友情 (新潮文庫)

2010年9月22日 読書
文学少女の元ネタを読んでみよう!
という自分の中での思いつき。
2冊目は武者小路実篤の「友情」を読んでみました。
文学少女本編3冊目の「繋がれた愚者」の題材となった1冊です。
先日この本を読んでいることは書いたけど、早くも読み終わりました。
そこまで長くもなく、内容もとっつきやすかったので、
思いのほか短期間で読み終わることができました。

読んでみた率直な印象としては、まずとにかく読みやすい。
手元にある1冊は平成15年に改版されているみたいだから、
多少現代語的に書き換えられている部分もあるのだとは思う。
でもそれを差し引いても1920年、今から90年も前に書かれたものとは思えないくらい。
時代が違うだけあって当然描写に古さは感じるのだけれど、
それと同じくらい現代においても在り得る、ある意味身近なもののように感じられました。

内容は一言で言ってしまうならいわゆる「三角関係」の恋愛もの。
主人公の野島が好きになった杉子への片思いを、親友の大宮に相談しながら続ける。
でも杉子が好きになったのは親友の大宮の方で、
大宮もまた野島の相談を受けているうちに杉子に惹かれていってしまう。
そんな恋愛模様を描いた青春時代を過ごす若者たちの物語。

概要だけを淡々と書くとこんな感じで、実にドロドロの愛憎劇に思えてしまいます。
が、実際は不思議なことにそういった血生臭さはまったく感じられませんでした。
実に充実た楽しい、それでいて甘酸っぱい青春の1ページを読んでいるという感じです。

上篇では野島の周辺で起こった出来事を中心に出来事を事細かに描写していて、
とにかく好きな人の身近にいれる幸せを噛み締める野島が印象的。
まったく不安を感じさせず、安心して続きを読める楽しい展開でしたね。
この恋がどう進んでいくのかと気になって仕方がない。
結末は知っているのに自然とページも進んでいきました。
恋をするとこんな風になるよなぁ、ってしみじみ感じながら(笑)

それに対し下篇では杉子と大宮の手紙のやり取りだけをただ載せるだけ。
その中で上篇でほのめかされていた思いの真相が明らかになっていく。
やり取りは淡々と進むのに、その中で杉子の大宮に対する気持ちがひしひしと伝わってくる。
杉子もまた、野島の杉子への思いと同じくらい強く、大宮のことを想っていたわけで。
それはそれは非常に微笑ましく感じられる。
同時に大宮の葛藤する様子にもまた感情移入してしまう。
恋愛と取るか友情を取るか、
でもやっぱりこれは野島の物語なんだなと、最後にもう1度実感する。
最後の最後、大宮と杉子の手紙のやり取りを野島は知るわけで。
このやり取りを知った後の野島の行動はほんの2,3ページしか描かれていない。
にも関わらず、そのたった2,3ページで全てを表現できていたと思う。
彼の味わっただろう痛みや寂しさ、絶望がすごくリアルに伝わってきた。

そんな結末はちょっと哀しいけれど、後味は何故か心地良かったからなお不思議。
大宮と杉子の幸せな生活と同時に、絶望してそれで終わりにしないで、
そこから立ち上がろうとする野島の描写まであったからでしょうか?

そんなことを感じた1冊でした。
思わず読み終わってすぐに自分の状況に置き換えて考え込んでしまいました。
仮に自分が好きだった人が仲の良かった友人と昔からずっと想い合っていて、
仮に結婚することになったとしたら自分は素直に祝福できるのだろうか?と。
その回答はまだ出ませんが、きっとこの先ずっと出ないような気もしますw

「恋は盲目」という言葉は、つくづく真理だとこの本を読んで感じました。
そういった恋愛の本質をスリムに、淡々と描いているのがこの本なんだと思います。
きっと本質を語るには必ずしもこの日記みたく長々と書く必要はないのでしょう。

この本の野島と自分が重なる部分がたくさんあって、
思わず色々と思い起こしてしまいました。
文学作品に影響を受けるという感覚がこれまでどうも分からなかったのですが、
きっとこういうことを言うのだと想います。
自分の場合身近に感じたのは野島だったけど、
人によっては大宮だったり杉子だったりするのでしょう。
もっと早くに出会っていれば、自分の人生も少し変わってたかも知れないなぁ。
でも、今こうして出会えたのだから、それもまぁ幸運なのでしょう。

なんか感想として書くと色々とまとまらなくておかしな文章だとは自分でも思う。
でも、思ったことをそのまま書いてみたらこうなったので仕方ないw
名作として語り継がれるだけあって色々考えさせてくれる物語でした。
あ、それと文学少女の「愚者」を読み返してみたくなったのは当然言うまでもなくw
文学少女の題材となった作品を読んでみよう!
というのは前々から思っていたことでした。
そんなわけでまずはこの「人間失格」
恥ずかしながら、今回初めて読みました。
だいぶ前から手元にはあったけど、
なかなか読み出すタイミングをつかめずにいました。
少し前から読み始めて先日ようやく読み終えました。

全体を通していえばなんという鬱小説なんでしょうか。
こんなに救いのない話は、これまで読んだことがなかったと言って良いでしょう。
特にここ最近はハッピーエンドなライトノベルばかり読んでいたので、
こういう鬱々とした物語への耐性もさぞ落ちていただけに余計にきつかった。

その内容についてあれこれ言うのは野暮だし、あえて多くは語りません。
自分はあれこれ論評できるほど文学に精通してるわけでもないしね。
でもちょっとだけ、感じたことを書いておきたいと思う。内容云々はさて置き、ね。


最初はその独特などんよりとした雰囲気もあり、ページをめくる手もなかなか進まなかった。
章ごとに分かれていなかったり段落が変わることも少なく、
鬱々とした文章が延々と勢いよく続き、正直に言えば「読みにくい」という印象でした。
それなのに後半になるに連れて気づけば次々と先を読みたくなり、
ページをめくるのが早くなっていた。そんな次を求める感覚には自分でも驚いた。
意識的には「なんだこの暗ーい話。気が重いなぁ」などと思っていたのに、
潜在的な部分では次を、先をと読み求めていたんだなぁと。
無意識のうちにそういう風に感じてしまったのは、
きっとそれがこの作品の不思議な魅力の1つだからでしょう。

全体を通してみればまだ理解できないことも多いし、
なんでそんな思考になるのか分からないと感じる部分もある。
それはきっとこの物語中の絶望に希望が一切無いからなんだろうなぁ。
だからこそ、ほんの少しの共感を得られたようにも感じた。
それ故に、それなりに自分のこれまでの人生を省みながら読んでしまうんだろうなぁ。

ちなみに太宰というと、高校の国語の授業で「富嶽百景」を読んだことを思い出しました。
全編読んだわけじゃないし、もう何年も前のことだから内容もよくは覚えてない。
でもなんとなーく残ってる印象によれば人間失格とはまぁ似ても似つかない作品ですよね。


それとよくこの人間失格が中学や高校の読書感想文の推薦図書になってたりするけど、
多感な思春期にこれを読むのってちょっと危険な感じもした。
思春期にこの作品に過度に共感しちゃうと、その後の人生が大きく歪んじゃう気が・・・
でも、だからこそある意味読んでみる価値があるのかも知れないとも思う。
暴論であるのを承知であえて今風の言い方をすると、
この手記を書いている葉蔵もある種の「中ニ病」だしなぁw



なんか話が四方八方飛んでまとまってないけど、そんなことを感じました。


以下文学少女を絡めた余談



この「人間失格」の影響を直撃してしまった存在が竹田千愛なのは言うまでもなく。
この日記上でも再三書いてるけど「人と同じように感じられない」という悩みは、
程度の差はあれど誰しもが1度は感じることのように思う。
そんな思春期に人間失格を読んで強く影響されすぎた人物の象徴が彼女なんだと思った。

一方で人間失格が題材となった「死にたがりの道化」に限って言えば、
主人公の井上心葉にも人間失格の描写に近いものを感じました。
というのも、一度目の心中で相手の女性が死んで生き残った自分を責める葉蔵と、
美羽に飛び降りられてすべてに絶望し引きこもった心葉が重なって見えたのです。
(少なくとも読者視点ではこの時点での美羽の生死は不明なので余計にね)
深読みしすぎかも知れないけど、もし本当にそう意識していたらすごい話だよなぁ。

また、「人間失格」に影響され切って、死を選ぼうとする竹田さんに対しての、
遠子先輩の「人間失格だけで太宰を判断して死を選ぶのは勿体無い。他の作品も読むべき」
という説得の重みも人間失格を読んでからだと変わります。
確かに人間失格は太宰の本音だという説もあるようだけど、
他の作品にはそれぞれの主張があるんだろうしね。
人間失格だけで判断するのは勿体無いのは確かでしょう。

とまぁ、またまたまとまってないけど率直に感じたことを書いてみました。
あと「死にたがりの道化」の竹田さんは「人間失格の」葉蔵よりも重症だと思ったかな。
あぁもう、こんなこと書いたらまた道化読みたくなってきました。
が、現在道化は貸し出し中。もう1冊買っちゃおうかな・・・
今月発売の文学少女の最新刊。見習いシリーズ完結編となる「卒業。」
本そのものは27日にフラゲしていたものの、
なかなか読む時間を確保できず今日まで持ち越しに。
今朝は5時半に目が覚めてしまい、7時ごろから一気に読みました。
途中朝食を挟んだものの、午前中いっぱいかけて読了。
午後は印象的だったページや既刊を読み返したり、
本書の感想ブログを読み漁ったりとして過ごしました。
その結果いつも通り読後の余韻で丸1日潰れました。
毎回こうなっちゃうから文学少女は休日にしか読めなくて困るw

読んでるこっちも胸が苦しくなるほどとにかく切なくて、
それでいて非常に気持ちの良い読後感。今回もしっかり「文学少女」の物語でした。
今回も見習いシリーズではお馴染みとなった3部構成。
ただ、今回は今までとは順番が変わり、
メインとなる長編「寂寞。」・掌編「ある日のななせ」・そしてエピローグ的に短編「卒業。」
という順番になっていました。

ちなみに今月のFBOnline【http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/】では、
この文学少女見習いシリーズの特集が組まれています。
が、この特集。昨日発売したばかりの本書のネタバレも多数あり。
未読者は注意が必要ななんとも微妙な特集でしたw


以下ネタバレ自重してません。ご注意を



「寂寞。」は菜乃の親友である冬柴さんと彼女の過去を知る先生の物語。
時期的には前巻の文化祭終了からクリスマスまで。元ネタとなったのは漱石の「こころ」
本編「巡礼者」の1年後にあたり、随所に巡礼者を思い起こす描写が見られます。

冬柴さんを助けるために放った菜乃の言葉が逆に彼女を追い詰めてしまう展開。
これは心葉の言葉が美羽を引き裂いてしまった巡礼者の展開を思わせます。
視聴覚室での心葉の「想像」の解説は巡礼者のプラネタリウムのシーンを思い出しました。
また、随所に見られる「慟哭」というキーワード。
これらのように巡礼者を思わせるものが多数出てきますね。

そして、見習いシリーズ開始時点からもっとも重要になるだろうと言われていた、
「心葉=井上ミウ」であることのカミングアウト。
これに加えて何よりも重要なポイントとなるのが「青空に似ている」
これまで菜乃が「青空に似ている」の話題を出す度に微妙な反応を示していたので、
自分の作品が知らない場所で、知らない人たちに大きな影響を与えていたことを実感し、
自分の作った物語と向き合い、乗り越える。それが心葉には必要だったのでしょう。
結果として心葉のこの経験が冬柴さんと忍成先生を救うことになったんだと思うし、
そのために心葉に与えられた試練だったようにも感じます。
まさにこのタイミングでしか有り得ない使い方と言えるのでは。
この2つの要素の使い方はとにかく素晴らしかったと思う。

もう1つ同時に印象的だったのが準レギュラーたちを徹底的に排除していたことでした。
これまでほぼ毎回少しずつでも登場していた竹田さんや芥川君、美羽らの登場は皆無。
心葉と菜乃、ななせに冬柴さん、忍成先生といった物語の中心人物だけに絞ったのでしょう。
その結果展開がだれることなく最終話にふさわしい盛り上がりや、
緊迫した展開を創ることができたのだと思いますね。


全体としてはほぼ文句ナシのお話だったんだけど、少し気になったのが2つ。
1つは前巻ラストの「分かったでしょう、邪魔よ」の衝撃と比べて、
冬柴さんと心葉のお付き合いに関してやや拍子抜けだったこと。
12ページでいきなり「しばらく冬柴さんの彼女になる」だからね。
最初から半ばわかってたとは言えこの時点で本気じゃないのが明らか。
その動機が分かるのは後半だったけれど、なんとなく読めちゃう展開でしたね。

