在り方と向き合うという構図。
現象の最初と最後でこれまでの「太一が行動→他の4人に影響」だった図が
これまでの行動の矢印が逆になったとでも言いましょうか。

太一と同じ、あるいは近い立場に立ち能力を積極的に使っていく唯、
使うべきでないとして全力で潰しにかかる恋人の稲葉、
あくまで「自分がどうか」という視点を持ちつつも全体とのバランスをきちんと見ていた青木、
そして誰よりも中立を徹底的に維持し、1年前と正反対の、
自分と向き合うきっかけを作る救いの言葉をかける立場となった伊織。

4人がそれぞれに違うアプローチで太一に影響を与え、悩みを乗り越える。
これまでとは正反対の、だけどしっくりくる物語。ザ・青春って感じで本当に素敵です。

それから忘れちゃならんのが藤島さんが現象に気づき始める描写。
最近ではすっかりネタキャラに成り下がっていた彼女に、
ここにきてある意味最大の見せ場を与えるあたりさすがです。
つくづくこの作者は藤島さんの扱いが上手だと感心しきりです。
時にネタキャラとして笑いを呼び、時には物語の核心にすら迫る。
こういう存在をまさに「名脇役」と呼ぶのでしょう。



ただまぁ、今回はもう「伊織さんかっけえええええええええええええええ」としかいえません。
ニセランダムで完璧に復活した以降の伊織はマジで一段上にいったよね。
なんだかんだで1番最初に壁を乗り越えた存在なんだと思う。
上記の核心を言い当てた藤島さんへの警戒と配慮とか、今回は伊織しか出来てなかったしね。
天下の稲葉んも太一との対立に必死でそこまで気が回ってなかったっぽいし。


そしてそして、青木と唯がついに・・・ これはもう、青木良かった!とだけですね。
いつかこういう結果になるのは1巻の時点から分かっていたけども、
それも1巻からずっとブレずに唯一筋だったが故。
だからこそ「カコランダム」の青木のエピソードが映えるんだよなぁ、
と今更ながらに思った次第です。(現象がきっかけで、この時だけ青木がブレるため)

この唯の告白の数ページは、1番グっときたシーンの1つでした。
そして上記305ページの挿絵の破壊力といったらもうね。
太一とデレばんみたく露骨にくっつかない適度な距離感とか、
唯の告白の真剣さや誠実さ、そして青木の包容力の大きさを象徴するとびきりの笑顔が、
この挿絵には見事なまでに凝縮されてると思うのですよ。
マジでこの1枚はシリーズ最高傑作と言ってもいいレベルの絵だと思うね!




以上、ネタバレ気にしないトーク終了。
思ったことをそのままつらつら並べただけなので、
黒文字で書いてあること以上に乱筆ですがご容赦を。
生徒会、本編完結ですなぁ。
日記には一存しか書いてなかった気がするけど、
全巻楽しく読んでいたシリーズの1つです。
アニメから入って原作全巻集めて、
なんだかんだで2年くらいの付き合いでしょうか。

そんなわけで本編最終巻、卒業式当日とその直前の生徒会のお話。
基本的には「内容が無いよう」をとことん突き詰めたようなシリーズですが、
今回だけはこれまでとはだいぶ違う雰囲気でしたねー。
それでいて今まで通りのやりたい放題っぷりもきちんと残っていて、
上手くまとめてきたなぁと思いました。

4人の役員メンバーが、最後の最後で思いっきり乙女状態で非常に良かったです。
決着の付け方が4人ともそれぞれのキャラらしくて、
ここに至るまでの経過をきちんと感じさせてくれる結末。
とりあえず笑えればいい、というベースを寂しさを滲ませつつも崩さない。
非常にバランスの良い〆め方だったのではないかと思います。
それがハッピーエンドだと思わせてくれる読後感の根底にあるものなのでしょう。

そんな10代の青春真っ只中を象徴するような「生徒会の十代」というタイトル、
まさにこれしかない!と思わせる秀逸な題名だったと思います。
そういう意味でも軸がしっかりして
最後まできちんと楽しませてくれたシリーズだったと思います。

それと初版限定でカバーがリバーシブルになっていて、
新旧両方の表紙デザインに対応してるのも憎い演出ですね。
こういった部分にも、作者や編集の人の愛を感じます。
ま、こういうことも売れるから出来ることなのだとは思うけどねw

それにしても、この作者も本当にネタの引き出しが広いと言うかなんというか。
電撃文庫や集英社やらスクエニやらに全力で謝罪すべきなのは相変わらずですが、
作者の身近にあるものは何から何までネタにされてるような感じすらします。

内容に軽く触れると、去年話題騒然のまどかマギカも早速小ネタに使われてて吹いたw
でも個人的に1番ツボだったのはまさかの大改造。あれはホント劇的でしたね。
それから「つよくてニューノベル」のくだりも笑った笑った。
上手くやるのは難しいだろうけど、ハマれば絶対面白いと思う!
何かの機会があったらぜひ挑戦して欲しいなぁw
そんなこんなで卒業式自体はシリアス進行だったけど、
合間の(ちょっと切ないけどほぼ)普段通りな生徒会ではパロディ、ギャグも健在です。

あとは、あとがきの長さにも定評のあるこのシリーズですが今回も健在ですw
この「あとがき」の一連のくだりにも爆笑させてもらいました。
シリーズ完結という節目のあとがきでまさかの○ページはさすがにないですよね。
自虐ネタを入れつつもあとがきですらあれだけ読ませるのは、
モノ書きとしてすげーなーと思うところでもあります(笑)

そんなわけで(まだ後日談が何冊かは出るみたいだけど)本編はこれで完結!
最後の最後でイイ話になってるのがらしいようならしくないような、
ちょっと不思議な感触でしたね。なかなかに感慨深いシリーズでした。

というのも高校時代には自分も生徒会役員というものを1年間やっていて、
この作品を読んでいるとそんな頃のことを思い出してしまうのでね。
作中の碧陽学園ほどではないにしろ、割とやりたい放題させてもらってた思います。
(ま、それは生徒会活動に限ったことでもないけどね)
割とヒマだった時にはいわゆる「駄弁る生徒会」的なこともやっていたような。
もちろんきちんと仕事もしてたけどね!とある幽霊副会長以外は
ハーレム王を自称し雑務を何でもこなすスーパー副会長はさすがにいませんでしたが


そんなわけで「生徒会の十代」でしたっ!
土○やら番外編やら、今後の展望を楽しみにしつつ、
新アニメの詳細がなかなか発表されずやきもきしつつ、
本編完結という1つの節目なので感想を書いてみました。
少し前の話になりますが・・・・・
「文学少女」の元ネタ本巡りの一環で読んでみました。
日記に書いていない本も含めるとかれこれ7冊目の元ネタ本となるのですが、
短いお話ながらも思うところがあったので感想を軽く書いてみます。





<本そのものの感想>

本作は(今更こんなところで語るまでもないとは思うが)
無人の灯台に住みつき近所からは変人扱いされている画家ラヤダーと、
そんな彼の元にケガをした白雁(スノーグース)を連れて行った少女フリスとの物語。
その鳥の治療をきっかけに出会った2人が次第に想い合うようになりながらも、
結局はその想いを伝えることなくラヤダーは戦争へと狩り出されて別れてしまう。
というたった60ページ程度のお話です。

読んでいてまず感じたのがその当時、その地域の情景がハッキリと空想できるとこと。
「スノーグース」にしろこの本に収録されている他2つのお話にしろ、
それぞれ時代背景や舞台となる国も全く違うというのに、
各々の世界観が手に取るように浮かび上がってきたのが印象的でした。
ページ数だけで見れば決して長くはないし、
世界観の描写はむしろ淡々としているようにさえ思えます。
それにも関わらず雰囲気を深く感じ取れるのは、
読み手の想像力をかき立てる描き方をしているのではないかと感じました。

あるいは挿絵の影響力も大きいのかも知れません。
以前読んだ「カモメのジョナサン」もそうですが、
この時代のアメリカ文学では挿絵があることが一般的なのでしょうか?
そしてその挿絵も一貫してスノーグースという鳥を中心に描くことで、
この一羽の鳥の与えた影響を強調していたのではないかと感じます。

個人的にジーンと来たシーンはやはりラストでしょうか。
ラヤダーと共に戦地へと赴いたスノーグースがフリスの元へと戻ってきたシーンは、
やはり強烈な印象を残していきました。
この一羽の鳥が2人を繋ぎ止め、それぞれの想いを届ける役目を果たしていたのでしょう。
そこで初めてそれぞれの想いが伝わりあうシーンは不覚にもくるものがありました。

「小さな恋の物語」的な小説は割とよくありますが、そんな作品のお手本になるような、
切なくも暖かな気持ちになれる一篇だと感じました。
遠子先輩(ひいては作者である野村先生)が本作を「極上のソルベの味」と評した理由も、
実際に読んでみるとよく分かるような気がします(笑)




<「文学少女」の元ネタとして見て>

「スノーグース」は文学少女作中では「挿話集1」において
「今日のおやつ~特別編」として採りあげられています。
また、改めて読み返してみると、本編1巻にあたる「道化」冒頭でパリパリと食べ、
薀蓄を語っていたのもこの「スノーグース」及びその作家のギャリコでした。
つまり、「文学少女」作中で最初に登場した作品の1つとも言えるもの。
(一行目は「恥の多い生涯を送ってきました」という「人間失格」からの引用でしたが。)

そんなわけで「文学少女」においてかなり大きな意味のある作品かも知れない、
と思い読み進めていたわけですが実際に読むとその想像は間違いなさそうでした。

まず、遠子先輩を表わす時に心葉君が多用していた「すみれの花のような」というフレーズ。
これも元々は「スノーグース」のフリスを表現していたものだったのですね。
非常に印象に残るフレーズだったので、こんな部分にも引用元があったのかと驚きました。
当然そんなことは元ネタを読まなければ分からないことですよね。
元となった本を知っているかどうかで、
見え方が大きく変わってくるということを改めて痛感しました。

それから気になったのが戦争へと行かなくてはならずフリスに別れを告げるフィリップの場面。
これは文学少女本編「作家」のラストである、
心葉君に別れを告げる遠子先輩と重なって見えるような気もしました。
共通するのは「内に秘めた想いを伝えることなく別れを告げる」
という点だけなんだけど、その雰囲気が近いものがあるのではないかなと。
まぁ片や戦争でもう一方は高校の卒業式なので、重みの大小はあるかと思いますが。
(それに最終的に心葉君と遠子先輩は再会しハッピーエンドだけど、それはまた別の話)

これは完全に自分の想像でしかないけど、「文学少女」という作品はシリーズ全体を通して、
心葉君をフリス、遠子先輩をラヤダーとした「スノーグース」のような物語を描きたかった。
なんて解釈も出来るのではないかなと思いました。
本編各巻の鬱々とした話ながらも心地よい読後感は、
このスノーグースに感じたものと近しいものがあったようにも感じるしね。
(ただし、あくまで本編内に限った解釈です。
「見習い」シリーズにはまた別の機軸があるのは明らか)




と、こんなところでしょうか。
非常に大雑把ではありますが「スノーグース」という作品を読んで、
思ったことを2側面から書いてみました。
特に作品そのものの感想のほうは我ながら酷い文だとも思うのですが、
大雑把なので勘弁してください。

(書けば書くほど内容が遠子先輩の薀蓄に近づいていくのは我ながら影響受けすぎだろうとw)


【2012/1/20】ちょっとだけ修正



本日発売のフルメタアナザー第2巻。
ばっちり買って今日のうちに読み終えました。
ということで以下その感想。
軽いネタバレは含みます、未読の場合は要注意。






さっと1回読んだ印象ではまぁ面白かったんだけど、
どうも軽いなぁという感じはどうしてもしてしまいました。
そう感じてしまった理由は大きく3つ。

1つ目は決して多くないページ数に、色々積みすぎていることでしょうか。
日常のコメディパートと、シリアスな非日常パートの両方が満載されています。
どちらもそれぞれ単独では面白かったものの、
1冊の本として見るとどっちつかずになってしまった印象は否めません。

2つ目は「実戦」の描写がどうも薄っぺらく感じてしまったこと。
これはアナザーのバトル描写が訓練や演習を中心に動いているからだと思うけど、
読んでいてそっちに引っ張られてしまい実戦という感じが希薄になっていた気がしました。
ベースになっている訓練と、実戦とを描き分けきれてないとでも言うのでしょうか。
単純なバトルものとして見れば面白いとは思うんだけど、
本家フルメタを読んでいて感じたドキドキ感は味わえませんでした。

で、3つ目。要素としては1番たいしたことないんだろうけど、1番癪だったのがコレ。
なんで出てくる女キャラがみんな揃ってタツヤに惚れるのかと
メインヒロインのアデリーナにブラコン気味の妹まではまだいいけど、
取ってつけたような幼馴染に戦って惚れる敵キャラまで登場。
んでもって当人はその好意にほとんど気づいてない鈍感主人公というね。
そのせいでなんか「よくあるライトノベル」になってしまった気がどうもしてしまいます。
別にラブコメするなとは思わないし(本家フルメタも根幹はソースケとかなめのボーイミーツガールだしね)
鈍感ハーレム主人公なライトノベルを否定する気もないけど、
それをフルメタでやる必要はなかったんじゃないかなぁ、と。
ついでに言うならあとがきやら何やらで商売考えないファンサービスを押し出しながらも、
結局売れ筋を無難に進んじゃってるあたりになんだかなぁ、と思いますw
(ま、これは1巻の反響を受けての意向でもあるとは思うけどね)


と、あえて気になる点から書き出したけど本筋では楽しめたのはもちろんです。
AS-1<ブレイズ・レイヴン>のネーミングの根拠は割としっかりしてたし、
戦闘時の描写なんかはすごくカッコイイと思ったしね。
それにアデリーナのゲーセンのくだりはなんだかんだで爆笑しっぱなしだったし。
上でも書いたように別物のバトルラブコメとして読めば面白いとは思うんだけど、
タイトルに「フルメタルパニック」とある以上やっぱり本シリーズと比較はしてしまいます。

ソースケやクルツ、テッサらを想起させる描写が時々あるのはやっぱり嬉しいし、
何よりもクララがものすっごい良いキャラしてるし!
正にマオとクルツを足して2で割ったような感じの絶妙なキャラだと思いますw
そういう点も含めてフルメタ「らしさ」を感じさせることは多々あるわけだけど、
本家と比べると、もう1歩!と思ってしまうのもやはり事実でした。

そうは言っても楽しめたのは事実なので、なんだかんだで次巻も買うとは思いますw
ただ、そろそろオノDとマオ以外の本編キャラの登場を期待してしまうのは、
やはり本編の影響が大きいからなのでしょうか・・・
(短編集9巻のあとがきから察するにソースケとかなめは出さないほうがよさげなので、
テッサかクルーゾー辺りの出演を希望したいところ・・・w)


というわけでそんな感じのフルメタアナザー2巻感想でした♪


「とりあえず最初だけ」なんて思っていたのに、
気づいたら全部読み終わって夜が明けていた。
毎回そんな感じに一気読みしてしまう「ココロコネクト」
先月新刊が出たので今回も夜通し一気読みしてしまいました。

裏表紙にある伊織の「未練がある」云々のあらすじを見た時には、
正直「またなのかよ!?」と思ったりもしたんだけどね。
とりあえずそれは杞憂だったので良かったです。
体育祭の雰囲気も「青春してていいなぁ」って感じだったし、
そういう日常的な部分はホントこれまで通りで楽しく読めます。

今回は前巻の短編集で加わった新入部員2人を中心に話が展開されていて、
文研部の5人をその外側から見るという今までに無い視点が新鮮でした。
こういう学園モノとか部活モノでは「新入生をいかに違和感なく登場させるか」
というのは非常に重要で大変なところだと思うのですが、
思っていたよりもすんなり受け入れることが出来たかなという感じです。

その理由としてはキャラクターの在り方がこれまで通りだったというのが大きいのかと。
ココロコネクトという作品の登場人物の根幹にあるのは、

思春期にありがちなリアルな悩みをちょっとだけ大げさにしてみた

だと思うのです。伊織の「演じてしまう」だったり稲葉の「心配性」だったりと、
これまでの5人の持つ悩みが散々語られてきているように。

そのどれもがちょっと大げさだけど身近に思える悩みであって、
今回の新入部員である千尋の捻くれた感じや、紫乃の「一歩を踏み出せない」
ことももちろん実際思春期には感じてしまいがちな悩みだと思うのですよ。
そこをベースとしたキャラクターはこれまでのココロコネクトと同様に健在でした。
なのでこれまでの雰囲気を壊すことなく、上手く溶け込めたのかなと思いますね。

また、特にこの作品の場合「五角形(ペンタゴン)コメディ」を売り文句にしているので、
2人も部員が増えてしまっては七角形(ヘプタゴン?)になるのかとか、
それで話をきちんと維持できるのか?ということが不安だったんだけど、
良い意味で裏切ってくれたかと思います。
部員が増えても、ペンタゴンはペンタゴンのままだった、
それをまざまざと見せ付けられたような気がします。


まぁ中身を見るとやってることはそんなに変わらないとは思うんだけどね。
キズランダムやミチランダムで伊織と稲葉んのやってたことが、
そのまま千尋と紫乃に置き換わっただけと言えなくもないし。
まぁそのお約束パターンが心地よかったりもするんだし、これはこれでアリかと。
やっていること自体は似たようなものでも、
視点や人物が違うだけでも意外と違って見えたりもするもんだね!


一方で今回の話は割と分かりやすく、現象としては生ぬるかった感は否めないですね。
でもそれは裏を返せば2年生の5人の成長を見て取れるってことでもあって。
2年生5人があまりに超人然しすぎていて違和感を感じもしたけど、
それはあくまで1年生の2人から見た視点だからね。
あえてそう見えるように描いていたのだと思います。
まぁさすがに千尋のやったことを考えると、
デコピン一発と体育祭を頑張らせて許すのは優しすぎだろとは思うけどね



最後に一言言うなら、ちっひー小物すぎワロタwwwってところですかね。
うーん、ネタバレせずに感想を書くのってホント難しいな。
(十分ネタバレしてるだろと言われると返す言葉もありません・・・)


で、アニメ化ですよアニメ化。
まぁドラマCD出たりはしてたからそのうちされるだろうとは思ってたけど・・・
正直思ってたよりは早かったなぁ、という印象です。
ぶっちゃけアニメにするほど知名度ある作品でもないでしょうに。
まぁファミ通文庫としてはバカテスの次のネタがなかったのもあるのでしょうw

なんにせよせっかくアニメになるなら良いものを作って欲しいものです。
アニメ化発表前から原作を読んでいた作品って久々なんで嬉しいことは嬉しいし。
(映画化した文学少女を除くなら、アスラクライン以来かなぁ?)
映像化するにはキャストや製作陣の力量が問われる作品だと思うので、
どんな作品になるのかは、期待半分不安半分といったところです。

またもや間が開いてしまいましたが・・・
本編完結後、10年程度経った世界観で語られる新しい「フルメタ」
8月20日の発売から数日でバッチリ読んでおりました。


ということで以下個人的な感想。本書のネタバレを含みます。


著者が賀東さんじゃないとのことで多少不安はあったものの、
いざ読んでみれば思っていたよりもしっかり「フルメタ」していたので安心でした。
新シリーズいうか、外伝読む分には十分に楽しめそうです。
さすが原作スタッフ総動員しただけのことはありますなw
正直に言えばやや物足りなさを感じたのも事実ですが、今後の展開は面白そう。
続きに期待できる程度にはきちんと創られていたと思います。
ただ、現段階では本家に比べると明るめで軽いお話のように感じられました。


読んでみてまず印象的だったのはド素人一般人が搭乗したASの描写。
当然これは本編にはまったくなかったものなので、そこに新鮮味は感じられました。
これが前者の「ド素人」という部分だけなら本家の短編にそんな話も1つあったのですが、
一般人がASに乗るなんて場面は本家では全く想像がつかなかったですからね。
本家では出来なかったことをやっているというのは好感触でした。

また、マオを筆頭に懐かしい面々のその後がチラッと窺えたり、
本家短編でソースケが巻き起こしたことが伝説化してたりと、
既存の読者としては嬉しいアクセントも多々あり。
この辺はやはりシリーズモノを読み続けていた人には欲しいところ。
そういった部分を強調しすぎず、かつしっかり描けていたのも良かったですね。


ただ、後半の訓練部分なんかは正直盛り上がりに欠けるなぁと感じます。
最後の模擬戦も出来すぎた展開にちょっと萎えてしまいました。
相手がかませな小物すぎるのもアレだったけど、
いくらそんな奴相手にでもAS訓練初めて2ヶ月かそこらの少年がアッサリ勝っちゃう。
ってのも都合よすぎというかなんというか・・・
どうしても話として物足りないと感じてしまうのはこの部分でした。

まだ序章といったところだし感想はこんなところ。
あくまでオマケであることなどを考えると、だいたい4~5冊程度で完結する話になりそうかな?
2巻は年末ごろの予定らしいので、楽しみですねぇ。