もう1つは最後の冬柴さんの旅立ち。やや無理があるような気がしてしまいました。
細かいことを言うなら一晩で退学の手続きやら飛行機の手配やらができたのか、とかねw
と、そんな細かいことはさて置いても、
今すぐじゃなくても「いつか、絶対に会いに行ってやるんだから」
という感じで終わらせても良かったのではないかと思いました。
ただ、菜乃が「本当の淋しさ」を知るには必要な展開だったのもすごく分かる。
後述の「卒業。」で卒業式の日に菜乃と心葉が笑顔で別れるには、
心葉の卒業が最初の「本当の淋しさ」では都合が悪いようにも感じるしね。

これに関してはきっと、個人的な願望なんでしょうね。
この事件を通し友情を確かめ合った2人が今後も不器用だけど仲良く過ごしていく。
そんな未来を自分は想像したかったんだと思う。
「巡礼者」で和解できた心葉と美羽のように。
あと、願望と言えば冬柴さんの笑顔な挿絵が1枚あると嬉しかったかな。
いやまぁ、今回も例に違わず素晴らしい挿絵ばかりではあるんだけども。



「ある日のななせ」はななせが立ち直る過程の1コマを描いた掌編。
あるいは自分のようなななせスキーがニヤニヤするための掌編とも言う
「初恋。」が美羽、「傷心。」で千愛ときたらやはり最後はななせなのでしょう。

本編エピローグの再会への繋がりを、見習いシリーズと挿話集2で描いてきました。
最後の最後にようやくななせも救われたように思います。
そんなきっかけとなったのは、天使とやはり菜乃の存在。
「あたし以外の人と浮気したらダメ」というセリフに見える図々しさはそれまでなかったもの。
こういう部分に気持ちの変化が見えるのが憎いよなぁ。




そして、バレンタインの数日前から卒業式での別れまでを描いた「卒業。」
正真正銘見習いシリーズ最後の物語。ネタ本はチェーホフの「桜の園」
紆余曲折はあるけれども、なんといっても見せ場は卒業式当日。

遠子先輩の絵との対面から、最後の告白まで。その流れ、やり取り。
最後の最後までページを進める速度を緩めさせてはくれませんでした。
最初に通して読んだ時はそれほどではなかったんだけど、
後から何回も読み返していくとそのうちにこみ上げてくるものがありましたね。

彼女の初恋はこれ以上にないほど贅沢な片思いだったでしょう。
大好きな人と2人きりの部室で毎日を過ごし、想い出を育むことができる。
何度でも好きだと伝えることができ、別れの日にはあんな素敵なプレゼントをもらえる。
きっとリアルであんなものをもらえたら、それはもう一生の宝となるでしょう。
でも現実の初恋は、片思いは、まずこうはならない。
だからこそ余計に切ない思いに駆られるんだろうね。

こんな幸福な片思いを手に入れることが出来たのは、
どれだけ拒絶されても強く強く想い続けていたからこそ。
そんな彼女の根気強さは、思いっきり体育会系ですよね。
そんな遠子先輩とは正反対な体育会系文学少女、日坂菜乃。
最初はただのウザキャラだった彼女にここまで感情移入することになるとは、
当初は思いもしていませんでした。




この外伝シリーズは井上心葉や琴吹ななせの成長を見る物語でもありました。
しかし、やはり主役は彼女、日坂菜乃なのでしょう。
何も知らない純真無垢な少女が痛みを知り、心の闇を知り、淋しさを知り、そして恋を知る。
そうして成長していく彼女の物語であったように思えてなりません。
もう1人の文学少女の物語。最後まで楽しく読ませていただきました。ごちそうさまでした。


と、カッコ良く?締めておいてこんなこと言うのも野暮なんだけどさ。
今更ながらに思っちゃったから最後に1個だけ書いておく。

この学校教師も生徒も波乱万丈な人生送ってる人多すぎだろ・・・・・


次は年末の挿話集4、そして来年のもう1冊で終わりですね。
まだ少しだけこの物語を読むことが出来るのは嬉しい限りですが、
完全な別れへのカウントが1つずつ減っていると思うと複雑ですね。。。
まず無理な願いなのは分かってるけど、出来れば菜乃1人になった文芸部の話とかも
短編でいいのでちょっと読んでみたいなぁ。
先月から続くフルメタ完結編。いよいよ下巻です。
もちろん発売日に購入はしていました。
が、一気に読む時間とコンディションがなかなか確保できず、
今日までお預け状態だったんです。
ようやく1日休みの日が来たので読むことができました。
朝食だけ済ませて朝から至福の読書タイムです(笑)

まさに最終巻。開幕からエンジン全開で怒涛の展開。
ページ数的には上巻と同じくやや物足りないのでは?
という懸念もあったけどそんな心配は必要ありませんでした。
最初から最後まで常時クライマックスだったこともあり、
上巻以上に熱く、読み応えのある1冊でした。
いやはや、2年半も待った甲斐のある見事な結末でした。
結末が見れて嬉しいような、寂しいような複雑な心境ではありますが。。。

本来なら「このシーンが良かった!」とあれこれ語るとこだけど、あえてしないでおきます。
だってそんなことしたら収拾がつかなくなるのが目に見えてるんだもん。
軽く感想ブログなどを読みまくってみたけど、
印象に残っている人が多いシーンには、自分も例に漏れず印象的でした。

どのシーンを取ってもいちいちカッコ良くてたまらない。
ソースケやかなめ、マオらはもちろん、各戦局全てのキャラクターに魅せ場があって、
いちいち胸を熱くさせられてばかりだったからね。
それはミスリルの面々だけでなくレナードやカリーニンらアマルガム側も例外ではなく。
正直言ってとてもじゃないけど1個1個なんて書ききれないですよ。

そんなわけで今回はいつもみたく長々と感想を書き並べるのはやめておきます。
ただ、特に強く感じたことをあえて一言だけ書くとすれば、
「今を生きる者」の底力、あるいは(良い意味での)悪運の強さですかね。

で、その代わりというわけではないけど、ちょっとだけ「フルメタ」の思い出話でも。



この「フルメタル・パニック」と出会ったのは高校1年の頃、2001年のことでした。
当時の高校の友達からフルメタを含むいくつかの作品を布教されたのが始まりでした。
この時勧められた作品で最初に読んだのが「戦うボーイ・ミーツ・ガール」でした。
そしてその面白さにドップリとはまり、その友人から色々借りることに始まり、
次第に自分でも色々本を買いあさるようになっていったのです。

自分がここまでライトノベルというものにはまるきっかけとなったのは、
間違いなくこの「フルメタル・パニック」でした。
それどころかラノベ・非ラノベを問わず活字を読む楽しさを教えてくれた作品だった。
そう言っても過言ではないと今にしては思います。

それからもう、かれこれ9年もの付き合いになるんですね。
初めて読んだ頃はソースケやかなめたちとほぼ同年代だったけど、今では20代も半ば。
これだけ経つんだからそりゃ歳取ったよなぁって話ですw

そんな作品がついに完結を迎えたわけですよ。そりゃぁ感慨深いものがありますね。
最後の1ページを読み終えた後も、本当に言葉が出ませんでした。
頭の中で作品内のことも外部のことも、色んなものが交錯してるんだよね。
今回あえて細かい感想を書くのをやめようと思ったのも、実はそんな理由からです。
自分の貧弱な語彙では、この感慨深さを文字で書くのが無理だと感じちゃったのです。

何を大げさな・・・と思う人が大半だろうけど、
それだけ自分の中で特別な作品だったんだろうと思うのです。
だって今現在はもちろん、これから先もずっと、
もっとも付き合いの長い作品であり続けるだろうからね。

とは言え・・・さすがに2年半のブランクは長すぎた。
正直前の話なんてけっこう忘れてるなぁと感じましたね。
大筋はある程度覚えてはいたけど、細かい部分はかなり忘却の彼方だったのは否めません。
若かりし頃と今とでは読んで感じることも違うだろうし、
一度最初からぶっ通しで読み直してみたいと思います。
(量が量なのでどれだけかかるかは分かりませんが・・・)


そんなことを色々感じ、思い出したフルメタ最終巻でした。

個人的にはまっている「文学少女」シリーズ。
その著者である野村美月氏のデビュー作がこの「赤城山卓球場に歌声は響く」
だいぶ前にブックオフでたまたま見つけて買っておいたのですが、
読み出すきっかけがなくずっと積んだままになっていました。
それを少し前に読み始め先日読破したので簡単に感想でも。

本作はあとがきにもあるように作者の学生時代をベースに創られたもので、
登場人物はみんなそれぞれモデルとなる友人がいとのこと。
主人公である村上朝香のモデルは間違いなく作者自身なのだろうし、
ノンフィクションは嘘でも実際の出来事がかなり含まれてそうです。

ただ、小説としては荒削りな部分も多いと思う。
朝香と華世ちゃん以外のグループメンバーの描き分けは微妙だったし、
後半の卓球魔人だの神様だののくだりはにどうにも無理があった。
それに流れだけ見れば無難、というよりもむしろありがちな展開だったもんなぁ。

でもそんなマイナスな部分を補って、というよりもそれすらひっくるめて、
楽しい学生生活の雰囲気が伝わってくる暖かい作品でした。
主人公の朝香を通し、作者が過ごしただろう学生生活が見えてきます。
きっと作中の朝香の行動の大半は、そのまま作者の学生時代の姿なんだろうなぁ。
また、この人が本当に文学を愛していることが作品からも感じられ、
そこに「文学少女」へのルーツを垣間見たような気がしました。

それと同時にこういう楽しげな青春ものを読むと、自分自身の大学時代を思い起こしますね。
色々あったけど、やっぱり学生時代は楽しかったなぁってつくづく思います。
人はみんなそうやって年を取っていくのでしょう(苦笑)

作家「野村美月」のルーツを探るにはこれ以上ない1冊だと思います。
「文学少女」にはまったのなら読んでみる価値はあるような気がします。
物語として面白いと感じるかは人によるでしょうが、
自分はこの楽しそうな雰囲気だけで十二分に楽しめましたね。

ちなみにこの卓球場シリーズは全4巻。
ずっと続きを探しているのですが、見事に見つかりません。
さすがに古本でしかないだろうけど、2巻以降の出版数は相当少なそうだもんなぁ。
今から見つけるのは至難の業なのかも知れませんね。
あと文学少女の最新刊が今月末に発売ですね。
見習いシリーズ最終章、どう仕上げてくるのか今からとても楽しみです☆
「電撃文庫を読んで大人になった人へ贈る」
そんな謳い文句の「メディアワークス文庫」
以前から気になっていたレーベルでした。

そんなレーベルから以前はまった「さよならピアノソナタ(電撃文庫)」
の著者、杉井光氏の「すべての愛がゆるされる島」を読んでみました。
最初は大人のためのライトノベルを想像してましたが、
どうもそれとはちょっと違う感じでしたね。
さしずめライトノベル作家の書く一般文芸といったところでしょうか。

さて、そんな本書。概要はこんな感じ。
(今回はネタバレはナシ。ネタバレすると途端につまらなくなる作品だと思うので)
赤道直下の地図にも載っていない島。
その島ではどんな愛でも許される。
不倫だろうと同姓だろうと、あるいは血の繋がりがあろうとも。
その島の教会は、2人が本当に愛し合っているならば誰でも祝福してくれる。
これは、そんな島に訪れる人々の物語。


主にバイトの休憩時間を使い1ヶ月くらいかけてじっくり読みました。
章ごとに視点がコロコロ変わるので最初は多少混乱したものの、
慣れてくる頃には交互に進むそれぞれの物語にしっかり引き込まれます。
読み終わった後には不思議な読後感の残る作品でしたね。

少しずつ明らかになってくる島や教会の秘密、
交互に進む複数の物語が1つに繋がる瞬間。
そういった物語上の決定的瞬間とでもいうべき時が、
不自然な前兆などなく、ごく自然にやってきます。
流れを遮らずに核心に迫るとでも言いますか。
展開としてはよくある手法なんだろうけど、描写の上手さはさすがでしたね。

物語中の愛情は内容が内容なので理解が難しい部分もありますが、
そんな中にもある種の人間らしさが描かれており、
内容とは裏腹な人の暖かみが感じられました。
愛情と狂気はみな紙一重なんでしょうね、きっと。
時々思っていたことですが、それを強く感じさせられました。

そして、最後にこれまでの雰囲気を吹き飛ばすような希望を見せ、
作中の、島について書かれた1冊の本から始まった物語を気持ちよく終わらせてくれる。
更にはこの本のタイトルに込められたもう1つの意味を見出せる。
そんなラストの魅せ方がとにかくよかったですね。
それがあの爽やかだけどそれだけではない不思議な読後感を生んだのでしょう。

基本笑える場面なんてほとんどないシリアス一直線な物語ですが、
かといって鬱々と暗い気持ちで読み続ける作品でもありません。
それ故に最後まで落ち着いて読むことのできる1冊になっていると思います。



○以下余談○

改めてこの人の作品の面白さに触れたように思います。
概要だけ見ると正直そこまで好みじゃないんだけど、
「神様のメモ帳」も読んでみようかなぁ。

あとメディアワークス文庫のコンセプトもそれなりに自分に合いそうな感じ。
さすがにまだ創刊から半年ちょっとなので数は少ないけど、
面白そうな作品があれば他にも手を出してみたいですね。

(ちなみに本書を読む前に同レーベルの「お茶が運ばれてくるまでに(時雨沢恵一著)」
も読んだのですが、あっちは詩的なものだったので、
自分が文庫本に求めるものとはちょっと違った感じでした。
本全体の雰囲気とかは好きだったんだけどねー)



それにしてもネタバレなしで本の感想を書くのって難しいものですね。
極力核心部分は突かないように書いたつもりだけど、
未読者からしたらこれでもネタバレに感じる部分もあるのかも知れないし。
まぁたまにはこんな書き方も悪くはないでしょう・・・か?
いったい俺は何年待ち続けていたのだろう?
そう思って前巻の発売日を見たら一昨年の2月でした。
およそ2年半の沈黙を破り、ついに発売された最新刊。
1日かけてぶっ通しで読んだのは言うまでもありません。



ページ数的には上下巻ということでやや物足りなかったものの、
読み応えは抜群。ページ数以上に濃密な内容でした。
物語もついに佳境、ひたすらにシリアスで残酷な展開が続くものと思っていたし、
実際そうなんだけど、ところどころにクスっと笑ってしまうようなやり取りもあり。
相変わらずいつものフルメタで安心しました。
いやはやまったく、2年半も待った甲斐があったというものです。


そしていよいよ最終局面!という絶妙なところでの「下巻へ続く」
まったくこの期に及んでまだ焦らしますか。
まぁ下巻は来月出るようなのでそんなに長い待ち時間ではないですが、
それでも待ち遠しいことには変わりません。


でもあれだけ間が空いちゃうと前の話なんてやっぱり忘れてしまいますよ。
ちょっと目を通せば大筋は思い出せるけど、細かい部分はどうしてもね・・・
せっかくだし、来月発売の下巻の前に読み直しておくべきでしょうか?
でもいくら再読とは言え1ヶ月で10冊はなかなかに高いハードルですw


そんなわけで終日コレを読んで過ごしていた1日でしたとさ。
あぁ、あと1ヶ月が長ひ・・・

以下ネタバレ開放の独り言(反転)


とりあえずクルツ生存がほぼ確定しましたね。
あのくだりのマオやレイスの発言には最高に笑わせてもらいました。
みんな戦いで消耗しきっていて、悲壮感、憔悴感が漂っているハズなのに、
そんな雰囲気を笑い飛ばすあの描写は、ある意味現実以上にリアルではないかと感じました。

今回の戦いは3つの舞台に別れたし、下巻もまずはその3つを交互に描くことになるでしょう。
・宗介vsレナード&カリーニン
・テッサvs水中ASリバイアサン 
・マオ&クルーゾーvsファウラー&サビーナ 


M92機でラムダドライバ搭載のエリゴール2機と戦わなくてはならない、
マオとクルーゾーが1番大変そうだ・・・
そう考えると、クルーゾーのあの葛藤とか、死亡フラグとしか思えなかったんですが。
クルツが生存している以上マオを殺すとも考えにくいし、
この中で真っ先に死にそうなのってやっぱクルーゾーなんだよなぁw

あとは宗介のもとにやってきたメモリーチップの中身も気になりますね。
おそらく陣代高校絡みの何かだとは思うけど・・・
それが最終局面でどう影響するのかも、楽しみですなぁ。

まぁここであれこれ言っても仕方ないし、この辺でやめときますかw
とにかく1ヶ月wktkしながら待つとします。

割と好きな作家の出す本格的ミステリということで、
その昔かなり注目していた本作。
初版発売当時買うかどうか迷ったものの、
ハードカバー故の高値もあって見送っていました。
が、今年になって文庫版が出たので読んでみました。
期待半分不安半分でしたが意外と楽しめましたね。


三雲氏の作品は電撃文庫の作品しか読んだことがなく、
氏の非ライトノベル作品を読むのは今回が初めてでした。
自分の読み方がかなりライトノベルに偏っているのはあるだろうけど、
内容的には良くも悪くも「思いっきりライトノベルだな~」と感じました。
著者の昔の作品である「レベリオン」や「i.d.」と同じ世界の話であるから
余計にそう感じてしまうのかも知れません。

確かに文体は著者の他の作品と比べると硬めに思えたし、挿絵もない。
そもそも光文社文庫はいわゆる「ライトノベルレーベル」では当然ない。
しかし、ミステリであると同時にキャラクター小説としての側面が非常に強く、
それがラノベっぽく思わせてしまうのでしょうか。

ミステリ部分、ぶっちゃけどうでもいい。
「少女ノイズ」は彼と彼女が出会い、求め合う、
ただそれだけの恋の物語だ。


と、オビにも記されているこの解説は、
自分もミステリ読みの適性がないせいか、割と共感できました。
解説をきちんと読めば有川氏がミステリ部分を批判しているのではなく、
キャラクタ小説としての完成度の高さを讃えるための表現であることは分かるはず。

そういった側面を特に強く感じたのは最終章「静かな密室」
これまで探偵役の瞑のお供として第三者的位置にいたスカに対し殺人の容疑がかけられる。
それを颯爽と表れた瞑が一瞬でトリックと真犯人を解明し、容疑者だったスカを開放する。
そして最後の最後にデレる

前4章の話に比べて謎解き部分がものすごくあっ気ない。
それは、そうすることによって瞑の尋常じゃない頭の良さ
最後にもう1度印象付けることを狙っていたように思えました。
まさに「何か知らんがすぱーんと謎が解けてかっこよかった、以上おしまい!(解説より)」
状態です。別にミステリ部分を軽視するわけじゃないが、第5章は特にそう感じられました。
こういうキャラクターの創り方はある意味非常にライトノベルらしい気がしました。

ただ、各話の事件の当事者となる人物たちの印象は正直言って薄かった。
これは瞑とスカの物語である以上仕方ないんだけど、
事件の当事者の印象が薄いと事件への印象もあまり残らなくなってしまう。
なのでもう少し事件そのものの印象を強くする何かが欲しかったところ。
ただ、それすらも瞑の天才的な頭脳を印象づけるための布石で、
あえて事件の印象が薄くなるように描いていた気さえしてしまうから不思議。

いっぽうミステリとして見るとどうなのか。
1冊に5つの話が収録されている連作短編でありページ数が限られるため、
本格的かと問われればやや物足りなく感じる人もいそうなのは否めない。
が、普段ミステリをほとんど読まない自分にとっては程よくサプライズな展開もあり、
ミステリとして読んでもそれなりに面白かったように思えます。
一部「そのトリックはねーわ」と思うこともあるにはあったけど、
存外身近なものがトリックの材料になるのはよくあることではないかと。


というわけで(ミステリ適正のない自分の場合)ミステリとしてもそれなりに楽しめ、
そして何より瞑とスカの分かりやすいラブラブな出会いの物語を楽しむ作品でした。
自分は世界の繋がる過去2作を既に読んでいたのでこう言っても説得力ないけど、
この作品単体でも十分に楽しめる作品になっていると思います。
少なくとも話の内容に関連性はないので大丈夫。




以上建前レビュー終了。以下コアなファンにしか分からないだろう本音レビュー





「少女ノイズ」を読んで自分が真っ先に感じたこと。
それは瞑とスカの関係が「レベリオン」の香澄と恭介に重なって見えたことでした。
尋常じゃなく頭の良い女子とごくごく平凡な男子、という構図が連想させたのですかねぇ。
瞑が香澄と何らかの関係があるのは本文中から推測できるし、
明言はしていないものの作者も暗にほぼ認めてるわけで。
やはり天才の血筋は天才が生まれるということなのでしょうか?

あとは皆瀬准教授は今でも目からレーザー出せるのかとか(笑)
少女ノイズの舞台はレベリオンの時代から15年前後は進んでいるはずだけど、
梨夏の持つ雰囲気は相変わらず変わっていませんでしたね。
でも少女ノイズしか読んでない人が皆瀬准教授を見て、
昔は目からレーザーを放つトンデモ少女だったとは想像できないだろうなぁw
「レベリオン」「i.d」そして「少女ノイズ」
この3作すべてに登場している唯一の人物である彼女は見事な名脇役だと思います。
きっと作者も愛着のあるキャラなんだろうなぁ。

少女ノイズを読み終わり、まずそんなことを考えたわけです。
んで、翌日にはレベリオンを読み返したのは言うまでもありません。
改めて読んでみるともっと色々気になることが出てきてね。
香澄はR2ウィルスを死滅させ、レベリオンの治療法を確立することに成功したのかとか、
40ページで瞑が口ずさんでいたのは恭介の「楽園に紅き天使の歌を」なのかとか。
他にもいくつかあったんだけど本当に些細なことなので以下略。

それにしてもレベリオンが完結したのは2002年、もう8年も前なんだね。
初めて読んだ当時はまだ高校生だったんだから、そりゃぁ歳を取ったものだ。
ライトノベルというものにはまり込んだ最初期の作品だっただけに、
きっと自分の中の思い入れが強い作品だったんだろうなぁ。
かれこれ読み返すのも3回目だし、改めて読んでも自然にストーリーが思い出せたくらい。


建前として書いた感想もまったくのウソではないけれど、
それ以上に「少女ノイズ」は「レベリオン」を読み返したくなる1冊でした。
スカと瞑の未来を想像すると同時に、垣間見えた梨夏や香澄のレベリオン完結後の姿、
あるいはその他のレベリオンやi.d.のキャラたちや双葉塾の未来の姿。
そういったものを想像する楽しさも見出してくれた作品でした。
(だからこそ余計にキャラクター小説に見えたのかも知れませんね)
これまで写真についてはほとんど独学で、
ネット上の解説サイトを多少読み漁った程度でした。
1冊くらいはきちんとした本も読んでみようかと思い、
内容もほとんど確認せず買ってみた1冊です。
まぁブックオフだしものは試しといったつもりでした。

そんな感覚で買ったのでずっと積んだままになっていた本書。
先日久々に丸一日ヒマな日が出来て、
パソコンで遊ぶ気分でもなかったので読んでみました。
大半が既に知っている内容だったこともありますが、
非常に読みやすく2時間少々で読破してしまいました。


●各章の感想●

何故上手い写真が撮れないと感じる人が多いのか、について書かれている第1章。「あるある」と思わず頷いてしまうような内容に、ついついページが進みました。
そこではカメラ内部の原理というか、メカニズムに関する部分も触れていて、
それらについては自分も「なるほど」と思える部分はたくさんありました。
また、プロのカメラマンの撮り方など、未知な部分についても書かれていて非常に面白かった。
導入部分にあたるこの章が自分としてはとても面白く感じられました。


しかし、正直に言うとこの本から新たに得た技術的な知識はあまりありませんでした。
この本でもっとも語りたかった内容はおそらく第2章に凝縮されているのでしょう。
再三に渡って提唱されているデジカメを使いこなす5つのポイント、

1.露出(=明るさ)補正 
2.ストロボ(=フラッシュ)
3.ズーム
4.ピント
5.ホワイトバランス


これらを使いこなすことで思い通りに撮れるようになるというのが主題でした。
が、これらは既にある程度は使えてるので、多少物足りなかったのが正直なところ。
1番肝心のこの部分が既に知っている内容なのはちょっと残念でしたね。
この章に関しては最後に蛇足として思ったことをまとめておきます。


自分としては第3章のケースごとの上手な撮り方のほうが参考になる部分は多かったです。
ハッキリと「こうすれば良い!」と書かれてはいないし、
難しいこと、専門的なことも書いていないように思えます。
これだけ聞くと「ダメじゃん」って気もするんだけど、
だからこそにすぐに実践できそうな手軽なアドバイスなんです。
多くの状況に対して軽いアドバイス的に書かれていて良かったです。


4章(写真の魅せ方)と5章(間違いだらけのカメラ選び)に関してはまぁオマケ程度ですね。
間違ったことは書いてないと思うけど、そこまで深く踏み込んだ内容でもないです。
大半は既に分かりきってる内容だったので、自分としては流し読んだだけでした。


●まとめ●
これまで「なんとなく」しか理解していなかった部分を、
カメラの原理も含めて分かりやすく解説していたのは良かったです。
なんとなくそうした方がいいと思っていた部分の理由がこの本で明確になりました。

自分は多少物足りなかったけど、すべてをカメラ任せのオート撮影で行っている人が、
1段ステップアップするためにはちょうど良い1冊だと思います。
書いてあることはカメラの説明書と大差ない気もするけど、
同じ被写体の写真が複数掲載されていたり、専門用語には説明があったりと、
説明書よりは格段に分かりやすく書かれていると思います。

ただ、2006年に発売された本なので情報が多少古いのは否めません。
最新のカメラの機能(顔認識とかシーン自動判別、一眼レフのライブビュー撮影など)
についての言及はありません。恐らくこの本が書かれた当時はまだなかった機能なのでしょう。
そう考えるとデジカメの技術が物凄い速さで若干間違った方向に進んでるのも分かりますね。

最後に蛇足ですが著者の語る第2章の上記5つのポイントについて、
それぞれ思ったことを少しまとめてみます。


●蛇足~本書第2章の5つのポイントに関して思ったこと~●

1.露出補正
露出補正のなんとなくだった部分の理由がよく分かりました。
カメラが露出(=明るさ)を決定するメカニズムの解説が分かりやすかった。
白いものを写すときはプラス、黒いものを写すときはマイナスに補正すると良い。
言われてみれば思い当たる節は多々ありました。
最近だと11日の日記(KissX3を買った話)の写真なんて正にこの例ですよね。
2枚目の写真は綺麗に白と黒が出ていますが、3枚目の写真は白い紙が思いっきりグレーにw
ちなみにあの写真はどちらも露出補正はいじっていません。
カメラが明るさを正しく写していないことのこれ以上にない好例かも?