で、正直に言うと中身の感想よりも語りたかったのは、
この本が(少なくともうちの近所の)市場から姿を消していたことについてだったり。

今は既に再版分が市場に出回っていますが、
発売から3日ほどでうちの近所の書店にはまったく姿がなくなっていました。
自分が発売日に買った近所で1番大きな書店にも、
3日後には「完売です」と書かれたPOPが早々と張り出されていたし、
他の書店もだいたい似たような状況になっていました。
amazonですら一時欠品していたみたい。
発売3日後から少し前までずっとこんな様子で、相当品薄にだったと思われます。


その理由なんだけど本書解説に書かれたやり取りから察するに、
初版はかなり控えめな印刷部数だったんじゃないかと。
半ばファンへのオマケ的扱いとしていた作品が3日で市場から消えるほど売れまくったのは、
編集部としてもかなり予想外の出来事だったのではないかと勘ぐってしまいます。

amazonのカスタマーレビューを見ても同時発売の短編9巻の3倍ほど書かれているし、
中には本家シリーズ未読の人の書き込みもあったくらい。
正直旧来からのファンのためだけの作品だと思っていたので、
こういう需要があるというのは驚きでした。

再版分の帯には「ラノベ市場最速、最大重版」と謳い文句がありますが、
コレもあながち全くの誇張ではないような気がします。
正直に言ってここまで品薄で入手困難になったライトノベルなんて聞いたことないし。
それも「控えめな部数にしていた作品が飛ぶように売れた」のなら納得です。

出版業界の事情なんて詳しくは知らないけど、
今までに遭遇したことのない現象に遭遇したので、
それについて色々考えてみるのは意外と楽しいもの。
そんなわけで自分の想像を色々書き連ねてみたけど、
これはあくまで推測ですらないただの想像で、
根拠とかソースはありませんのであしからず。
でもうちの近所でどこも完売してたのは本当ですよー。

以上、フルメタアナザーに関するあれこれでした♪
先日の日記から少し間が空いてしまいましたが・・・
実は20日の日記を書いたあと読みふけってしまい、
結局明け方6時くらいまでかけて読破してしまいました。

そんなわけでフルメタの短編集新刊でございます。
昨年の長編完結から1年、短編集としては実に6年振りとなる新刊。

読んでみて最初に感じたのは「あまりにもこれまでの短編のノリと同じすぎて吹いた」
といった感じ。なんというか、見事なまでにこれまで通りの学園のノリなので、
とてもじゃないけど本編完結後に出た1冊とは思えない内容でした。
とは言えそれも仕方ないことなのかなと。あとがきでも触れられているけど、
なにせ収録短編の初出が1番古いもので2003年だったりするんだから。
そりゃ当時のノリそのままにもなりますわな。

そんなわけで昔のノリそのままな短編たちの中にポツリといる書き下ろし、
本編完結後の後日談を描いた「テッサのお墓参り」の浮き具合が尋常じゃないです。
まぁ後日談なのでそこまで重い話でもないけど、色んな面でギャップがすごいです。
時系列的とか登場人物とか話の雰囲気とかその他諸々。
どうしてこの書き下ろしがこの短編集にいるのかと考えちゃうくらい違和感バリバリです。
(まぁそんなの、紙面の都合でしかないのも分かるんだけどね)

そんな感じな収録内容なので1冊にまとまると色々とカオスですが、
それぞれのお話単体で見ればどれもフルメタらしいステキなお話でした。
特に書き下ろしのテッサ&アルが色んな意味で衝撃的だったのと、
同時発売のスピンアウト「アナザー」への伏線の張り方が非常に良かったですね。
あとはボン太くんのふもケットなお話がやりたい放題すぎて大好きです。

正直に言ってしまうと去年読んだ本編完結編ほどの感慨深さはなかったのですが、
それはきっとノリが昔のまますぎたりアナザーが同時発売するからなのでしょう。
ドタバタ学園コメディな短編集は今回で終わりみたいですが、
もしかしたらまた何か(サイドアームズ?)書くかも知れないみたいだし、
何よりアナザーもあるしまだまだ楽しませてくれそうです♪

そんなこんなでフルメタ短編集でした!  ふもっふ!!



というこの日記を実際に書いてるのは9月5日だったりするわけだけど、
そんなこと最早いつものことなので気にしたら負けです。

<以下言い訳(見苦しいので反転w)>

とは言え今回ばかりは言い訳の1つもしたくなるというもの。
20日に徹夜で読み終えて力尽きた状態でも普通にお仕事はありましてね。。。
21日に帰宅して力尽きてる中でアナザーも読み始めちゃったからです。
さすがにそんな死にかけ状態の一晩で読破は出来なかったけどねw
それでも22日には読み終わってたわけだけども

仕事が普通にある中でこんな無茶しちゃったもんだから、
しばらく色んな意味で行動不能に陥ってました。
で、結局ダラダラと書きたい感想も書かずにここまでもつれ込んだ、とw


読むほうが追いつかない
写真は今月買ったラノベ全集合の図。
現時点で既に6冊です、ハイ。
普段はだいたい月に2冊か3冊がせいぜいなのですが・・・
ここまで重なるのはちょっと珍しいです。
ちなみに来週にはもう1冊増える予定w
(ヒカルの新刊が待ってるぜ!)

いやまぁホントに買ってる人と比べたら何でもない量なんだろうけどね。
これを見てパッと全部分かる方、いましたらぜひ友達になってください(笑)

それにしても、このところ買いたい作品の新刊が続いていて、
読むほうが追いつかない状況になりつつあります。
ようやく減ってきつつあった積み本が、このところまた増えてきてますw
まぁ時間をかけて読むのも嫌いじゃないので、
じっくり読み進めればいいだけなのですが・・・
というちょっとした嬉しい悲鳴デス、ハイ。

そしてそれ以上に深刻なのが自室の本棚の収容限界は当の昔に突破していて、
新しい本を買っても置く場所が全っ然ないということ。
本棚の周辺や机の上に積まれてる本が着々と高くなってきています。
こっちは嬉しくない悲鳴状態なので早急になんとかしたいのですが、
イメージに合う「これだ!」という棚になかなか巡り合えていません。
休日に家具屋にいったり通販のカタログ眺めたりして頭を抱えています・・・

せっかくなのでちょっと値段が張ってもいいので、
たくさん入る大きな棚を買っちゃおうかと目論んでいます。
かれこれ3回ほど小さい棚を買い足しているんだけど、
当時はこれで大丈夫だと思っていたハズなのに気づいたら埋まってた。
という状態が何度も起こっていたからね。
部屋のレイアウトを考えたりするのも楽しいのでそれはそれでいいのですが、
状況が状況だけに早めに決めたいところではあります。難しいところですね・・・

ということでそんな我が部屋の本事情でございましたとさ。
これから今日発売したばかりのフルメタの新刊を読んで寝ようと思います。


-オマケ-
家に帰ってきたらワンピースの映画(アラバスタ総集編)がやってたので、
それを観ながらご飯を食べていたのですが・・・・・

なんかこの歳になってあぁいう映画を観ても斜めに見すぎちゃってダメですね。
アラバスタの頃というとちょうど我が家にとってはジャンプ全盛期だったのですが、
いざ映画で観ても気にする必要のない些細な矛盾だったりとか、
理不尽なルフィ一行の強さだったりが気になりすぎちゃって純粋に楽しめないw

あとやっぱりナミさんの作画が崩壊しすぎてて吹いた。というより思わず苦笑い。
映画の製作スタッフ絶対にナミさん嫌いだろ(笑)
まぁ全体を通しての作画はチョッパーの映画に比べれば幾分マシだったとは思うけどw
以前読んだ小劇団の借金返済物語「シアター!」
その第2巻を先日読み終わりました。
少し前に2巻が出ているのを見つけたので、
間に1冊別の作品を挟んだものの、
1巻からそんなに日は空けずに続けて読みました。
今日は軽くその感想でも書いてみます。

1巻の感想はコチラ
http://34643.diarynote.jp/201107010130241459/

1巻が事の始まりから1本の公演を終えるまでを描いたのに対し、
2巻では一気に公演3本分とかなりのハイスピードで展開されました。
その分各公演の上演そのものの描写は省き、
準備期間やそれにまつわり発生した事件などを中心に描いています。

最初はそれがちょっと物足りなさを感じたりもしたんだけど、
いざ読み終わるとそれが返ってテンポの良さになってたんだろうなぁと感じました。
恐らくこれで上演時のことまで書いてあったらページ数がかさばるし、
それ以上に中だるみしちゃうような気がしました。
お芝居の小説なのに肝心の芝居部分を省くという一見矛盾してるように見える展開も、
よく考えて創られてるなぁ、と思いました。
主題が1つあって、そこを描くために外堀から埋めていくのは、
きっとこの人の得意技なのでしょうなぁ。

また、それら準備期間における稽古やその他の雑務といった劇団の活動や、
劇団員の彼らが起こす行動の数々、
それからそれと同時に彼らがお金のやりくりや利益に対するシビアさを身につけていく過程。
こういった行動や出来事1つ1つをリアルに描けているのは、
1巻に引き続き綿密な劇団への取材の賜物なのではないかなと思います。

ただ、これだけリアルに描かれていただけに、
恋愛面の浮き足立った感じがやや引っかかりました。
なんというか、登場人物皆が何かしらの劇団内の恋愛模様に関わっているというのは、
さすがに不自然だよなぁ、と感じずにはいられません。
現実の小劇団における恋愛事情などさすがに知りませんが、
いくらなんでもここまできゃぴきゃぴはしてない感じがします。

まぁそこは小説なんだし多少大げさになるのは別に構わないと思うんだけどね。
そもそも有川浩という作家が主題となる何かにかこつけて、
裏でキャラクター同士の恋愛を描くのが好きな生粋の恋愛小説家なのは間違いなさそうだし。
(ソースはもちろん「少女ノイズ」の解説)
それでいてもちろん恋愛要素への描写もしっかりしていて、
それはそれでしっかり楽しめるようになってるならある種大歓迎でもあるわけでw
ただ、この部分だけが「リアルに感じられない」というのはやっぱり引っかかったかなぁ。
というだけの話です。

1巻は「実話をもとにしたフィクション」という感じで多少の小説的アレンジを加えつつも、
小劇団の事情を再現することに注力していたように思えます。
それに対し2巻では、1巻よりも作者の「素」の部分が強調されてきたように感じました。
この引っかかった恋愛面ってのは、やっぱりある種作者が1番描きたいものなのでしょう。

とまぁ、なんだが非常に月並みな感想になってしまったのは否めませんが、
そんなことを考えながら読み進めていたわけです。
これまで通りのリアルな劇団事情と経済的な側面も、
今回浮き彫りになってきた恋愛事情も、その両面で面白い1冊でした★

そして、1巻はそれ単体でも完結できるような終わり方をしていたのに対し、
今回は明確に「次巻へ続く」というパターンになってました。
あとがきでも3巻で完結するだろうという見通しの宣言がされていたし、
明らかに続きを出す前提が見え隠れしています。

今回も面白かったし、この物語がどういう結末を迎えるのかはとても気になります。
恐らく完結となるだろう第3巻も楽しみです。
1~2巻の間隔を考えると、今年中に発売されたらいいなぁってところでしょうか。

シアター!