2.ストロボoff
この本はなにかとストロボを使うなと主張してたけど、ああも否定的にならなくても良いのに。
確かに影が濃く出るとか、背景が写らないとかデメリットが大きいのは事実だとは思う。
オートでストロボが発光する場面で無理に発光させなくても確かに暗くはならないでしょう。
が、そんなことしたらブレ写真を量産するか、
感度が上がりすぎてノイズまみれの写真を量産するかの二択じゃないかと。

感度を多少高めにしてやればフラッシュ使ってもある程度は背景も写るし、
この項目に関しては筆者の主張には正直同意できませんでした。
自分だったら多少背景が潰れるのは目を瞑ってストロボ使います。
状況にもよるけど、明るくてもブレた写真を量産するよりはマシじゃないかと。

三脚を使って、シャッター切れてもすぐ動かないように頼めばいいとはあるけど、
そんな風に撮影できる場面なんてほとんどないような。
そもそもライトなデジカメユーザーは三脚なんて持ってない人がほとんどかと。
仮に三脚があっても風景ならとにかく、人物撮影だとお願いしても微妙に動いちゃうよねぇ。
で、微妙にブレた(この場合は被写体ブレ)写真が出来上がることが多い。
というのが実感です。(3月のドライブで撮影した写真はこんな感じでしたw)


3.ズーム
ズームして撮る方がきれいに撮れるってのはよく聞く話です。
ネット上でそのように書かれているサイトは多かったしね。
しかしそれが何故なのか、という部分は今までよく分かっていませんでした。
その部分についての解説や作例が良かったですね。
特に広角側と望遠側のそれぞれで撮った比較写真がとても分かりやすかったです。
こればっかりは文字での説明は難しいのですが。。。
望遠側(ズームして)で撮る方が見栄えがよくなることが多いのは覚えておいて損はないです。
形がきれいに見えるのと、背景がスッキリするので被写体がより引き立つんだそうです。


4.ピント合わせ
書いてあることは要するにピントを合わせるにはシャッターボタンを「半押し」
なんですが・・・これはさすがに誰でも分かるんじゃないかとw
とは言え携帯のカメラやレンズ付フィルム(=使い捨てカメラ)はただ押すだけだから、
分からない人には分からないのかなぁ・・・?
あと、近くのものを撮るときはマクロに切り替えるってのも、知らない人多そう。
最近の機種は被写体にカメラを近づけると自動でマクロに切り替えてくれるらしいし。
個人的にはそこまでやってくれなくてもいいのに、って思うんだけど(笑)
半押ししてから移動して構図を変えるなんて小技も紹介してたけど、
この部分は既に知っていることがほとんど。
ピントの合う原理については知らなかった部分だったけどね。


5.ホワイトバランス
光の種類に合わせて写真の色合いを変える機能。
個人的には露出補正よりもこのホワイトバランスが先じゃないかと思う。
まずコレを知ってるとだいぶ撮影の幅が広がります。
屋外晴天なら「太陽光」、曇りなら「曇り」、室内なら「蛍光灯」とかにいじるだけだし。
難しいものじゃないだけにこれは出来るようになっていたほうが絶対に良いです。

それと同時に「実際の色」と「カメラが写す色」の違いについても書いてありました。
ここもなんとなくしか分かっていなかった部分。
ただ、最近のカメラはホワイトバランスの精度も良くなってるだろうし、
情報の古さはちょっと感じたかなぁ。
細かい話(自分もよくは知らないけど色温度に関する知識)を持ち出すと別だけど、
それは本書でも一切触れていないし普通に使う分には必要ないと思う。


以上、蛇足終了。毎回毎回なんで本題と蛇足がほぼ同じ文字数なんだと・・・w
恋と革命と音楽の物語「さよならピアノソナタ」

ネット上の評判が良かったことと、
表紙の絵柄&タイトルに惹かれて買っていた本作。
だいぶ前に1巻だけ読んで2巻以降をずっと積んでいましたが、
今月はじめに2巻を読み始めたところすっかりはまってしまいました。
それで先日最後まで読破してしまいました。
1つの作品を続けて一気に読んだのは久しぶりでしたね。
せっかくなので思ったことを少しまとめてみたいと思います。





<以下は1巻だけでなく作品全体に関する内容です。未読の場合はご注意を>





内容はタイトルからは想像もつかなかったけど高校生ロックバンド部のお話。
主人公ナオとヒロイン真冬(表紙の人)の恋愛模様が、
彼らが組むことになったバンドの活動を通して描かれていく、そんなお話。


ダラダラと無駄に長く話を続けず本編4巻+後日談1巻の5冊で、
しっかり話がまとまっているのが良かったですね。
起承転結がそれぞれ1冊ずつで描かれており、読む側としては非常に分かりやすい。
加えて1冊ごとに春夏秋冬と季節が巡り、ほぼ1年間の出来事を描いています。
1巻が出会いの春、2巻がバンド活動が本格化する夏休みの合宿、
3巻が合唱コンクール・体育祭・文化祭と新キャラ登場な秋、
そして4巻が物語が完結へ向かう冬、といった具合に。
季節感と起承転結が1冊ごとにリンクしているシンプルな構成なんですね。
3巻だけは正直詰め込みすぎな感じがありましたが、
それを除けばとても読みやすく良い構成だったように思えます。


また、作品全体を通して音楽の専門用語などがてんこ盛りです。
専門用語だけでなく、実在の楽曲や作曲家・ミュージシャンの名前もたくさん出てきます。
そのうちの8割以上は知らない自分としては最初はややとっつきにくさを感じたものの、
文章からそれぞれの音楽がどのようなものなのかがなんとなくでも感じられて、
慣れてくると文字による音楽の表現にどっぷり漬かってしまっていました。

山のように出てくる音楽用語を苦労せず受け入れることができるのは、
文章の上手さもあるのだろうけど、分かりやすい構成があってこそな気がしました。
ちなみにこれは深読みしすぎかも知れないけど、
バンドが4人組なのも少なからずそこを意識していた気がします。
(3巻から出てきたユーリには大変申し訳ないですがw)


登場人物を見るとバンドメンバーがみんな主人公のことが好きで、
当の本人はそれをまったく自覚していない超鈍感君で、なおかつヘタレ。
という現実じゃまず有り得ないけどライトノベるじゃよくあるパターン。
ただ、3人それぞれに「好き」の在り方の違いのようなものが見えて、
そこまでこの「よくあるパターン」は気になりませんでした。
というかコレを気にしてたらライトノベルなんて読めないし。


3巻までは普通の面白い作品として読んでいたけど、4巻の後半は不覚にも泣けました。
さすがに最終巻のネタバレなので自重して反転(白文字)にしておきます↓
我ながら痛い文章なのでそういった意味でも要注意。

クリスマスのライブの出番直前のシーン(269ページ)の
数行が一番グッときて、涙腺崩壊しましたね。
「行っても行かなくても後悔するに決まってる」という状況であの選択。
「真冬の戻ってくる場所をきちんと用意しておく」というナオの決意。
そして真冬が長期間日本を離れることにした本当の理由、
それはもう一度ギターを弾くためだということを2人に伝える。
そして次のページのステージに向かう2人の後姿という挿絵。

作り話だとは当然分かっているんだけど、不思議と入り込んでしまいました。
最後までずっと言葉足らずで優柔不断のヘタレ野郎だったナオが、
最後の最後に見せた男らしさだったように思えます。

ここから先はもう翌朝早いのに夜中一気に読み通してしまいました。
その後のライヴ本番、空港での別れ、卒業式。
どうしようもないくらい切なくてどうしたらいいのでしょう??

そして最後の最後の再会。
お互い分かっているのに、一歩踏み出せなくてずっと言えずにいた「好き」という言葉。
この一言がずっと出てこなかったのは演出と分かっていてももどかしかったので、
最後の最後で「やっと言ったか・・・!」と思わず頷いてしまいました。
そしてまた涙腺崩壊するわけです

あと、その最終章(=18章)のタイトルは1巻の第1章、そして第18章と同じもの。
ナオと真冬の出会いの場所、ナオが恋に落ちた場所、そして再会の場所。
そんな場所に付けられた「世界の果ての百貨店」というタイトル。
1巻を読んだ時にもありきたりだけどセンスを感じる付け方だと感じたけど、
それを最後の最後に三度持ってくるとは。しかも1巻の2回目と同じ18章というね。
これは憎い演出。
それと、再会の日が出会った日からちょうど2年になるのもまた、たまりません。



以上、ネタバレを自重しない自己満独白終了。


とまぁ色々と書きなぐりましたが、要するに何を言いたいかというと、



とにかく真冬がかわいい



ってことです。おっといけないつい本音が。
今まであーだこーだ書き並べてたこと全部否定しかねない結論じゃねーかwwww


でもまぁナオと出会って、それまでの生活では考えられないようなバンド活動
に合宿や海水浴、ランニングにお菓子作りに微量のお酒など
などの経験を通して成長し、ピアノを取り戻していく真冬の姿を追うのは、
非常にもどかしく小説的で面白かったです。
最初は「なんだこのワガママ娘wwww」って感じだったんだけどね。
その裏にある健気さや分かりやすい恋心に気づくと180度読み方が変わります。
もちろん神楽坂先輩や千晶、ユーリの存在も大きいのは事実ですが、
やはりこの作品は真冬がいないと成り立たないのでしょうね。
それだけに、ナオのヘタレ鈍感っぷりは余計にイライラしてしまうわけです。

昔はいわゆる「ツンデレ」なんてウザいだけだったのになぁ。
最近特にツンデレに対しては弱くなってる気がしてなりません。


と、そんな事を感じながら読んだ本シリーズでした。

○まとめ○
・1冊ごとに起承転結や季節感がハッキリしていて構成が分かりやすい
・山のように出る音楽用語や楽曲、ミュージシャンなどは読むのに多少慣れが必要?
・4巻の後半で涙腺崩壊
・ヒロイン真冬がとにかくかわいい
・主人公ナオのヘタレ鈍感っぷりにはイライラw

昨晩ようやく読み終わりました。
まぁ短編だし気楽に読めるか。
などと思っていましたがそこは文学少女。
3時間くらいで読めるかと思っていたけど、
気づけば5時間以上もかかってしまいました。

今回もこれまで通り読むのに気合が必要ですね。
残酷で、それでいて清々しい読後感のある1冊に仕上がっています。


そんな挿話集3。主役は表紙にもなった竹田さんともう1人、鞠谷敬一。
今回はこれまで以上に書き下ろしが多く実に半分以上は書き下ろし。
それだけに本編に劣らない読み応えがありました。
竹田さん以外はこれまで脇の脇役だった人たちが中心の物語。
あまりに今回の2本柱である竹田さんと、鞠谷先生のそれぞれのお話の存在感が強烈で、
「今日のおやつ」などの心葉と遠子のお話が浮いているような気さえしてしまいました。

また、前回の挿話集2と同じように本編の裏側の出来事を、
心葉以外の人物の視点で補完するような内容も多々あり。
そういう意味では挿話集2のような外伝に近い短編集とも言えそうです。
本編を思わず読み返したくなるような描写が多々あり、
この記事を書く間にも色々と読みふけってしまい・・・大変でした。(主に天使的な意味で)

本全体としての感想はこんなところ。自分で言うのはアレだけど以下は完全に蛇足ですw
せっかく書き下ろしも多いので今回は全部の話を軽く語ってみます。
<以下ネタバレを自重しません。 未読の人はご注意を>








「文学少女」と炎を上げる牛魔王
挿話集1の「恋する牛魔王」の続編のようなもの。
かつてFBOnlineの「秘密の本棚」にも掲載されていました。
内容だけ見れば切ない片思いの話なハズなのに、
牛園君のキャラだとどうしてもギャグとしか見れなくなってしまいますw

ハッキリ言おう。1冊の本として見るなら確実にこの話は浮いている。
後半の鞠谷先生や竹田さんの話の重厚さから考えると、あまりに軽い。
そんなこの話を最初に持ってきたのは、全体を重くしすぎないよう、
バランスを取るためという意図があったように思えます。
そういう意味では、浮いているけれど必要な話なのでしょう。


「文学少女」の今日のおやつ ~好色五人女~・~谷間~
おやつは2つまとめて。今回は「こんな遠子先輩を見た」で始まる2編。
思わずクスっと笑ってしまうオチの2編が選ばれており、箸休めにはちょうど良い。
牛魔王とおやつとで、前半に軽めの話を集めていたように思えます。
これまでの挿話集と比べるとやや浮いているような気は正直しましたが、
終始あんなに重々しい話(後述)だけでも困りますよね。


「文学少女」と恋しはじめの女給
ここから書き下ろし。まずは姫倉家の別荘のメイド、魚谷さんのお話。
本編「水妖」の前半部分が、魚谷さんの視点で語られています。
心葉にきつく当たっていた裏では、こんなことを考えていたんですねぇ。
遠子と心葉を ゆりと昭良に見立てていたんですね。
現代の人を過去の人物と重ねてしまうのは、ある意味中学生らしい幼さからでしょうか。
見習いの「傷心」といいこの話といい魚谷さん可愛すぎですw
「水妖」と照らし合わせて読むと色々と面白そうです。
あと、散々言われているけど、93ページの最後の一行にはやられました。
秘密よ。大好きなの」は反則でしょう。


傷ついた紳士と穢れなき歌姫

ここからがこの本の本番。本編4冊目にあたる「天使」のスポットキャラ、
音楽の鞠谷先生とななせの親友である夕歌の出会いの物語。
時期的には心葉が1年生だった頃のお話ですね。
この話自体は別にそこまで重くなく、むしろ甘いのろけ話なのですが・・・
これが本編天使に続く序章だと思ってしまうと、もう切なくて切なくて。
思わず今日になって天使をぱらぱらとめくってしまいました。

大変良いお話ではあったのですが1つだけどうにも違和感が。
それはななせに好みの男のタイプを語る夕歌が「萌え」を連呼してたこと。
まぁ文学少女だってラノベだしこういう表現を用いることもあるんだろうけど、
なんか違うよなぁと感じてしまいました。そこだけはちょっと残念。

ちなみに中学時代のななせが見れる貴重なお話でもありますw
ななせの出番は今回はここだけ。まぁ前回は主役級だったし仕方ないか。


卵の歌姫と彷徨える天使
この挿話集でもっとも重い話と言って良いでしょう。
タイトルを見ただけでは「天使」本編の裏側を夕歌視点で語るものと思っていました。
それだけに本編以降の未来の話であったことには驚きましたね。
1つ前ののろけ話とのギャップがもうね・・・
詳しい時期は不明だけど、少なくとも心葉が作家活動を再開してからかなり経過しています。
もしかしたら心葉と遠子先輩は既に再会している頃かも知れません。
 
鞠谷先生から見たらあまりにも夕歌に重なりすぎるオペラ歌手を目指す高校生新田さん。
彼女から見ると鞠谷先生は歌を目指すきっかけを作った人物だったことが後に判明。
そんな2人が本編「天使」で臣君と夕歌がしていたのと見事なまでに同じやり取りをします。
しかも夕歌が臣君を「天使」と呼んでいたように、新田さんも鞠谷を「天使」と呼ぶ。
この微妙に役割・立ち位置を変えた話の重ね方、見事としか言えません。

新田さんに見える夕歌の面影、そして彼女に真実を知られてしまった鞠谷の苦悩、
触れてはいけない過去に、いけないと分かっていながらも触れてしまった新田さん。
そのせいでこれまでの関係を続けられなくなってしまった悲しさ、そしてそんな彼女の未来。
過去の出来事に重ねるという演出は文学少女ではお馴染みだし、
思いきり意図された構成なのはよく分かるけど、それでもこの一話にはやられました。
登場人物の様々な思いや葛藤が手に取るように伝わってくるし、
それでいて最後に見えた希望が、その先を色々と想像させてくれます。
そういう意味でも非常に文学少女らしい傑作だと思います。

それと、見習いの傷心エピローグでも少し触れられた鞠谷と夕歌を題材にした小説が、
井上ミウの第3作「天使が堕ちる音」であることも正式に判明。
その題材が自分であることを隠しながら話を聞くとかももうね・・・。
ちなみにこの「天使が堕ちる音」をななせが読んだら何を感じるのだろうか、
ということが自分としては1番気になりました。


遠子おばタンの秘密
流人と麻貴の子、悠人が生まれたちょっと後の話。
時系列的には見習いシリーズと同じ頃でしょうか。
前が余りに重すぎたので、こういう日常的なやり取りは休憩に最適。
とりあえず麻貴先輩は相変わらずとんでもない性格をしていました。
とても高校出たばかりの未熟な母親とは思えない貫禄ですww


迷える仔鹿と嘘つき人形
そしてここからは竹田さんのターン!中学校の先生になった竹田さんの奮闘記?です。
この一編もかつてFB Onlineの「秘密の本棚」に掲載されていました。

以前読んだ時も今回改めて読んでも、この話は「文学少女らしくない」と感じました。
その理由として1つ思い当たったのは、「この話だけはどこにも心葉も遠子も出ていない」
という点でしょうか。分かる範囲で調べてみたけど、恐らくこれに該当するのはこの話だけ。
この事実が、今月のFB Onlineの原作者インタビューで語られていた
「千愛は裏主人公というイメージ」の証明のように思えます。


頑張る仔鹿と臆病な旅行者
1つ前の話の続き。こちらは本挿話集での書き下ろし。
同じように心葉と遠子はまったく出てきません。
これは、竹田さんの先生シリーズの主人公となる仔鹿ちゃんの戦いの記録です。
1つ前の話は先生になった竹田さんの活躍を見る物語という側面が強かったのに対し、
このお話の主役は完全に仔鹿ちゃんに移っています。

それとこの話は思いっきり本編「道化」を意識して作られてますよね。
最初に読んだ時は気づかなかったけど、何回か読み直すとよく分かります。
微妙に役回り(立ち位置や行動)は違うけど竹田さんが遠子先輩、仔鹿ちゃんが心葉、
そして堀井さんが「道化」の頃の竹田さんにそれぞれ重なります。
特に終盤の陸橋での飛び降り説得シーンなんて、まんま「道化」の屋上シーンだよね。
仮面が剥がれて「もう生きていけない」と絶望する様子なんて、
まさに道化の頃の竹田さんじゃないですかと。
どうして最初に読んだ時に気づかなかったかなぁ(汗)

堀井さんの苦悩はかつて、というか今も感じている竹田さんの苦悩とある種同じですよね。
果たして彼女がそれに気づける日が来るのでしょうか。
「演じている」とか「仮面を被っている」なんていう感情は、
若かりし頃には程度の差はあれど誰しもが一度は感じることではないでしょうか。

また、この話が「道化」をなぞっただけで終わらない決定的な違いは流人の存在。
彼が色々と暗躍してくれるおかげで、この話にはまた違った味わいが生まれるというもの。
流人がいるからこそ、今作も竹田さんの成長物語でもあり続けた気がします。
それがよりハッキリと分かるのが次の「道化のつぶやき」です。


道化のつぶやき
「頑張る仔鹿と臆病な旅行者」を竹田さん視点で描いたものです。
仔鹿ちゃん視線だと分からない竹田さんの心の中の葛藤がこちらでは見え、
2人にそれぞれ働きかける流人の動きや思惑が見えてそれがまた面白い。
頑張る仔鹿~ではイマイチ見えなかった流人の行動の意図も、
全て意味があったということがここでようやく分かるように作られていますね。

仔鹿ちゃんの視線のだと何気ない一コマだった部分が、
実は物凄い意味を持っているといった二面性のある演出が実に憎い。
もちろん逆もまた然りで竹田さん視点だと分からない部分は、
既に頑張る仔鹿~で語られているわけで。
この演出の仕方はが竹田さんの持つ素と仮面のニ面性とも重なります。
これはまさに2つで1つになるよう作られたお話ですね。

「普通のことを普通に感じられない」ということもまた、
程度の差はあれど誰しも感じたことはあるのではないでしょうか。
そんな「無の感情」との付き合い方を少しずつでも学んでいる様子が非常によかったです。
第1巻にあたる本編「道化」からの彼女の成長が見れて、嬉しくなります。

そして最後のページの挿絵には、今回もしっかりやられました。
本編や見習いシリーズは最後の1ページで次巻への強烈な牽引力がありますが、
挿話集の最後は毎回ステキなイラストで締めてくれます。
今回も最後の1ページで清々しく終わらせてくれて、
重たかったけれど不思議と爽やかな読後感を与えてくれました。
2人の視点で物語を読めたからこそ、あのイラストも映えるというものでしょう。


あとがき
太字で文字も大きくしてまで書かれている野村先生の切実な主張に吹いた。
あの主張は主に映画から文学少女に入った人へ向けられたものでしょうね。
「とりあえず1番新しいのから読むか」と挿話集3を手にする人もいるだろうし、
映画の題材が巡礼者だからそれしか読まない人とかけっこう出てきそうだしね。
でもやっぱり文学少女は刊行順に読むのが1番だと思うんです。
見習いシリーズと挿話集はそうとも限らないけど、少なくとも本編はね・・・





○必要のないまとめ○
あれこれ書いたけど、要するに今回も楽しめましたってことですよ。
後は全編語る前に全て書きつくしてますw


○オマケ○
今月のFB Onlineの作者インタビューによると、ななせが臣君とくっつくのは明白でしたね。
それ自体は別に仕方ない気はするし「くっつけるな!」とは言えないけど、正直フクザツです。
「心葉が好きで好きで仕方ないななせ」が好きな自分としてはあぁもバッサリ言われちゃうとねぇ。
次回の挿話集4ではななせが臣君に会いに行く話が描かれるそうですが、
個人的にはそこはぼかしたままにして欲しかったです。。。
まぁ、出れば出たで喜んで読むけどね!!

次は見習いシリーズ完結編の「卒業」が順当にいけば8月末。
もちろんこれもとにかく楽しみですね♪


文学少女な春

2010年4月30日 読書
文学少女な春
今日は文学少女の新刊、「恋する挿話集3」の発売日。
ということでお昼の休憩中に本屋へ一直線!
写真はその戦利品。正に文学少女一色ですw
我ながらどこまで大好きなんだと。

今回のお買い物では
1.本日発売の最新原作小説「恋する挿話集3」(中央下)
2.コミカライズ作品「美味しい噺」の第2巻。(右上)
3.イラスト集の「Fantasy Art Book」(左上)
の以上3点をまとめてお買い上げ!