2011年6月29日 読書
-あらすじ-
小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。


メディアワークス文庫創刊の頃(2009年12月)から実は興味があった1冊。
結局あの当時は買わずに流れてしまったのですが、
ある日普段行かない書店でふと目に入り手にとっていました。
で、買ったはいいもののしばらく積んだままの状態でした。
それからまたしばらく経って読み始め、少し前に読破しました。

大筋の流れは上のあらすじの通りだけど、もっと端折るなら、
「弟が兄貴に300万借金して、それを返済するために兄貴が劇団の経営を変えていく」
といったお話でしょうか。

率直な感想は「なんでもっと早く読まなかったんだろう」という感じでした。

学生時代の友人に何人かそっちの畑の人がいるので、
昔は割とお芝居を観る機会には恵まれていました。
(もっとも、ここ最近はすっかりご無沙汰ですが)
なので小説としては未知のジャンルだったものの、
抵抗なく入っていけたのが大きかったような気はします。
ただ、それを差っ引いたとしてもとても面白く描けていると思います。

内容は濃密なはずなのに話のテンポがよくすらすらと読み進めるので、
休憩時間に少しずつ読んでいたハズなのに意外と短期間で読み終わってしまいました。
少しでも長く読むために飲み物頼んで休憩時間目いっぱい居座ることが増えたせいだと思われます。

芝居の描写と、お金のやり取りに関する部分がとてもリアルだと感じられました。
演劇部分のリアルさはモデルとなった劇団の主宰の方も解説で認めてたし、
きっと相当リアルに描けているのでしょう。
まぁちょっと客として観る機会が人より多かった程度の素人でも、
相当取材をしてみっちり描いたんだろうなぁということは感じられますね。

しかも著者はこの作品を書くまで全く演劇の知識が無かったというんだからねぇ。
つくづく作家ってのはすごい仕事だと思ったし、
この人の作品が人気が出るのもなんとなく分かる気がしました。


当然演劇の小説だしその部分に力を入れていたのは分かるのだけど、
自分がそれと同じくらいこの作品を面白いと感じたのがお金に関するやり取りでした。
小劇団の金銭事情という客の立場では中々見えてこない部分を、
劇団の主宰(平たく言えば責任者?)である弟の巧を使い、
読み手にも分かりやすく伝えてくれています。
それと同時に兄の司を通して劇団の世界の経済的なイレギュラーさを伝えています。
この主人公兄弟2人によって「劇団」という世界の在り方興味深く描いていると感じました。

そして、司がこの劇団が利益を出せるようにメスを入れていくわけですが、
その過程は見方を変えればすごく経済的な小説でもあると思えたのでした。
純粋にエンターテイメントとして楽しんで読んでいても、
債権者である兄の司の言葉は自分にも時々グサっと刺さることがあって。
そういった部分も含めてとても読み心地が良かったです。



思えば有川浩という作家の文章に初めて触れたのは「少女ノイズ」の解説でした。
参考:【http://34643.diarynote.jp/201007190210388989/
あの解説のぶっ飛んだコメントは当時からかなり強烈に印象に残っていました。
随分と奇想天外かつ的確な解説を書く人だなぁ、とね(笑)

それからしばらく経ち、次に氏の作品に触れたのは昨年の秋、
2010年10月~12月に放送されたドラマ「フリーター、家を買う」でした。
ただ、この作品が有川浩原作であることを知ったのはドラマも後半になってからで、
あくまでドラマとして観ていただけで原作は未だ未読です。
何気なくスタッフロールを見てて「あぁこの人原作だったんだ」といった具合。

要するに純粋にこの人の作品を読むのは初めてだったということです。
なので特に先入観も持たずに読んでいたつもりですが、
こんなシビアで硬派な作品だとは思っていませんでした。

そんなわけで予想を良い意味で裏切ってくれた名作でした。
一般的には縁のない人が多いだろう小劇団の世界を垣間見るには最適な作品だと思います。
見たことのない世界を疑似体験するという、本の読み方の1つを深く感じた1冊でした。
"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1)
"葵" ヒカルが地球にいたころ……(1)
本日読み終わりました。
いや~、本作もなかなか面白かったです。

ということで「文学少女」シリーズの野村先生の新作、
「"葵" ヒカルが地球にいたころ……」です。
文学少女完結から僅か1ヶ月での新作発売。
最初はこれまでの刊行ペースと同じ8月始動だと思っていたので、
半熟作家と連続刊行だったのにはビックリ。

(画集も含めて)文学少女の余韻覚めやらぬまま新シリーズへ突入。
文学少女で獲得した野村美月読者を手放したくないだろう
ファミ通文庫編集部の意図が見え見えです(笑)


率直な感想としては「随分アッサリと終わってしまったなぁ」という印象。
今回は一気読みせず、多少時間をかけて読んだ影響も多少はあると思うけど。
1巻ということで序章的意味合いが強いせいか、
全体的に駆け足で過ぎていってしまった感じが否めません。
イマイチ作品の世界観に入り込めずに終わってしまった気がします。


まぁ葵と帆夏が可愛かったからいいけどね!(マテ


冗談はさておきもちろん面白いとは感じたんだけど、
正直に言うと文学少女を初めて読んだ時ほどの衝撃ではありませんでした。
まぁそれを求めるのは酷な話だし、そうなることを期待してたわけでもないけどね。
前シリーズと比較したり、そのせいでハードルを必要以上に上げるのは良くないと思うけど、
どうしたって多少は比べてしまうのが読者としてはツライところ。


と、マイナス部分から語りだたけど楽しめた1冊だったのは間違いありません。
ヤンキー(に見られてしまう)少年是光とハーレム王ヒカルの友情を育む過程や、
帆夏と協力し葵にアプローチをかける際のやり取りなどは微笑ましいものだったし。
あとはもうちょっとじっくり描いて欲しかった気はするけど、
葵がヒカルの本当の想いを知る場面なんかもすごく良かった。

それに何よりラスト数ページでの次の巻への引き方が相変わらずとても上手で、
なおかつ1冊の、葵の物語としても綺麗に完結しているのだからお見事。
元々シリーズとして描く前提になっているから次への引きがあるけども、
仮に、朝衣の伏線を全部無くして、エピローグでヒカルが成仏していたとしたら、
きっとそれはそれでキレイに1冊の本として完成されていたと思います。
1冊の中の物語を大きく崩すことなく、最後の数ページで次への期待をそそる。
文学少女の頃からその技法には定評があったけど、今回も見事な引っ張りっぷりでした。



また、今作は「源氏物語」をなぞった世界観やキャラ設定らしいのですが、
正直その辺は詳しくない、というかほとんど知らないのでイマイチよく分からない。
半熟作家のあとがきにもあったけど、知っているとニヤリと出来る場面は多いだろうなぁ。
と断片的には感じるんだけども。
とりあえず各キャラクターを源氏物語の登場人物を割り当ててるのは分かったけどね。
その辺に関しては詳しい人の分かりやすい解説なんかがあればぜひ勉強させてもらいたいw

大学の友人に源氏物語を専門に勉強してた人がいて、建学祭で展示を出してた人がいるんだよなぁ。
学生時代にはその展示を見に行ったりしてたんだけど、もっと詳しく話を聞けばよかったw



ところで、主人公是光の恋?の相談相手となる式部帆夏さんが、
読み進めれば進めるほど文学少女の琴吹ななせさんに見えて仕方なかったのですが。
最初は自分だけかと思っていたけど、やっぱりあれはななせに見えちゃうよねw
読み終わって他の人の感想ブログなり、某ラ板の該当スレを見るなりすると、
どうやら大半の人は同じように思っていた模様。
ネタバレ回避でしばらく避難してたので画集の短編含め感想読めない時期が長くて辛かったデスw

そんなこんなで今作も非常に楽しめました。
夏ごろには2冊目が出るようなので、楽しみに待ちたいと思います。
最後に核心に触れるネタバレ感想を少しだけ残しておきたいと思います。


<以下ネタバレ感想>
(白文字にしてあるので反転してネ☆)

ラストの引きと同じくらい「すごいな」
と思ったのが1章の前にある3ページの序文でした。
最初に読み始める時は普通に「葵の独白」のように思えるのに、
最後まで読み終わってから改めて見ると、それが「朝衣の独白」にしか見えなくなる。

1巻の話を追っていくと分かることがいくつかある。

まず、朝衣は何かしらヒカルの死に関する真実を知っている。
殺した犯人かどうかはまだ判断できないけど、
少なくともヒカルの死に立ち会ってはいる?
次に、朝衣は過剰に是光を警戒している。
ヒカルについてどこまで知っているのか等。

もう1つは葵に気を遣ってか本心を隠しつつも、
実はヒカルに恋をしていたかのように見える。
最後に、エピローグ最後の独白が朝衣のものであることは明白。

これらを鑑みてからあの序文を読むと、
やはり序文も朝衣のものであるという線が濃厚になってくる。
特に「一生のヒメゴト」「生と死のぎりぎりの境目」といった語句が引っかかる。
でもこれらは葵の独白だという先入観のもとで見た
1周目では特に気にならなかったんだよねぇ。

この序文を使ったトリックには本当に脱帽させられました。
きっと「源氏物語」のエッセンスも盛り込まれた独白なのだろう。
ということも読み取れはしないけど容易に想像ができますね。

とまぁこれだけ偉そうに語っておいて、思いっきりハズしてたら最高にカッコ悪いですねw


それとあとがきにある「裏設定」のもう1つ混じっている名作が何なのか?
正直まったく見当が付きません。
上記ラ板のスレを見ると「星の王子さま」説が有力なような気がしましたが、
何分自分で判断できるだけの文学知識がないだけになんとも言えません。

「とらドラ」だのとも言われてますが果たして真相は如何に?
どこかに考察記事とか落っこちてないかなぁ?w



●オマケ●
""(だぶるくおてーしょん)でエラーを起こすレビュー機能とかマジ勘弁してください。

日記を書く画面までは行けるのに、更新時に「タイトル情報取得不可」
でエラーとかケンカ売ってるんですかねDiarynoteさん??
いくらなんでもこれは萎える・・・

(画像2枚目参照)
"文学少女"の画集第2弾!
もちろん発表された時点で即購入決定でした。
これは抑えないわけにはいかない一品ですね!