イラスト集は買うかどうか迷ってたんだけど、
実物見たら即決でレジに持って行ってましたw
1000円というお手頃価格は恐ろしいですね。
しっかり販売戦略にはまってる感じは否めないけど、まぁ仕方あるまい。

いつもの通り文学少女は環境と体調を整えて、部屋に引きこもって一気読みが信条。
今回もさっそく読みたかったんだけど、読みだしたらいつ寝れるか分かりません。
今日は帰宅が遅かったうえ帰宅後外食に拉致られた。それに明日も昼前から仕事。
ここまでの悪条件ではさすがに断念せざるを得ないです(泣)
今日のところはイラスト集を愛でるだけで我慢して、明日の夜に一気に読むことにします。
GW真っ只中だし正直わからんけど、明日は今日よりは多少早く帰れるハズだしね。

そういえば映画の公開日も明日ですね。
当初は「池袋まで行くのはちょっと・・・」と観る気はなかったんだけど、
自分の生活範囲でも上映する映画館があるとなると心が揺らぎます。
この規模の映画ではさすがに「後日テレビで」を期待するわけにもいかないからなぁ。
とか言ってる間に上映が終わっちゃってるいつものパターンになりそうですが、
もし気が向いたり、渋谷や川崎に行く用事でもあればついでに観ることはあるかも・・・?
まぁ、実際に観にいった人の感想などを少し集めてからですかねぇ。。。


それはともかく、明日は部屋に引きこもるぞー!
予約までして長らく待ち続けていたDVD付「文学少女」の最新刊。
購入翌日には通常版も買って2冊も揃ってしまいました。
そして先月30日に1日部屋へ引きこもり読破。
本当は2010年1発目の記事にしたかったんだけど、
記事にするのはこんなに遅くなってしまったというorz



ということでさっそく?感想でも。
重大なネタバレは反転(白文字)にしておきますが、
前作「初戀」(変換が面倒なので以下では全て「初恋」と表記)のネタバレは隠しません。
これから読む未読者がもしいたらご注意を。



今回も前作と同じ短編→長編→オマケの3本立て。
前作「初恋」のラスト一言から夏休み中の出来事を描いた「傷心。」と、
夏休みが明けて文化祭へ向けてのあれこれを描いた「怪物。」の2本。
(と、最後に「ある日の千愛」がちょこっと収録されています)


「傷心。」
本編6冊目にあたる「水妖」の舞台となった姫倉の別荘が舞台の短編。
同じ夏休みの出来事だということもあり、
原作6冊目の「水妖」を意識した内容になっているように思えます。
基本的には軽い感じの話だけど、
所々に1年前の「水妖」を思い出させるやり取りがあり楽しかったですね。
「水妖」を少し読み返したくなります。
一部に熱狂的?なファンのいる魚谷さんの再登場は
ちょっとしたファンサービスなんだろうと思います。

内容は「初恋」ラストの「大嫌い」から菜乃に対し心を閉ざした心葉が、
再び菜乃と和解?するまでの話。
心葉の言動の真意も、「初恋」で描かれていた思いを裏付けるものとなったわけだし。
読者も周りの登場人物も感じていた微妙な菜乃と遠子の近しい部分、
それを心葉も感じていたわけですね。
ここに関しては概ね予想通り、どんでん返しもなく無難な展開でした。

それでも、これまで遠子の幻影を追い遠子の代わりにのみなろうとしていた菜乃が、
自分らしい文学少女を目指すようになる決意の描写は、
彼女の成長のカタチが見えて良かったのではないかと。
そして、その決意をより強い印象にするのがやはり挿絵
53ページの「泣きながら本をやぶいて食べる菜乃」は素晴らしいとしか言えませんね。
今回もこれまで同様に挿絵を入れるべき場所を非常によく分かっていると思えました。

ただ、初恋ラストの「大嫌い」はそれなりに衝撃の大きかったものだったのに、
やけにあっさり終わらせたなぁとは正直ちょっと思いました。
関係が凍結したままでは話が進まないだろうし仕方ないとは思うけどね。
菜乃が過ごしてただろう苦悩の日々の印象が薄いまま終わってしまった感じは否めません。

ちなみに題材となった作品は「シュトルムの『みずうみ』
まったく知らなかった作品ですが、それらしい雰囲気を演出していたように感じました。
とはいえ今回は事件が起こるわけでもモチーフとなる想いが存在するわけでもなく、
ただ単に合宿中に菜乃が読む本として扱われただけで、関連性は他の作品と比べると弱そう。
それが良い悪いは別として、ね。実際に読んだことがあるならまた感じ方も違うのでしょう。


「怪物。」
題材は「メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』
本を読んだことはないけれど学生時代に文学の講義で扱っていたので、
内容はだいたい知っていました。その分だけ入りやすかったかも知れません。
「人が怪物に変わるとき」というものを、作中の出来事と上手くリンクしていたと思います。

夏休みが終わり、心葉が素でいれる関係を一応は取り戻した菜乃。
文化祭に出るべく悪戦苦闘し、紆余曲折を経て合唱部の助っ人として合唱劇をすることに。
文化祭で劇となれば、思い出すのはやはり本編3冊目の「愚者」です。
そこに「歌」という要素が入ることで本編4冊目の「天使」も思い浮かびます。
全編を通してこの2冊を意識していたように思えます。


ただ、時系列で1年前のこの2冊をなぞるだけでなく、こちらには新しい要素も多々あり。
遠子先輩がいないのはもちろんですが、1年前と大きく異なる点が2つ。
1つは「"文学少女"の雑誌連載が始まること」で、もう1つは「美羽の存在」
本編の愚者や天使の頃は、読者的にはまだ美羽の生死は明らかになっていなかったが、
今回はもちろん生存していることが明らかになっているし、1回だけ登場もする。
そのシーンは本筋とはまったく関係ないし最初は不要だと思っていたけど、
読み返してみるとそのシーンで今の心葉と美羽の関係を描くと同時に、
「1年前とは違う」ということを強く印象付けていたのではないかと思います。
あと、菜乃と美羽のやり取りには思わず爆笑してしまいましたw


さて、本筋とは関係ない部分はそれくらいにして本編に。
今回の事件は1年前の合唱部でのいざこざが再び訪れる、といったもの。
この類の話って思春期の高校生にはありがちな話だなぁというのをふと思いました。
もちろん、小説的にかなり大げさに描いているとは思うけどね。
よく考えてみると今回に限らず、文学少女の物語は全巻当てはまる気がします。

そんな事件で当時にこじれてしまった2人の仲を、菜乃と心葉が修復していく物語。
この事件を通じて初恋時点ではただのウザキャラだった菜乃が
様々な人の裏に秘めた思いを知ることになり、ウザいだけじゃなくなったように思いますw
中盤までのドロドロとした感じをラストの舞台で見事に浄化していく様子は、
まさに文学少女ならではの爽やかな読後感でした。

でも、個人的には「お祭りは準備している間が1番楽しいの法則」じゃないけど、
舞台が始まってからよりも、そこに至るまでに奮闘する心葉や菜乃の描写の方が、
読んでいて楽しいように思えました。もちろん舞台のシーンも良かったけどね。
「初恋」のときよりも内面にまで踏み込んだ心葉の葛藤や苦悩も描かれていたのが好感触。

菜乃だけでなく、作家として狭き門を歩き続けている心葉や、
あとがきにもあるようにななせの成長も描いているのが
この「見習い」シリーズの面白さなのでしょう。


そして今回も太字の正体にもやられた。
毎回思っていることだけど、今回は過去最大に驚かされたかも知れない。
だってまさか太字の主が臣君再登場だなんてねぇ。
最初に読んだ時は「まさかの超展開www」とか愚かにも思ってしまったけど、
改めて太字だけ読み直してみると随所にヒントがあったんだよね。

ということでここだけはネタバレ避けて書くのは不可能なので白文字反転にて。
未読者は読まないことを激しく推奨。


普通に考えればまず太字の主は烏丸さんなり仙道さんなり、
話の中核となる2人のどちらかだと考えるでしょう。
もちろんこの「普通」が通用しないのが文学少女なので、色々想像して読んでたけどね。

自分が想像していたのは、当時行っていた交換ノートのように、
「2人の独白が交互に流れていた」というものでした。
太字の正体が複数いるというケースは今までになかったし、
それなりに驚きがあるのではないかなどと考えていたのですが・・・

しかしそんな予想は見事に外れてしまっていたのでした。
エピローグ一行目で太字の主が臣君であることが明らかになった時の驚きは過去最大だったかも。

太字文中の「彼女」の正体にしたって仙道さんでも烏丸さんでもなく、
ななせであることは改めて読むと誰の目にも明らかだったわけで。
今回もまんまとしてやられてしまいまったわけです、ハイ。



以上ネタバレ終わり。


そんなこんなで全てが無事に解決してめでたしめでたし、
などと思っていたら最後にまた衝撃の一言が。
毎回毎回見事なまでに最後の1行で次への期待を膨らませてくれますね。

ただ、初恋の「君が大嫌いだ」をかなりあっさりと解決されてしまっただけに、
今回も拍子抜けなのかなぁ、などと勘ぐってしまいます。
とは言え、次が楽しみなのは変わらないけどね!



「ある日の千愛」
流人くんと竹田さんのラブラブのろけ話です まる
だけでは終わらずに遠子先輩のいなくなった櫻井家の日常を描いたお話。
微妙に出てくる叶子さんがちょっと丸くなったのが見て取れますw
初恋の「ある日の美羽」が美羽から見た菜乃の話だったように、
竹田さん(と流人)から見た菜乃の印象が読み取れます。

完結編である"卒業"の「ある日の○○」が誰なのかが今から気になります。
そもそも次もあるのかどうかすら分からないけど、
「ある日の遠子」を期待しちゃうのは自分だけではないハズ。

特典DVD
挿話集1に収録されている「今日のおやつ ~はつ恋~」をアニメにしたものと、
映画の予告編が収録されていました。
予告編のほうは映画公式サイト【http://www.bungakushoujo.jp/
で観れるものの高画質版なので特に言うことはなし。

本編は今日のおやつの方でしょう。ちょうど本編「道化」よりも前の話なので、
映画に対してもプロローグ的な役割を持てるこの話が選ばれたのでしょう。
ちょうど予告編で遠子先輩が食べていたのも「はつ恋」だしね。

率直な印象としては思っていたよりも良かったですね。
遠子先輩の薀蓄を映像化するとあんな感じになるんですね。
原作よりもコミカルな感じが強く出ているとは思うけど、
あれはあれで普通にありだと思いました。

絵も声も最初は違和感ありまくりだったけど、
実際映像になってみると意外と調和していたなぁという印象です。
さすがに原作の挿絵通りの雰囲気を出すのは無理そうだけど、
当初思っていたほどは違和感なく受け入れることができました。

さすがに劇場まで1人で足を運ぶ勇気はないけど、
映画を観てみたいと思わせる内容だったとは思いますねー。


今後の展望
これまで通りのペースだとすれば4月末に「挿話集3」、
8月末に見習いシリーズ完結編となる「卒業」が出るのでしょう。
今回もラスト1ページが衝撃的だっただけに非常に楽しみです♪
「初恋」が『道化』 「傷心」は『水妖』や『愚者』・『天使』を意識して作られていただろうし、
完結編となる「卒業」では『作家』や『巡礼者』を思い起こすような作品でしょうね。
また8ヶ月待たないといけないとか分かっていても長すぎる・・・
結局我慢できなくて
通常版も買ってしまった・・・!

中身はまったく同じなのにね。
でも、表紙違いは正直ズルいと思うんだ。
これは買わないわけにはいかなかった・・・!
それに、特装版ので読むのは何故か躊躇う気持ちもあって。
本は読まなきゃ本が可哀相よと怒られそうですが
そんなことを考えていたら気づくと通常版を持ってカウンターに出していたというw

そんなわけで両方とも買ってしまったわけですが・・・まだ中身は読んではいません。
「"文学少女"は一気読み」これは自分の中では鉄の掟。
そう考えると引きこもりたい日に自由に引きこもれた学生時代は良かったw
読みたいのに読めないこのもどかしさ、どうにかならないものだろうか。。。

そういえばDVD特装版ですが、普通に各地の本屋さんに並んでますね。
自分が予約した最寄の本屋さんには通常版しかなかったので、
予約したのは間違いではなかったんだろうけどね。
でも、ちょっと自転車で走ったところにある大きな本屋さんでは
通常版と一緒に普通に平積みされてました。
予約しなくても別に買えたじゃないか・・・!