「挿話集」4冊、「見習い」3冊、そして「半熟作家」の計8冊。
これらの表紙、口絵、挿絵は完全収録!
加えてドラマCDや劇場版、メモワールDVD(OVA)といった
各種メディアミックス商品関係のイラストも完全網羅。
それからWEBや各種キャンペーンの掲載イラストなんかも多数アリ。
これまで各種媒体で掲載されたイラストは本当に全て収録されていそうです。
これだけ色々揃っていると、初見のイラストも多数ありました。

個人的にはOVAの各ジャケットイラストが最高に好みでした。
三者三様にそれぞれの色が出ていて、とってもステキなイラストに仕上がってますね。
アニメ関係は結局ほぼ手を出さずに終わってしまったので、
こうしてイラストだけでも味わえるのは本当にうれしいもの。
OVAの初回特典短編の挿絵もすごい良かったし、
映画関係はイラスト面でも気合入ってたことを感じさせてくれます。
だからと言って1つ手を出したら全部買っちゃいそうで、
そうなると膨大な予算が必要なのでさすがに手は出しませんが・・・

でもって何よりもビックリしたのは、
バカテスとのコラボ小説のイラストまで収録されていたこと!
さすがにコレまで拾ってくれるとは思いもしていませんでした。
ということは一部で好評?だった女装コノハちゃんも画廊入りですw
ここまで来ると驚きを通り越して笑えましたよマジで。

描き下ろしも表紙のイラスト含めて4点あったし、
イラスト分だけでも相当なボリュームだと思います。
その上にラフ画集や各キャラのスケッチに書き下ろし特別短編、
オマケに作中の出来事をまとめた年表とシリーズ既刊一覧までついてるんだからもうね。

ちなみに約1年前に映画公開にあわせて発売された、
「文学少女 Fantasy Art Book」というイラスト集がありました。
が、これの価値はこの画集の発売によって半分以上はなくなったと言って良いでしょう。
だって向こうのChapter1のイラストの大半はこの画集に収録されてんだもんw
全部逐一確認はしてないけど、恐らく大半は追想画廊1&2のどちらかにはあるハズ。
まぁ紙質は違うみたいだけどだからといって・・・ねぇ(以下略)



で、何より外せないのが短編ですよ短編。
まさに「こんな話が読みたかった!」と思わせる甘々なお話ですよ。
これを最後の最後に持ってくるとはやってくれる、という感じです。
追想画廊まで買った人だけが味わえる、最高のファンサービスですねこれは。
中身を一言で説明するなら、「半熟作家」の時間軸とその後日談を、
心葉君の視点で描いた遠子さんとのラブラブ話 です。

この短編のためだけに2500円出す価値がある! というのはさすがに言いすぎですが、
多少無理をしてでも買って読む価値のある短編だと思います、マジで。
特に「半熟作家」が心葉と遠子先輩の話じゃなくてガッカリした人は必読ですよ!

個人的には心葉が「司書のお姉さん」の正体を知った時の反応が見たかったのですが、
そこまで望むのはさすがに贅沢というものでしょう。
そこは脳内で「想像」して楽しむべきなんでしょうね。


こうして最後の最後の物語を読み終え、
1つ1つのイラストから物語を思い返しつつページをめくっていると、
「本当にこれで終わりなんだなぁ」としみじみと実感させられます。
こうして画集まで買ってしまうほどのめりこんだ作品なんて初めてで、
ひょっとしたら最初で最後かも知れないわけで。
そんな作品の、本当の意味での完結を見届けることが出来てよかったです。
寂しい気持ちもあるけど、それ以上にこの何ともいえない不思議な余韻が心地よいです。

しばらく中断してたけど、元ネタ本を読むのを再開したいですね。
そして、今積んである元ネタとなった本を一通り読み終えたら、
改めて一から読み直してみたいと思います。
きっとその時にはまた違った味わい方を発見できる物語だと思うから。



でもその前に、今は気持ちも新たに新シリーズ「ヒカルが地球にいた頃」を読み始めてますw
こちらは一気読みしないで、少しずつ読み進めているのですが面白くなってきたところ。
読み終えたらこちらの感想もまた書きたいと思います。

というわけで、"文学少女"ファン必携の「追想画廊2」でした。

この作品には2009年のアニメから入ったクチで、
機会があれば原作も読んでみたいなぁ、と前から思っていました。
そして今年の頭くらいに衝動買いして以来、
少しずつ読み進めていた本シリーズ。
本編9冊と外伝4冊の既刊全てを先日読破しました。
なので原作の感想を軽くまとめてみようかなと思います。


なお、当時のアニメを観た感想日記はコチラ。
http://34643.diarynote.jp/200912241231302750/



アニメを観て自分は本作を「『中身がないこと』を究極的に追求した作品」と評しました。
その印象自体は今でもそこまで間違ったものではないかなと思っています。
原作もアニメ同様中身を徹底的に省いたものだと思っていましたが、
一通り読んでみるとアニメとはまた違った印象がありました。
もちろん中身がないなぁとは思うだけど、決してそれだけではなかったんだな、
というのは原作を読まないと気づけないことでしょう。

正直に言って、最初に予想していた以上には面白かった。
もちろん読む人を選ぶ作品なのは疑いようがないけど、自分的にはアリだったかな。
最初の衝動買いした数冊は古本で買ったわけだけど、
後半の数巻は正規に本屋さんで買っちゃいました。


「中身のある場所が普通の本と正反対」である。
というのが本シリーズの特徴なのではないかと率直に感じました。
作者自ら「9割ギャグ、1割シリアス」と公言しており、
本編はほぼ全てを中身のない(ように見える)生徒会室内での雑談に費やす9割のギャグ。
残り1割のシリアス部分をプロローグやエピローグ、あるいは幕間の掌編といった、
一般的に中身に重きを置かないことの多い部分で使用しストーリーを進行する。
そんな先鋭的な手法を用いている作品であり、
好みは別れるでしょうがその変則的な構成が上手く活きていると自分は感じました。

主にプロローグとエピローグで展開されるシリアスな話もそこまで嫌味ではなく、
本編でくだらない雑談をしている裏でのやり取りが上手くギャップを持たせていて、
これがあるからこそ本編内のくだらないギャグやら雑談やらが光るのかなとも思いました。
特に後半の卒業式を控えてのあれやこれやのやり取りなんかは、
けっこう考えさせられる部分もあったりして「侮れないなぁ」と感じさせてくれます。

こういったギャグとシリアスの切り替えの上手さは、
アニメの切り替えの上手さにも活かされたんだろうなぁと思います。
ちなみにアニメに中身がないのは、
原作の中身がない部分を中心に抜粋して構成していたからなのでしょう。
この原作を知ってからアニメを観ると、アニメの評価が真っ二つに割れるのも納得ですね。


とはいってもそんなことはあまり深く考えずに、
ギャグやパロディを楽しめばそれでいいんだろうなぁとも思うw
基本的には本編のくだらない雑談を楽しむのが1番だと思うからね。
逆に、そこを楽しめない人にはシリアス部分も邪魔に感じる気がします。
分かっちゃいたけど、やっぱり読み手によって評価が真っ二つに割れる作品です。

あと、アニメだと元から人気キャラだったからなのかは知らないけど、
くりむ会長と真冬ちゃんに焦点が当たっていたように見えた。
まぁそれはそれで時間も限られてるし巻数の問題もあったし仕方ないとは思う。

でも、個人的には原作読み進めれば進めるほど「むしろ深夏だろう」と言いたくなったw
後半、特に八方から九重にかけての深夏の色んな意味での破壊力はすごかったもんなぁ。
原作は巻によって多少の差はあれど生徒会女子4人全員がほぼ均等に目立ってるから、
読む人によって誰がツボにはまるかは違うんだろうけどね。

とまぁこんな感じに原作の感想を軽くまとめてみました。
ようするに何が言いたいかというと深夏可愛いよ深夏
アホみたいでくだらない話だけど、それも本気でとことんやればそれはそれで面白い。
それを体現するのがこの「生徒会の一存」という作品ではないかと思います。
なんかアニメとの対比ばっかりになっちゃったけど、まぁいいか。
近いうちに外伝の5冊目が出るらしいしそっちも楽しみ。

でも、最後に一言だけ付け加えるなら、
各方面、特にスクエニと集英社には全力で謝罪すべきだとは思う。
(アニメEDのスタッフロールを見る限りもちろん許可取ってやってるものだとは思うけどw)
先月といい今月といいファミ通文庫が忙しい。
ということで買ってきました「ココロコネクト」最新刊。
昨日フラゲして、その日のうちに読み終わりました。
当初の予想通り比較的短時間で読みきることができました。

同時購入した「ヒカルが地球にいたころ」と
どちらを先に読むか非常に迷うところでしたが、
短編集だし割とあっさり読めそうだったので今回はこちらを先に。

基本路線は「超常現象と戦う青春ラブコメ」な本シリーズですが、
今回は短編集ということで各本編の合間の出来事を中心に収録。
4編中3つは過去にWEB上で掲載されていたお話のようですが、
自分がこの作品にはまったのは割と後発だったこともあり全話初見でした。


さてそんな本作。中身を一言で言うなれば、

デレばんマジデレばん!

って感じですね★

いやまぁ、伊織の話も唯の純情な話もそれぞれとても良かったのですが・・・
特に唯のピュアな青春物語はあり得ないんだけど何故か共感できる部分もあって、
非常に小説(ラノベ)らしくていいお話だったとは思うんだけど・・・!

今回に限っては稲葉んの勝ちですかね。
4巻での大逆転へのプロセスを辿る奮闘を見た後の、
読んでるこっちがむしろ恥ずかしくなるような物凄いデレっぷり。
さすがに反則でしょう。伊織じゃなくてもあれは軽くウザいぞw


それと同時に衝撃的だったのが恋愛マスターこと藤島さん。
3個目のお話まではいつも通りの恋愛神っぷりをいかんなく発揮していたのに、
それがまさか進級してあんなことになろうとは・・・
あの展開は正直度肝を抜かれました。今思い出しても笑いが止まりません。
まさに「この発想はなかった」という言葉がふさわしい。
この展開にもっていった作者さんは、素直にすごいと思いますw
衝撃度だけで言えばある意味デレばん以上だったかも知れません。


というわけで、本書4話目(唯一の書き下ろし)では主人公一行の学年が1つ上がります。
で、部活モノのお話で進級といえば大抵ネタになるのが新入部員。
本作も例に漏れず新入部員に関する話なのですが、
これを短編で済ませちゃうとは随分思い切ったなぁという印象。
(まぁ、このまま丸々1冊にするのはちと厳しいとは思ったけども)

中身は見学に来た1年生に部活をよく見せようと普段やらないことに悪戦苦闘するお話。
で、一癖ある新入生相手に色々やって、紆余曲折を経るわけですね。
読者の視点で達観して見ちゃうと「『ありのまま』でいいじゃん」と思えちゃうんだけどね。
まぁ高校生の部活でこれに気づくのは、案外大変なのかも知れません。
ちなみに、2年生5人が最後に気づいたことってのは、本当に大事なことだと思うんです。
上に立つ人間の1番しっかりしなきゃいけない部分だろうなぁと実体験からも感じます。


で、この新入生のお話を読んでつくづく思ったのが、
この作者さんは可愛い女子を描くのが上手だなぁということ(笑)
新入生の子ももちろんなんだけど、それに付随して動きのある2年生女子3人のほかにも、
クラスメイトとの談笑場面なんかもいいなぁと思わせてくれますね。

でもまず物語の本筋に絡んできそうなのはいけ好かない男子新入生のが先のよう。
果たして新入生が加入した新生?文研部が本題の超常現象とどう戦っていくのか。
今後がちょっと楽しみになる終わり方ではありました。

とまぁこんな感じに内容だけ見れば十分楽しめたのですが・・・
どうも改行が多くてページがスカスカなのが多少気になりました。
改行で会話のテンポを良く見せるのが大事なのは分かるんだけど、
全体的にもう少し詰めて書いてもいい気はしたかなぁ。
ページの下半分に白い部分が多く、やや読み足りなさを感じたのは否めません。

それと個人的にすごく読みたかった創部秘話を描いた短編、
「ファーストエンカウンター」が収録されてなかったのも残念。
ただまぁ、これは短編集その2がそのうち出るという解釈でいいんだよね?


なんかいつも以上に内輪というか既読者にしか分からない感想になってしまった。
いつも通りと言えばいつも通りなんだけど。
まぁ何にせよ、今後どう転がすのかが楽しみですね。






ところで女子の新入生(表紙画像中央の子)が本格的に平沢唯なんだが・・・
外見だけならいざ知らず中身も若干それっぽいんだよなぁ

「文学少女」最後の物語。
編集者となった天野遠子と高校生作家雀宮快斗のお話。
発売前にフラゲし、4月のうちには読み終わってました。

事前の予告通り明るめのお話で、割とあっさり終わった印象。
読む前は「遠子先輩が始めて担当する作家との話なのかな~」
などと想像していました。が、この予想はハズレ。
既に再会後のお話であることが所々に描かれていました。
1つの長編なのかとも思っていたけども、こちらもハズレ。
挿話集2の森ちゃんと反町君の話のような連作短編形式でした。

本編のような重苦しい雰囲気は無かったけども、
読後の爽快感は今まで通りの「文学少女」でしたね。
それでいて本編や見習いシリーズとの繋がりも見える素晴らしい結末だったと思います。
最初は「遠子と心葉の甘々な話じゃないなんて・・・」という抵抗感はあったけど、
そういうエッセンスは随所に残しつつもまた違った物語を見せてくれるのは面白かったです。




読み始めてしばらくは「なんだこのウザイ高校生作家は・・・」って感じだったけど、
少し読み進めればそれも計算のうちだと気づけました。
あえて「ウザイ」と思わせるように描いたのでしょう。
と言うのもこの高校生作家雀宮快斗のキャラクター性。
どう考えても「井上心葉と正反対だけども、どこか似ている」
ように作られているでしょう。

・自分の作品・容姿に絶対の自信を持つナルシスト
・他人の目、意見をまったく気にしない横暴な言動・振る舞い
・最初から全開で遠子さんラブ

この辺は高校時代の心葉とは正反対と言えるでしょう。
当時の心葉は自分の書いた「青空に似ている」をずっと後悔し続け、
他人の目を極端に気にして目立たず無難に過ごし、
最初は遠子先輩のことも迷惑な妖怪としか思っていなかったわけだし。

いっぽうで「実は気弱で繊細」だったり「総じて面倒くさい性格」
だったりするのは似ている部分なんだろうなぁと思います。
きっと当時の「心葉くん」と重なる部分もあったんだろうなぁと想像できます。


そんな彼が成長していく過程は、本編の心葉が成長していく過程に重なる部分も見えて。
快斗が遠子さんを「初恋の人に重なる」と言っていたように、
その裏では遠子さんも快斗くんを初恋の人(=心葉)に重ねていたんだろうなぁ。
といういち読者の想像ですw 作中で遠子さんが明言してたわけではないのでね。

で、この快斗のキャラクターってのは、見習いシリーズの菜乃と重なるんですよね。
思えば見習いシリーズ開始当初の菜乃も相当なウザキャラだったもんなぁ。
「正反対だけどどこか重なる」のは菜乃と遠子の対比と同じ手法でしょう。

これに気づいたときに、この話が「文学少女」最後の物語なのだと納得してしまいました。
だからこそラスト5ページであんなに感動したんだろうなぁ。
「文学少女」をキーワードとした人々の繋がり、とでも言いましょうか。

太字の回想で語られる「初恋の司書のお姉さん」の正体は中盤で確信できたし、
最後の再会で締めくくるのもなんとなく分かっていた展開ではあったんだけどね。
わかってはいても、こういう展開はやっぱり嬉しいですね。
終わりは始まりでもあり、こうやって全部繋がっているのだと感じさせてくれます。


そして、読み終わってから改めて口絵を見た時に「そういうことか」と思わされると。
あれだけ「最後は遠子の話」と予告されていて、
口絵に「親愛なる文学少女と」なんて書かれてたらさ、
そりゃ最初は遠子さんのことを指していると思うじゃないですか。
でも、それが実はそうじゃなかった。と再度衝撃を受けた次第でした。
この巧みなミスリードと言えるだろう計算された演出は、
最後まで文学少女だったなぁ、と感じさせてくれるところです。


本当は各話の感想など他にもいろいろ語り倒したいところだけども。
ボロクソに書かれている快斗の作品へのコメントが妙にリアルだったりとか、
学校生活で青春していることや、それらを「書く糧になる」と説く遠子さんが、
本編を読んでいた当時のことを思い出させたりとか、
さり気なく司書のお姉さんのお友達の結婚報告があったりとか、
球技大会の出場種目が卓球なことに卓球場シリーズを連想したりとか、
思いっきりのろける遠子先輩に笑わせてもらったりとか、
いい加減収集がつかなくなりそうなのでこの辺にしておくけど、
それはもう書き出せばキリがないほどに色々思うところはあるわけですよ。

でも、自分にとって1番グッと来たのはやっぱり最後の5ページでした。
このシーンがあったからこそ半熟作家が見習いシリーズの後に刊行された意味があると思うし、
それにあのシーンはきっと、本編「作家」のエピローグとも重ねてきたんだと思うから。
本編「作家」の最後に心葉が彼の中の「文学少女」である遠子先輩の再会したように、
この話では快斗が彼の中の「文学少女」と再会して幕が降りる。

「文学少女見習いの卒業」を読んだときにも感じたことだけど、
やっぱり1回本編は「神に臨む作家」で終わっている。
これだけ外伝やら何やらを続けてきても、そこがぶれてないから納得がいくのでしょう。
今回もやはり最後のシーンでは、作家のラストを思い起こしました。
それと同時に「あぁ、これで終わりなんだな」と自然に思えたと言いますか。


なんにせよ「文学少女」は間違いなく、自分の人生を変えたシリーズの1つでした。
そういった作品が完結するのは、寂しさもありますがそれ以上に感慨深いものです。
と、ここまで自分の中の「想像」が多分に含まれた我ながら酷い感想を書いてきましたが、
物語ってのはこうやって読むものだと教えてくれたのも、たぶん「文学少女」なんだと思います。

あくまで自分が書いた解釈は「想像」でしかないけども、
それなりに当たってるのと自分では思っているんだけど実際はどうなんでしょうね?
きっと読み手の考え方や感じ方、これまでの経験などで読み方は全く変わってくるだろうし、
「コイツ何言ってるんだ?」と思う人もいるだろうけど、
これはこれで1つの「想像」だということで生暖かく流してもらえれば。
ということでこれにて「半熟作家と“文学少女”な編集者」感想日記終了です。


で、数日後にはきっと新作の「ヒカルが地球にいたころ」を手にしてるんだろうなぁ。
新作が出るのもこれまでのペース通り4ヶ月後だと思っていたので、
連続刊行にはちょっとビックリでした。
こちらも、WEBで連載される新作のほうも楽しみですね♪
ついでにココロコネクトの新刊も出るし、来月もまた忙しそうだ・・・


<余談>
amazonのレビューが見習いシリーズや挿話集はみんな10件前後だったのに、
この「半熟作家」だけ30件以上ものレビューが投稿されてるのに吹いた。
やっぱり遠子先輩好きな人が多いんだなぁと改めて感じましたね。
見習いや挿話集を飛ばして本編の後にコレだけ読んでる人も多そうだなぁ。
個人的には作者の切実なお願い通りすべて刊行順に読んでいくべきだと思うけどね。
じゃないとラスト5ページの感動は半減しちゃうもん、絶対。

ついでにこのDiarynoteでこの本を探す時に、
「半熟作家」と入れて検索したら1番上はこの本だったけど、
その下にズラーっと官能小説っぽい本ばかり並んでたのにも吹いた。
超常現象と戦う青春ラブコメ「ココロコネクト」
そのシリーズ最新刊が先日発売されました。
4巻目となる「ミチランダム」 もちろんさっそく読みました!