あぁ、あと3日が遠い・・・
-シリーズ概要-
短編集の形式で、真っ白な死神「モモ」が様々な人と関わり、時に死神として命を奪い、時に奪うべき命を助け、各話の主人公となる人物達の生き方に影響を与えながら世界を巡る、そんなお話。
また、そんな短編たちとは別に、変わり者とされる真っ白な死神として生まれた理由や、うり二つの真っ黒な死神「アン」との出会いやり取りを進めていく話が各巻末にあり。
この"それぞれの話の主人公の物語"と"モモ自身の物語"の2本柱で成り立っている。現在既刊12冊、まだ続くようです。過去にはコミカライズのほか、ドラマCDやテレビアニメ、果ては実写ドラマ化までされた模様。
詳細はwikipediaへ。
URL:【http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%AB%E3%81%8C%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%80%82

1冊目を読んだのはまだ高校生だった頃でしょうか。
それからブックオフで見つけては買うのを繰り返し、
先日ようやく最新刊であるこの12巻まで追いつけました。
しかし実はこの作品、別につまらないわけではないけど、
そこまで印象に残るものではありませんでした。

恐らく、毎回メインとなるキャラクターが違うため、
各キャラクターへの印象が薄かったのが1番の原因かなぁと思われます。
ブックオフで買ってた関係上連続して読むことがほとんどなかったしね。
あとは、「死」を題材としている話の割にはその描写が余りに軽すぎるからか、
低年齢向けな作品だという印象も強かったからですかね。
(実際、今の中高生くらいの年代がメインターゲットのようだし)
だから正直なところ、切るに切れなくて惰性で買い続けていた節がありました。

が、

そんな評価はこの12巻でようやく改めることになりそうです。
先日の建学祭へ行くときにこの11巻と12巻を読んだのですが、
今回のお話は今までの印象を変えさせる面白い展開でした。

そう感じたのはこれまでそれぞれが独立していた
「各話のメインキャラクターの視点で語られる短編集部分」と
「モモの存在意義、アンとのやり取りに関わる巻末部分」
の2つが初めて交差したのがこの12巻だったからのように思えます。
加えて、これまでの短編部分のキャラクターが再登場し、話のメインに持ってきていたため、
これまでの話が一気に繋がった印象を受けたからでしょうか。
軽く過去の11冊をめくってみたところ、
全ての巻から何かしらの形で12巻の話に関連がありました。
これまでも過去の話から再登場していた人物もいたのですが、
今回ほどそんな再登場人物をメインに据えた話はあまりなかったように思えます。
そんな構成だったこともあってか、今回初めて前の巻を読み直してみたいと感じました。

今回初めてwikipediaのこの作品のページを読んでみたけど、
意外と色んなキャラクターが複数の話に絡んでるんですね。
そこまで意識して読んでなかったからか、気づいていない部分も多かったです。
1冊1冊を読む間の空白期間がずっと長かったからか、当然忘れてる部分も多いしね。
1巻なんて読んだのは5年以上も昔だし、10巻ですらいつ読んだのか覚えてないくらいだしw
気が向いたら、改めて1巻から連続で読み直してみようかな。
ずっとななせのターン!


を当然期待していたのですが実際には、


ずっと森ちゃんのターン!


でした。というわけで「文学少女」の短編集第2弾です。
もちろん発売日に購入し、その翌日には読み終わってました。
読み終わった率直な感想としては、冒頭に書いた通り。
あと、挿話集1が本編とは直接的な関連性はない話が多かったのに対し、
こちらは割と本編ともリンクしていましたね。
本編と同じ時系列の出来事を、ななせや森ちゃんの視点から見る話を中心に、
合間に今日のおやつの「心葉は○○疑惑」シリーズが入るといった構成。
また、挿話集1はすべて1話完結の話だったのに対し、
こちらの森ちゃん&反町君の話は続きものになっています。
そのせいか、外伝である"見習い"よりもある意味外伝らしいと感じました。

かつてWEB連載「秘密の本棚」において2編に渡り
ななせの親友である森ちゃんの色恋沙汰が語られていましたが、
今作の3つの書き下ろしのうち2つはその続き。
「キスを待てない詩人」の続きで、時系列的には本編「作家」にあたる部分。
心葉やななせがテンパっていた裏で動く森ちゃん&彼氏の反町君視点での物語です。
心葉視点で語られる本編では見えない部分の、周辺キャラの内情を補完しています。
「裏ではこういうことがあったのか」と考えながら読んでいました。

ななせ関係のエピソードはもちろん良かったんだけど、
個人的には、心葉のいないところでの遠子先輩を第三者の視点で描いていたのと、
森ちゃんの「ななせをバカにするな!」の前後を読めたのが良かったです。
本当に、改めて本編を読み直したくなる1冊でした。

ただね、書けば書くほどななせが不憫になるんですが
結局物語の本筋は変わらないわけで、色々補完すればするほど切なさが増します。
本当に彼女を幸せにする気はあるんでしょうか野村先生は(笑)

あとさ、残り1つの書き下ろし「ななせの恋日記特別編」をなんで巻末に持ってきたんだよ・・・
せっかくその前の「祝福する詩人」が本編作家の完結と同じ時期になってるんだから、
そこで終わってた方が後味的には良かった気がするんだよなぁ。

だってさ、思いっきりフラレて1番切ないシーンを見せられた後にさ、
思いっきり甘々なデート場面とか余計に切ないじゃないですか!
いやまぁ、それが狙いだったのかも知れないけどね。
でも「祝福する詩人」の余韻に浸ったまま終わった方が良かった気がするなぁ。
個人的には、「ななせの恋日記 特別編」は恋日記其ノ三の直後でよかったと思うな。


あと、いつも素晴らしいのですが今回も挿絵がいろんな意味で秀逸でした。
主に143ページ的な意味ですが、89ページも捨てがたい(笑)
まぁそんな半分冗談はさて置き、
イラストを入れるページの選別が特に今回は良かったと思います。
上に挙げた2つのようなおいしい?イラストがありつつも、
269ページや345ページみたいな雰囲気のあるイラストもあるし。
あと、373ページのイラストもたまらないんですが、
作家(下)の297ページのイラストと重なって見えちゃって切ないというw
要するに全部いいんじゃねーかよ!

そんな風に感じた「文学少女」の最新刊です。
毎回毎回、本当に良い話を描いてくれるなぁと思います。
いつか完全に終わる日が来るのは分かってるけど、まだまだ色んな話を読みたいなぁ。
次は年末、見習いシリーズの続きになるようですね。

以下、収録作品一覧とその後にネタバレありの余談です。(反転させてあります)

○収録内容○

「今日のおやつ」より
・ロリータ  ・飛ぶ教室  ・銀の匙
・ななせの恋日記 其ノ一~其ノ三
計6編

「秘密の本棚」より
・森ちゃんのつぶやき
・愛を叫ぶ詩人(ハイネ)
・キスを待てない詩人(バイロン)
計3(2.5?)編

書き下ろし
・"文学少女"と汚れちつまつた詩人(チューヤ)
・"文学少女"と祝福する詩人(タゴール)
・ななせの恋日記 特別編
計3編

合計 12(11.5?)編



以下余談。本筋ではないものの微妙にネタバレなので反転にさせときます。


「詩人」シリーズ3つ目「汚れつちまつた詩人(」にて、
森ちゃんの弟&妹が出てきます。

問題はその名前。文脈から察するに弟の方はどう考えても「ルパン」だよね。
これ明らかに森ちゃんの「紅楽楽(くらら)」よりも酷いと思うんだ。
そりゃ無愛想にもなるって話だよ。漢字だとどう書くのか、とっても気になりますw

あと、妹の方は「さつき」らしい。
最初は「無鹿(なうしか)」にされるところをだったとか。
森ちゃんがなんとか説き伏せて普通の名前になったとのエピソードが語られています。

ナウシカはもちろん「風の谷のナウシカ」から取ったんだろうけど、
さつきもどう考えてもジブリ作品から取ってるよね。
恐らく「となりのトトロ」のさつきから付けたものだと思われますね。
しかし、妹に「さつき」と名づけるとはこれ如何に。

っていうか、こんな名前をつける両親の名前は一体なんなのだろう・・・?



以上、余談終了。
どうしてもこれだけは、語らずにはいられなかったんだ。反省はしていない。
この本を手にとったきっかけは文学少女でした。
文学少女とのコラボ小説を読んだのをきっかけにこの作品の存在を知り、たまたまブックオフにあったのでなんとなく買ってみた。
で、読んでみたらなかなか面白かった、と。

-概要-
季節は春―高校生活を楽しく送れるラク~な部活に入るため見学に余念のない神庭幸宏は、ある日、校内を走り回る「階段部」なるものと出会う。学校非公認、邪魔もの扱いの部にムリヤリ体験入部させられた幸宏だったが、ひたむきに「階段走り」にかける部員たちの姿に自分の中に芽生えた欲求に気づく。「とにかく走りたい!」そして幸宏は駆け出す!ビバ青春の無駄足!真正面から「若さ」を描く第7回えんため大賞「優秀賞」受賞の学園グラフィティ。   (カバー背面より)


要するに、学校の校舎をひたすら走り回る部活をするお話です。
一言で言うなれば、まさに「若気の至り」を描いた作品です。
階段を走って上がる、という行為は誰もが一度はやったことがあるのでは?
それをとことんまで追求し、いかに速く走れるかを競う「階段レース」がこの作品のメイン。
そんな活動をしている「階段部」が物語の中心です。

「廊下を走ってはいけない」なんてのはたぶん大半の学校で言われていることでしょう。
とは言え学校の廊下で50メートル走くらいは、
やったことがある人も少なくないのではないかと思います。
ルールとして定められていても、実際にそれが守られているかどうかは別ですよねw
この作品はそんな当たり前の約束を堂々と、思いっきり破っています。
なにせ廊下や階段を思いっきり疾走する部活なんですからね。
ただし非は潔く認め、きちんとルールを決めて行っています。

廊下でレースに限らず「分かっちゃいるけどやめられないもの」って誰でもあると思います。
それを今になって振り返ると「あんなコトやってたなんて若かったよなぁ」
と思うようなことも、1つくらいあるのではないかと思います。
そんな事を思い出させてくれる1冊ではないかなと思います。
色々な意味で、良くも悪くも清々しい若さのある作品です。

さて、この作品ですが現在9巻まで発売しています。
来月か再来月には完結編となる10巻が発売予定です。
自分は現在7巻まで読み終えましたが、
個人的には1巻はそこまで強い印象ではありませんでした。
面白くなるのは3巻くらいからかな、と感じました。

と言うのも各巻でそれぞれ1人、あるいは数人のキャラクターに焦点を当てて話が進みます。
1巻はいわばシリーズの序章です。上記の理由から、
1巻だけだと各人物の心情や描写など、十分に理解するのは難しいかも知れないです。
でも、些細な部分の描写は無駄に細かかったりします。
校舎の構造とか各階段の描写とか筋肉とか筋肉とか筋肉とかetc

と言うわけなので?初めて手に取る時は最低でも2冊以上をおすすめします。

あと、本編とはまったく関係ないんだけど、
「あとがき」の最初に星新一っぽい感じのショートショートが毎回書かれてます。
これが地味にリアルでちょっと面白かったりしますw

そんなわけで、内容にはまったくといっていい程触れていないレビューでした(笑)



●余談●
自分がこの作品で昔のことを思い起こすのは、
きっとこの作品の舞台である「天栗浜高校」の緩さもといカオスさ
自分の母校の雰囲気に近いからだと思いますw

あと個人的には凪原さんがツボでした。5巻の出来事以降の急成長っぷりがたまりません。
まぁ、そうなったのはきっと1巻の後に2巻を読む前に、
FB Onlineに掲載されていた「恋愛とチョコレート」を読んでしまったからでしょうw



【6月16日(火) 一部加筆・修正しました】
【6月19日(金) 更に1箇所だけ追記しました】

すっかり書くのが遅くなってしまいましたが、
発売翌日の5月1日に買い、その日のうちに一気に読みました。
これは遠子先輩卒業後、先輩のいない物語でしたが、
今までどおりの文学少女だったので安心です♪
あとななせはやっぱり不憫でした。

まぁ心葉にフラれた直後なんだし仕方ないとは思うけどね。


舞台は心葉が3年生、文芸部に新入生がやってきたお話です。
で、この新入生の日坂菜乃さんですが、最初はかなーりウザかった。
読んでて思わず「うわ、こいつウザ・・・」とか思っちゃいました。
しかし、読み進めていくうちに色々なるほどなぁと思えるようになってきて。
この菜乃は、あらゆる場面で遠子先輩との共通点や対比を見出すことができるのです。

例えば、遠子先輩は心葉に恋して文芸部に引き入れたわけですが、
逆に菜乃は心葉に恋して文芸部へやってきたわけで。
で、あれこれ三題噺を書かせてみたりしていき、告白して、そしてキスをして。
心葉が素になってからのやりとりはまさにかつての遠子先輩と心葉に近いものがあり。
読んでる方も楽しくなりますねあのやり取りは。
他にもたくさん重なる部分はありますが、あんまり書くとネタバレしそうなので。。。

それと同時に、時にはかつてのヘタレな心葉と重なる部分もあり。
ななせとの一件を知るまでの菜乃は、美羽が飛び降りる前の心葉そのままに見えました。
なんだかんだと言いつつも心葉の後についていく姿も、
嫌々ながらも先輩に着いていっていた心葉とも、やっぱり重なります。

そして菜乃が持ってきた事件を心葉と2人で解決することになり・・・
この「普通に生活していたらまず接触できなかった事件」を持ってくるのも、
かつては遠子先輩がしていたこと。しっかり受け継いでますねw

さて、この先ネタバレが濃くなってくるので反転します。未読の人は要注意!