ちなみに日記に書くタイミングは逃してしまったのだけど、
昨年末に「面白い!」と第1巻の感想を書いて以降、
すぐさま2巻3巻も買って読み終えてます。
特に第3巻となる「カコランダム」は夜通し読んじゃいましたw
夜寝つけない日があって「眠くなるまで少しだけ」と思いページを開いたら、
そのまま没頭してしまい読み終えたら夜が明けてましたw
おかげでその日は終始眠くて大変でしたね(笑)
こんな具合になかなかにはまっております。

さて、そんな最近のお気に入りシリーズの4冊目。今回も非常に楽しめた1冊でした。
相変わらず5人それぞれがカッコよく、かわいく描かれていていいですねぇ。
これまでで既に5人の抱えていたおおよその出来事は判明しているから、
後から読み返した時の「そういうことだったのか!」感は薄くなっているものの、
その分それぞれに成長や変化が見え、少しずつ変わる関係を追うのが楽しくて仕方ない。

今回の現象は心の中で思っていることがアトランダムに相手に伝わってしまう「感情伝導」
1巻の「人格入れ替り」・2巻の「欲望開放」・3巻の「時間退行」に引き続き、
こういう怪奇現象としては割と使われる題材だろうと思うけど、
そこから始まる関係や心の変化とかトラブルの描き方は本当に上手いよなぁ。
もしそんな現象に遭遇してしまったら本当に起こりそうなことを描いてます。
今回伊織が壊れてしまう理由もちょっと唐突な感じはしたけど、
それがかえってリアルなように感じられました。
(詳しく書くとネタバレになるので詳細は伏せるけども)

また、1巻「ヒトランダム」は太一が女子3人を片っ端から助ける展開で、
正直なところパーフェクト主人公によるハーレム状態っぽさがあったもけど、
巻を追うごとにこのシリーズの売り文句である「五角形(ペンタゴン)コメディ」
らしさが出てきているようにも感じられます。
太一のヘタレさが見えてきて、やや空気ぽかったた青木が実はめちゃくちゃ強くて。

5人それぞれに見せ場がちゃんと設けられていて、
巻ごとにメインとなるキャラは違えど捨てキャラがいなくてぐっど。
ついでに言うなら明らかにサブキャラなのに毎回挿絵が1枚はあって、
今回ついに口絵にまで進出してきた恋愛神こと藤島さんの存在感が異常。


とまぁべた褒めだけども正直そろそろちょっとじれったくなってきたかなぁ。
これらの現象を引き起こしている「ふうせんかずら」の変化が
ようやくちらほら見え隠れしてきてはいるけども、
いい加減向こうの組織や真意が気になってくる頃だよね。
各人の抱えている問題は粗方片付いただろうし、
その辺が今後面白くなってくるかどうかのカギですよね。



個人的には五角形コメディなんだし5巻で完結かと思ってたけど、まだしばらく続きそう。
あとがきによれば次は短編集みたいだし、その次でもまだ完結はしなさそうな感じですね。
とにかく今後も楽しみです★

最後に一言、ネタバレを反転文字で叫んで終わろうと思います。







「稲・葉・ん・大・逆・転・キ・タ・コ・レ・っっっっっ!」
もちろん発売日に買っていましたとも!
そして直近のスケジュールを考え、今日一気読み。
楽しく1日読み過ごすことができました♪

今回の挿話集はまず目次をみた時点で「なんというボリューム・・・!」って感じでした。
なにせ販促冊子に収録されていた「アトリエの内緒話」と「シュークリームの秘密」
の2編まで収録されてたんだからそりゃビックリ。
最初の「文学少女見習いの発見」は文庫化しなさそうだと思っていただけに、
これの収録も嬉しい限り。まさか挿話集で見習いシリーズが入れてくれるとはって感じ。
そんなこんなで、これまでにない圧倒的なボリュームでした。
これでOVAの初回特典に収録されている話以外は全て文庫化されたハズ。

ただ、これまでに掲載されていた文庫未収録の短編を詰め込んでいるせいか、
書き下ろしはこれまでの挿話集よりだいぶ少なめ。
1番長い話でも30ページ程度だし、もっと短い話も含めた4編だけだったからね。
既読の話が多かったこともあってか、そこまで読むのに時間はかかりませんでした。
ただ、それでも読み応えはバッチリだったのは言うまでもありません。

さて、そんな今回の挿話集。
1つ特徴を挙げるなら「本編(道化~作家)の時系列外にあるエピソード」
が集まっているということでしょう。
ちなみに自分が思う各挿話集の特徴をまとめておくと、

1:本編時間軸内の日常的な描写が中心
2:本編の出来事を別の視点(森ちゃん&反町君)から見た話が中心
3:サブキャラの後日談&裏話が中心

といったところでしょうか。


本巻では「物思ふ公達」や「幸福な子供」、「騒がしい恋人たち」は
「道化」時点より1学年下になる遠子2年、心葉1年時代の話。
これらは本編では最後まで表には出なかった遠子の恋心を補完しています。

中学生になった舞花の「不機嫌な私と檸檬の君」や、
書き下ろし「それぞれの想い」の3編は本編以後の後日談的な話。
特に書き下ろし、「ななせ~天使へのコール」と「蛍~嵐の後の陽の中で」の2編では、
初めて明確に遠子と心葉の2人が再会した以降の出来事が描かれました。
まぁそれぞれなせならななせ、蛍なら蛍の話なので、
心葉と遠子はまったく関係ない位置にある話なんだけどね。
ただ、こうして完全に本編完結以降の話が出てくると、
この「文学少女」シリーズが確実に終了へと向かっていることを思い知らされます。

今回の4巻に限らずどの話も本編とのリンクのさせ方が非常に秀逸です。
特にそう感じた理由は、これだけ後日談や補完的な話を出しているにも関わらず、
主軸である「遠子と心葉の物語」はきちんと本編「作家(下)」で完結しているところ。
見習いシリーズも含め、後日談はあくまでも遠子の卒業から2人が再会するまでの、
「空白期間」を埋める出来事を描くことに徹してきていたからでしょう。
あくまで補完するのは2人の再会までのプロセスのみにして、
決して2人の再会以降の話はこれまで描いてこなかったことが、
それがより一層読み手を引き込むのではないかと感じました。


それと、時系列以外の特徴をもう1つ挙げるなら「14歳」という年齢にあると思います。
「不機嫌な私と檸檬の君」の舞花も、「蛍~嵐の後の陽の中で」の蛍もともに14歳。
この「14歳」という年齢は「文学少女」という物語にとって、すべての始まりとも言える歳です。
主人公の心葉が美羽とラブラブだった頃から、
「青空に似ている」が発売され状況が一転されたのも14歳当時の出来事。
そこに舞花や蛍の年齢を重ねてきたのは、何かしら意味があるような気がしてなりません。


今回は本当にどの話もお気に入りですね。
個人的にはあまり描いて欲しくないと思っていたななせの後日談も、
あぁいう形なら全然アリだなーと思えたし。むしろ美味しくいただけましたよ、マジで。
心葉ラブなななせスキーな自分も納得のお話でした(笑)

どの話にもそれぞれの面白さがあると思うけど、
1番印象に残ったのは美羽と芥川君の後日談「美羽~戸惑いながら一歩ずつ」でした。
美羽のキャラクター自体はそこまでお気に入りというわけではないのに、
毎回美羽関係のエピソードは強烈な印象を与えるんだよね。
いやはやまったくもって不思議です。

これ以上各話の内容に触れると収集がつかなくなりそうなので省略するけど、
今回の挿話集も本当に楽しく読むことができました。
感想としては自分で書いていて意味不明なことばかり並べた気がしますが、
なんかもう我ながら考えていることがまとまってないです(汗)
気が向いたら後日書き直すかも知れないけど、とりあえずこんな感じで・・・

あと1冊で本当の本当に完結してしまうと思うと寂しいものがありますが、
しっかり最後まで読み届けたいですね。
最終巻の発売は楽しみだけど、来て欲しくないような。複雑な心境です。


【余談】
ずっとブックオフ等で探していたのですが、先日ついに本編「幽霊」のネタ本である
「嵐が丘」を買うことができました。
今回の挿話集でまさかの蛍の話があり、嵐が丘にも少し触れられていたので、
次のネタ本紀行はこの本を読んでみようと思います!
以前FBOnlineの特集を見て面白そうだったので買ってみました。
先日読み終わったのですが、期待通りなかなか面白い1冊でした。

内容は一言で表すなら「人格入れ替わりモノ」になるのでしょうか。
同じ部活に所属する高校生5人組の中で次々に起こる一時的な人格の入れ替わり。
その入れ替わりの過程で発覚する5人?それぞれが隠していた心の傷があらわになり、
それを克服しつつ入れ替わり現象と戦っていく、とまぁそんなお話。

5人それぞれのキャラクターが分かりやすくていいですね。
男子2人はそれぞれにカッコ良く、女子3人はそれぞれに可愛らしい。
ただ、決してそれだけに終わってはいないのがより一層好印象。
彼らがそれぞれに抱えている悩みや心の傷は、
小説用に多少大げさになっている部分はあれど現実にも十分あり得るもの。
そんな見る人が見れば些細な、でも本人達にとっては重大な悩みに葛藤する姿は、
とても身近に思えてくる。青春!って感じがして良いです。

あとは傷を隠しているけれど、微妙に表に出てしまう描写が上手いなぁと思います。
一度最後まで行ってから読み返すとそれがすごくよく分かる。
何気ない会話の中にも、1人1人が抱えている悩みをほのめかす描写が本当に多い。
鋭い人なら初見でも気づけるんだろうけど、特に意識せず読んでいると流してしまうもの。
読了後に再度読み返すと「ここでその兆候が見えていたのか!」
と驚かされたことが本当に多い。
この、「表に出さないようにしているけど、ちょっとだけ出てしまう」感じ、
その描き方は本当にすごいと感じさせてくれました。

ただ、正直に言うと粗を探せばいくつか出てくるのは否めない。
人格が入れ替わっている時に誰の身体に誰の人格が入っているのかを、
文字だけで表現するのは中々難しいようで最初は訳が分からなくなったのは事実。
とは言えこれは読み手が慣れるしかないものだろうし仕方ないのだろうとは思う。
が、読むのに「慣れ」を要するというのはちょっとマイナスだったかなぁ。
それと最後のオチは読めちゃったし、なんとなく消化不良な感じがしてしまったのも事実。

でもまぁ、それを差し引いても十分楽しめた1作でした。
続きも出ているようなので、読んでみようと思います。
久々にこれは追っかけてみようと思えたシリーズですね。


ところでamazonのカスタマーレビューを見ると、
やたら「表紙が『けいおん!』っぽいから買った」という意見が多くて吹いたw
自分はまったくそんなこと意識せずに買っていたのですが、
いざ改めて表紙を眺めてみると、確かにそれっぽく見えるような・・・?
「文学少女」の元ネタ紀行4冊目。
少し前に完結した見習いシリーズで最後の1冊として使われた
チェーホフの「桜の園」を読んでみました。
いやはや、実に難解な1冊でしたね。

小説というよりは劇の台本のような感じで、
ひたすら人物同士のやり取りが続きます。
○○(人物名)  ~~~~~(台詞)
という文体はまさに台本そのもの。

いわゆる地の文というものが存在せず、状況は所々にト書きで説明しているだけ。
そのうえ複雑な人物名に次々と入れ替わる登場人物と本名と一致していない呼称の数々。
何よりまったく馴染みのないロシアという国の作品なので、時代背景もよく知らないし。

そんな感じなので流れを掴むのがとにかく大変でした。
「文学少女」の菜乃じゃないけど、何回登場人物紹介を読み直したか分かりません。
文字を読めるだけで文学を読めるとは限らないというのを痛感させられましたね。
国柄や時代背景のギャップが大きすぎて流れについていけなかった感じは否めません。

内容を見ても、やれ「お前ら出てくる度にいちいちキスしすぎだ」だの
やれ「ラネーフスカヤがいつまでもうじうじしててうぜぇ」だったり、
「莫大な借金を抱えてるのに通行人に金貨を振舞うとかイミフwww」とか
「ガーエフがいちいちKYすぎるwwwwww」だのと、
草生やしながらひねくれた読み方しか出来ない自分に我ながら嫌になりましたよ。
そういった行動の背景まできちんと読み込めてないんですよね。

ただ、これはあくまでも読み手の自分がダメなわけで。
馴染みのないジャンルだということもあるだろうけど、
自分の読書力の低さが露見したようで軽くナーバスになりました。

そんな風に思いながらもところどころは共感できた部分もあって。
登場人物それぞれが舞台となる桜の園を愛しく思っているのは十分伝わってきたし、
何気ない日常的な会話の雰囲気はきっと現代ともそう変わるものではないのでしょう。
テンポ良く読めた部分に関してはそういう素朴な雰囲気を感じることができたわけだし。
競売が終わり桜の園が売却されることが決定した瞬間の絶望感や、
そこから新たな1歩を踏み出す際の前向きになろうという気持ちには共感できたしね。
その裏で桜の木が切り落とされているという切ないけれど不思議な感覚には、
なんとも言えない文学的なものを感じたような気もしなくはない。
こんな風に、断片的にはこの作品の味わいを知れたような気は確かにするのです。

きっと「文学少女」内の菜乃みたく何回も何回も繰り返して読んでいくうちに、
色々なことが理解できてきてその面白さも分かっていくんだろうなぁ。
1回読んだだけでは断片的でしかなかった心地よさが、
読み込んでいくことで物語全体に広がっていくんだろうなぁという感触です。
噛めば噛むほど味が出る、とでも言いましょうか(笑)
あるいは元々が舞台用の戯曲なわけだし、万が一舞台でも観れる機会があればなぁw
とにかく、繰り返し読むことが大事になりそうな1冊なので、
そのうちにまた読み直してみたいと思います。
それがいつになるのかは今はまったくもって不明ですが


ちなみにこの本に同時収録されているもう1作「三人姉妹」も読んでみました。
が、こちらは「桜の園」以上に難題でした。
まず、「文学少女」によるある程度の知識がなく、まったく1からの読み始めだったこと。
それとこちらも登場人物がかなり多く、しかも大半が軍人だということがね。
桜の園はまだ人物それぞれ職業や立場が違っていたので把握が多少はしやすかったけど、
こっちは主人公となる三姉妹+兄(弟)のアンドレイ以外はほぼみんな軍人と来たもんだ。
誰がどの階級でどの隊の人なのかとか考えながらいるともう大混乱。

特に印象的だったのはアンドレイの妻ナターシャの豹変っぷりと、
(誰だったかはあやふやなんだけど)やたらモスクワに行きたがってたことくらいか。
そんなわけで自分の中での脳内BGMは「めざせモスクワ」でしたw
とまぁ、こんな程度の無味感想しか出てこないわけで、
桜の園以上に読めていないのは言うまでもなく(汗)


ついでに触れておくと本編はイマイチ掴みきれない部分も多かったんだけど、
巻末の解説はすごく分かりやすかったですね。
チェーホフという作家の人物観や作品観に加えて、
簡単な上演の歴史などが分かりやすく書かれていました。
チェーホフの四大劇が持つ悲劇と喜劇の両要素についての話や、
以前に書いた2つの小説を組み合わせて出来た「桜の園」などと、
分かりやすく興味を持てる内容が凝縮されてますね。
他の本を読んでいて解説にここまで感心することは滅多にないだけに、
非常に良い解説だと感じました。
まぁ自分がまったく知らない世界を見たからこそそう感じたという部分もありそうですが。


ということで「文学少女」の元ネタ紀行4冊目「桜の園(+α)」の感想はこれにて終了。
次は「オペラ座の怪人」に行こうと思っていたのですが、
未読のラノベが溜まってきているのでちょっと休憩しようと思います。
時期的に挿話集4が出る頃にはまた読みたくなりそうな気がしますw
レビュー機能調整中ってどういうことなの・・・?
日記を書くモチベーションがだだ下がりなんですが。。。
でもまぁそんなことを言っても仕方ないのでとりあえず覚書程度に。
復活したら改めて書き直すとしましょう。

【10月17日追記】
レビュー機能が復活したようなので書き直しました。
以下文章は変わりませぬ。




というわけで「文学少女」の元ネタ紀行3冊目です。
本編時系列通りに「オペラ座の怪人」でも良かったのですがちょっと一休み。
軽めのものを読みたかったので「かもめのジョナサン」をチョイス。
この作品はかつてFBOnline上で連載されていた
「文学少女の今日のやつ」にて使用された作品でした。
でも当時はまだFBOnlineの連載は知らなかったし、
文庫にもまだ収録されていないので実はこれを題材にしたおやつは未読。
あらすじはコミック版の「美味しい噺」の2巻で知ったいるだけでした。
(年末発売予定の挿話集4が待ち遠しい・・・)


とまぁそれはさて置いて本書「かもめのジョナサン」の感想を。
まず印象的だったのはとにかく多数掲載されている写真。
空を飛ぶカモメの姿を写した写真が挿絵みたく随所に収められています。
それは1ページだけの時もあれば、10ページ近く写真だけのページが続くこともあり。
嫌が応にもカモメの世界に感情移入してしまうような雰囲気のある写真ばかりでした。
読みやすいながら事細かに描かれているジョナサンの飛行に関する描写とあいまって、
一気に作品の世界、カモメの社会へと引き込まれるように感じました。

しかしこの写真、話の流れをぶった切ってしまうことも多い気がしました。
文字を追ってページをめくると写真、その次のページも写真、また写真。
ようやく続きの文章だと思った頃には「前の文は何だっけ?」と読み直すこともしばしば。
現代風に作り直すとするならレイアウト的側面はもう一工夫できそうに思えます。
とは言えこの文章をぶった切る感じもそれはそれで味があっていいんだけどね。
余談だけど、昨今のライトノベル等の挿絵の配置は、本当によく考えられているのだなと感じました。

さて肝心の内容は「とにかく速く飛ぶこと」だけを追い求めたカモメ、
ジョナサン・リヴィングストンの生涯を描いた物語。大きく分けて3部構成になっています。
飛ぶことを生活のためとしか考えていない群れの中で異端児的な扱いを受けながらも、
ただひたすらに速く飛ぶ方法を研究・実践し続ける。
しかしそんな中で群れを追放されてしまう第1部。
そして一度天国?へ昇りそこで更なる飛行修行を続け、再び地上へ戻るまでを描いた第2部。
地上に降り立ったジョナサンはかつての彼と同じような志を持つカモメ、
フレッチャーと出会い彼を指導していく立場となる第3部。大まかな流れはこんな感じ。


第一部は他に目も触れずただただ飛ぶことだけを考えるジョナサンの姿がとにかく印象的。
一直線な若々しさを感じられ、素直にジョナサンの視点になって読むことができました。
彼を異端児扱いする群れの民意も分からなくはないんだけれど、
それ以上にジョナサンの持つ熱い気持ちが文体からひしひしと伝わってきます。
あんな風に真っ直ぐに生きることができたら、
それはきっと物凄く大変だろうけど素晴らしい生き方なんだと思います。

第2部のこの天国?の在りようについては物凄く哲学的で首をかしげる部分も多かったし、
終いにゃ瞬間移動までしてのけた時にはなんじゃこりゃーって感じでした。
しかし、ただ速く飛ぶことだけを追い求め続けた第1部の延長線、
そして、その技術を若いカモメに伝えていくことになる第3部への布石。
そういった役割はきちんと果たしていたし、必要にして十分な描写であったとは思いました。

そして第3部。フレッチャーを指導する過程で紆余曲折を経て、
彼らの飛行に憧れ近づいてきた複数のカモメも集まり小さな群れとなる。
しかし最後には1番弟子のフレッチャーを指導者に任命し、ジョナサンはその群れを去る。
その際の「わたしはカモメなんだ。わたしはただ飛ぶのが好きんだ、たぶん・・・」
という一言がとにかく目に残りました。
ジョナサンを「偉大な指導者」としてどこか神格化しているフレッチャーや他の弟子に対し、
自分もごく普通のただのカモメであると言い残し去っていく。
その時にはとてもそうは思えなかったフレッチャーだったが、
いざ実際に指導者として新入りのカモメに教鞭を垂れた時にそれを実感する。
この終わりの一幕が本当に心にストンと落ちてきて、心地よい共感がありました。

また、この新入り弟子に対してのフレッチャーの第一声が、
第3部の最初にジョナサンが彼らに言った言葉と同じだったり、
「では水平飛行から始めるとしよう」という締めの一言が、
第2部のジョナサンの一言と一緒だったりする部分がなんとも言えぬ味わいがあります。

この本を読み終わり真っ先に思ったのは、
「これってきっと、人間も同じなんだろうなぁ。」ということでした。
どんなに偉大に見える偉い人でも、実際は同じただの人間なわけで。
この作品に近い状況を人間社会で当てはめるとするなら学校でしょうか。
小さい頃、小学生くらいの頃は特に学校の先生って偉大に見えたりするじゃないですか。
でも大人になって、現実を見ると昔は別世界の人に見えた先生もただの人間なんだよね。
ここでは学校を例に出したけど、別に学校の先生生徒の関係以外にも言えることだと思う。

きっとこの作品で1番言いたかったことはコレなんじゃないかと感じました。
どんなに違いがあっても、偉大に思える存在でも元々は同じなんだと。
ならば何が見え方を変えるのか。それは第1部で見せたような、たゆまぬ努力なんじゃないか。
真っ直ぐに1つのことを追い続ける気持ちなんじゃないか。
それを伝えたかったからこそ、あえて第2部では哲学的なことも盛り込んだんじゃないかと。
そんな風に自分は想像しました。正しいのかどうかを知るすべはないけども。


短く、分かりやすいけれどもなかなかに奥深い1冊でした。
訳者の解説によればこの本の日本語訳は「創訳」であり、
いわば作っている部分も多いとのこと。
原文の英語はかなり平易な文章のようなので、
もし機会があれば一度目を通してみたいですね。

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