当時は嫌々付き合っていた心葉でしたが、
今回は自分からしっかりと首を突っ込んでいきました。
「真実を見れる人になる」という心葉の成長が垣間見えるシーンでしたね。

まぁそれ以上に心葉は急に頭良くなりすぎですけどw
作家(下)でその片鱗は見えてはいたものの・・・
で、最後の恒例の説得シーンは心葉の役割に。
でも後で継ぎ足したり、最後の最後は菜乃に任せたりとそこはまだ未熟なようで。
その辺で遠子先輩がいかに大きな存在だったのかを間接的に描いていたなぁと思います。

さて、そんな今回の事件の題材は「曽根崎心中」です。
この作品は読んだことはないものの、どんな話かはある程度知っているくらいです。
今回は太字は誰のものなのかや結末を今まで以上に予想しながら読んでみましたが、
自分は所詮素人、最後はしっかりやられてしまいました。
和と幸の2人が心中したのではないということは読めたものの、
太字の正体が三上だったのはやられましたね。
個人的な予想では、「なごむさん」の正体が実は生きてた雛沢さんで、
彼女が復讐のために・・・みたいな展開を考えていたのですが、、、
さすがにそこまでぶっ飛んだ話ではなかったですね(笑) 

あと、個人的にはこの外伝で存在感が特に大きいのは麻貴先輩かなぁと思いました。
3年生になった心葉を今なお上から見下ろせる存在的な意味合いが大きいと思います。
菜乃が彼女に会い行くシーンがあるのですが、あの一連の流れが大好きです。
心葉の大人になった部分と、菜乃のひたむきさが1番よく表れているなぁと思います。
「井上心葉の関係者の間ではおたくは注目の的」はまさにその通り。
読者にとっても注目の的ですよねw







内容的に大事な部分のネタバレはこのくらいにして。

エピローグの後に「ある日の美羽」と題された美羽視点のおまけの短編があります。
ほんの10ページほどの本当に短い話なのですが、
その中に美羽の複雑な心境(と本編ではいいとこなしだったななせのデレ?分)が満タンで最高でした。
開始1行目で思わず大爆笑してしましましたwww
巡礼者といい歩き下手の人魚(挿話集1)といい、美羽関係の話はいい話が多すぎて困る。
さり気にななせの心境も補間されてるところがまたイイですねw

というわけで今回も楽しく読ませていただきました。
次回は挿話集2が夏ごろとのことです。ななせや森ちゃん中心ということで夏まで待ち遠しいです。

で、見習いシリーズはその次、今までの刊行ペースでいったら文学少女は年3冊。
ってことはこの続きは来年まで持ち越しですか。長いなこれは。。。
あとがきに「お話はあとちょこっとだけ続く」と書いてあったので、
見習いシリーズはあとせいぜい2,3冊くらいってことろかな?
心葉が卒業するまでか、「文学少女」発売&井上ミウ復活までかなぁという気がします。
果たして菜乃は心葉の「可愛い後輩」になれるのか、
楽しみに首を長くして待ちたいと思います★









余談:「曽根崎心中」と聞くとどうしても思い浮かんでしまう同名のデPが作ったあの曲・・・ 
えー、結局買っちゃいました☆
正直に白状します。画集なんて買ったの初めてです。

いかにはまった作品だったのかが我ながらよく分かります。

地元で1番大きな本屋さんに置いてなかったので、
こりゃ週末に遠征かな。と思っていたのですが・・・

本日仕事の帰りに寄った普段あまり行かない本屋に行くと1冊だけ置いてありまして。
気づいた時にはレジでお金を払っていました。

というわけでしっかり手に入ってしまいました。
表紙がハードカバーじゃなくて紙であるところ以外は非常に満足の1冊です。

内容は本編全巻(「道化」から「作家下巻」)までの全イラストがまずあります。
本編内の挿絵はもちろん、カバーや目次、口絵まで本当に完全収録されています。
他にも描き下ろしのイラストやラフ画、などのイラストはもちろん、
本編に登場した作品や心葉が書いたおやつの一覧に書き下ろし短編と満載の内容です。
まさに「追想画廊」の名にふさわしい、イラストで振り返る「文学少女」といえる1冊です。

描き下ろしイラストでは心葉&美羽の幼き日の絵がとにかく良かったです。
あとは以前入手し損ねたななせと後に出た遠子のキラしおりのイラストも嬉しかったですね。
もう本当に文学少女ファンなら「買い」でしょうね。

全巻のイラストを順番に眺めていくと、改めて遠子先輩のイラストが多いという印象でした。
そういったところからもやっぱりこれはあくまでも「文学少女」の物語なんだなと感じされられました。
つまり、ななせは最初から振られる運命だったんだなぁ、とね。

それからもう1つ感じたのは、美羽のイラストって意外と少なかったなということです。
心葉がずっとメソメソしてるせいで最初から存在感があったけど、
人物としての初登場は「巡礼者」だからってのもあるだろうけどね。
年末に読んだ挿話集の影響からかちょっと美羽贔屓になっていますが、
もうちょっとたくさんあったような気がしてました。
文庫で見た時にはそんなに感じなかったけど、
美羽のイラストどれもは存在感が希薄なようですごく強い感じが出てる気がしました。

これは美羽に限らずだけど、文庫版の小さいイラストがこのサイズになると、
非常に見栄えが良いし、その絵からの印象も変わるんだなぁって感じです。
今まで画集なんて買ったことなかったから分からなかったけど、
このサイズで見るのって良いですねぇ。


最後に書き下ろし短編について。これに関して言えることは1つだけですね。
「買って、読め」

僕からはこれしか言えません。


最後にどうでもいい話を。
応募券が揃ったのでB3ポスターに応募しようか悩んでます。
別にすればいいだけの話なんだけど、
もし当選したところでポスターなんて張れないし・・・
という最大の悩みがあるわけで。
まぁ悩むだけ悩みます。そしてたぶん応募するだけはするんじゃないかなぁ。

ということで2日連続文学少女の話でした。
「プロジェクト・メモワール」なるものもあるし、
2009年もまだまだ文学少女一色の年が続きそうです。
遅くなりましたがまずは・・・・・

祝☆このラノ2009第1位!!!

ということで文学少女です。

12月31日の日記にも書いたけど、去年は文学少女一色でした。
年末は2日かけていっきにこの挿話集を読んでました。

日記を読み返してみると第1作の記事を書いたのがちょうど去年の今頃でした。
実際読み始めたのは一昨年の終わり頃なんだろうけど、
本当にすごい作品に出会えたと思います。

思えば初めてこのシリーズを手に取ったのは本当に偶然でした。
地元の本屋でたまたま1巻目の「道化」を手に取り、
「実際の文学作品をモチーフにした・・・」という所に興味を持ったのが始まりでした。
で、1冊読んだらドップリはまってしまい (中略) 今に至ると。
日記には書いてないけどコラボ小説までしっかり買いましたw
あの頃はこのラノなんて存在すら知らなかったのに・・・
このラノ=「このライトノベルがすごい!」というラノベのランキング&紹介本で、毎年刊行されています。
ちなみに1作目を買った2007年終わり頃には08年度のこのラノが発売されており、
(買った当初はまったく自分は知らなかったけど)第3位にランクインしてました。


さて、そんな経緯はまぁ置いといて。
今回の短編集は「短編」なのでまた本編とは違った味わいです。
本編のような緊迫感、(言い方は良くないけどドロドロ感)はなく、
手軽に読める風味になっています。
基本的にはハートフルな?コメディ調の作品が多数収録されています。
FBオンライン[http://www.enterbrain.co.jp/fb/01menu/01menu.html]
で過去に公開されていた「今日のおやつ」や、現在も連載中の「秘密の本棚」からの収録のほか、
短編集ながら書き下ろしも多く入っており非常に嬉しい内容です。
○収録内容○

「今日のおやつ」より
・更級日記  ・万葉集  ・ムギと王さま
計3編

「秘密の本棚」より
・扉のこちらの姫(レイディ)
・うわきな預言者(ヨカナーン)

計2編

ムック本より
・恋する牛魔王(ミノタウロス)

書き下ろし
・"文学少女"と革命する労働者(プロレタリア)
・"文学少女"と病がちな乙女(クロエー)
・無口な王子(プリンス)と歩き下手な人魚(マーメイド)
・"文学少女"の今日のおやつ 特別編 ~スノーグース~
計4編

合計 10編


今回は遠子先輩と心葉を中心とした物語を収録しています。
書き下ろしも嬉しいですが、「今日のおやつ」は途中から読み始めたので、
まだ読んだことのなかったものも読めてなお嬉しかったです☆

公開されていた話の後日談、あるいは前日談として繋がりのある書き下ろし。
という流れなのも良かったですね。
各話とも1話完結の短編集だけど、1つ1つの話に繋がりがあって、
本編だけでは分からない日常の風景が見えてきます。

どのお話もとても"美味しく"いただけましたが、
中でもとびっきりの1編をちょっと詳しく語っちゃいます☆

<ということで以下多少ネタバレが濃くなります。>







年末の日記を読めば分かるとは思いますが、その一編は
「無口な王子と歩き下手の人魚」  です。
芥川君と美羽のお話です。美羽が健気すぎて良いです。
きっと児童館でやってたように心葉と一緒に本を読んで、
物語を創ってたんだなぁと思うととても微笑ましいですよね。
(その裏にあった感情は置いとけば。。。)

正直に言うと美羽については「巡礼者」を読んだ時には割りとどうとも思いませんでした。
でも、今回の話を読んで色々と「想像」が膨らんできて今ではすっかりお気に入りに(笑)
自分もちょっと前まで児童館であーだこーだやっていたんで、
余計に微笑ましく感じられたんでしょうね。
さすがに絵本を読んであげたことは3回くらいしかありませんでしたが。
ってあるんかい!というツッコミが飛んできそうな予感。


それはさて置き、このエピソードがきっと美羽が「翼」を取り戻す第1歩となったんだろうなぁ。
と思いますね。そして、作家下巻のエピローグの後日談へと繋がるのでしょう。
ありがちと言えばありがちだけど、いい話だなぁと思います。
タイトルの「歩き下手の人魚」と作中のモチーフ作品の「赤いろうそくと人魚」
の繋がりも良いよね♪ 長編じゃないから大掛かりなトリックとかはないけど、
こういう細かな繋がりがいちいち素敵です。
あまりの素敵さにこの話だけ一気に3回も読み返してしまいました。


さて、美羽の話以外にも少々触れましょうか。
文学少女で個人的には1番と言ってもいい、センスの光る裏設定だと思ったのは、
何故か「ボート部との盟友関係」でした。
各話にちょっとずつ登場しているエピソードだけど、
ある意味ではこの関係があったからこそあの文芸部の部室は生まれたわけで。
そしてそこで出来た繋がりが直接本編には絡まないものの、他の話にも出てくる。
その流れがさすがだな、と思いました。
そして、その盟友関係を結んだ部が「ボート部」であることもね。
なぜそんなマイナーな部活なんだと思うけど、そこがまたいいなぁと。

それから最後のおまけ「今日のおやつ ~スノーグース~」はやってくれましたね。
あれだけコメディタッチ中心(人魚と姫は別ですが)で展開しておいて
最後の最後にあんな反則技が出てくるとは・・・泣いた人続出でしょうアレは。
たった十数ページの短い話なのですが、それであんなに余韻に浸れるんだからもうね。
ちなみに某2chの某スレッドの某書き込みで指摘されてたんだけど、
「道化」で1番最初に遠子先輩が心葉に対して語っている薀蓄がこの「スノーグース」でした。
それを知った(厳密には「思い出した」でしょうが)ら余計に切なくなります。




と、このままいくとキリがなさそうなのでこの辺でしめますね。
全部ビッシリ語りたいところではありますが、
既に誰が読むんだこれって字数になってるからね。
とにかく他の話も全部良かったです!!!


さて、次回は外伝ですね。
心葉が3年生で文芸部に新入部員の女の子が、とのこと・・・(あとがきより)

.思いっきりフラれて傷心中であろうななせの運命はいかに!?

ということで今回はななせの出番はほとんどありませんでした。
次の挿話集でまとめて収録の予定とのことなのでそちらも今から楽しみです。
森ちゃんと反町君の話2編はまず入るでしょうし、
あとはぜひ「ななせの恋日記」は入れて欲しいと願うばかりです。
後は恋日記以外のおやつがいくつか入って書き下ろしもまたあるかな?
いやはや、次も本当に楽しみです♪

結局例に漏れず何が言いたいのかよく分からん日記になってしまいましたが、
結局のところは今回も楽しかったよってことと、です。
美羽かわいいよ美羽、ってことです(爆)

ななせの話は1番でいいんだけど、
個人的には竹田さんが中学校の先生になった経緯が分かるようなお話が読みたいですね。
野村先生、ぜひお願いします(笑)

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